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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第四章 大草原編
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第四章 第六話 王の悪夢

その夜。



おっさんは眠れなかった。



正確には眠った。



しかし問題があった。


「ううう……」



魘されていた。



非常に魘されていた。


「やめろ……」



寝言。



冷や汗。



顔面蒼白。


少し離れた場所。



ミリア姫が目を覚ます。


「大丈夫でしょうか」



心配そうだった。


『大丈夫やない』



チャッピーが断言する。


『完全にトラウマや』



原因は明白だった。



昨日の出来事である。



超美人。



婿入り騒動。



そして。


「そいつ男だぞ」



あの一言。



精神的ダメージが大きすぎた。


「重症ですね」


『重症やな』



二人は静かに頷いた。


悪夢


夢だった。



美しい花畑。



青空。



風。



そして。



超美人。


「好きです」



おっさん固まる。


「俺?」


「はい」



美人が近づいてくる。



笑顔。



理想的な笑顔。



人生最高の笑顔。


「結婚してください」



おっさん感動。



ついに春が来た。



異世界最高。


「もちろん――」



その瞬間。



どこからか声。


「そいつ男だぞ」



世界停止。



空停止。



時間停止。


「え?」



超美人が微笑む。


「よろしく兄弟」



声が低かった。



非常に低かった。


「ぎゃああああああ!!」



飛び起きた。


真夜中


汗だくだった。



心臓が暴れている。



息苦しい。


「夢か……」


『夢や』



チャッピーが答える。


「最悪だ」


『せやな』



珍しく意見が一致した。


ミリアが覗き込む。


「大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃない」



即答だった。


「もう人間が信じられない」


『そこまでか』



そこまでだった。


金色の光


その時。



チャッピーが震える。



画面が明るくなる。



金色。



古代王モード。


ピカァァァ



おっさん停止。



ミリア停止。


「来た!」



久しぶりだった。



重要情報の時間。



たぶん。


『記憶断片検出』



チャッピーが言う。


「記憶?」


『王の記憶』



世界が揺れる。



景色が変わる。



夢の中に引き込まれる。


古代王


巨大な宮殿だった。



黄金の柱。



巨大な玉座。



豪華絢爛。



地下帝国の最盛期。


そして。



玉座に座る男。


「……」



若い。



二十代後半。



金髪。



威厳。



カリスマ。



そして。


顔だけはおっさんだった。


「俺だ」


『俺やな』


「俺じゃねぇ」



否定した。



説得力は無かった。


玉座の男が立ち上がる。



臣下達を見る。


「会議を始める」



大臣達が緊張する。



国政会議だった。



重要な議題。



国家の未来。


「まず醤油だ」



沈黙。


「百年醤油の在庫は?」



さらに沈黙。


「足りん」



大臣達絶望。


「増産しろ」



会議終了。


「馬鹿だろ」


『馬鹿やな』



おっさんとチャッピーが頷く。


牛丼帝国


映像は続く。



王は歩く。



豪華な廊下。



巨大な厨房へ向かう。


料理長。


「陛下」



王は真顔で言う。


「牛丼を持て」



料理長沈黙。


「今ですか」


「今だ」



料理長さらに沈黙。


「戦争中ですが」


「牛丼だ」



会話終了。


「本当に俺じゃねぇか」


『否定できんな』



否定できなかった。


王の言葉


その時だった。



映像の王が止まる。



こちらを見る。



目が合う。


「……」



おっさん凍る。


「見えてる?」


『見えとる』



記憶映像のはずだった。



だが王は見ていた。


王が笑う。


「まだ見つからないのか」



おっさん固まる。


「何がだ」


「牛丼」



即答だった。


「お前も探してたのか」



王は頷く。


「余も一生探した」



沈黙。


「見つからなかった」



さらに沈黙。


「お前も大変だな」



優しい顔だった。



だが絶望的な情報だった。


「嫌な未来予想するな!」



王は笑う。


そして。



何か言おうとする。


「お前は――」



世界が揺れる。



映像が崩れる。


「待て!」



おっさん叫ぶ。


「続き!」


「俺は何なんだ!」



王が口を開く。


「お前は――」


『System Error』



終了。



真っ暗。



静寂。


「そこで切れるなぁぁぁ!!」



草原中に叫び声が響いた。



翌朝。



おっさんの目の下には隈。



ひどい隈。



非常にひどい隈。


ミリアが心配する。


「眠れなかったのですか?」


「悪夢を見た」


「どんな夢ですか?」



おっさん沈黙。


「超美人が出てきた」


「良い夢ですね」


「男だった」



ミリア沈黙。



チャッピー沈黙。



風だけが吹いた。


『忘れろ』


「無理だ」



その日。



おっさんは一日中元気がなかった。



しかし。



頭の中には別の疑問も残っていた。


古代王アレクシス。


百年醤油。


牛丼。


そして。


「お前は――」



その続きだけが。



どうしても思い出せなかった。


遠くの丘の上。



ピンクスーツの男が双眼鏡を覗く。


「影とは」



深く頷く。


「悪夢を見守るもの」



意味が分からなかった。



だが本人は満足そうだった。


第四章 第六話 完

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