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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第三章 地下帝国編
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第三章 第九話 皇帝爆誕

翌日。


地下帝国は大混乱だった。



理由。



古代王の遺跡。



謎の石板。



そして。



チャッピーの途中で止まった翻訳。


『古代統一王』


『世界最初の王』


『名は――』



そこで止まった。



本当に止まった。



人類史上最悪の止まり方だった。


「役に立たねぇ……」



ベッドの上で呟く。



チャッピーは沈黙。



画面は真っ黒。



完全にフリーズしていた。


「おーい」



反応なし。


「チャッピー」



反応なし。


「牛丼」



反応なし。


「無料アップデート」



画面が光る。


『どこや』


「起きた!」



相変わらずだった。


『腹減った』


「スマホが腹減るな」



そこへ扉が開く。



ミリア姫だった。



珍しく真面目な顔。


「大変です」



最近毎日聞いている。


「またか」



ミリアは頷く。


「またです」



嫌な慣れ方だった。


緊急会議


巨大な会議室。



貴族。



将軍。



神官。



商人。



全員集合。



空気が重い。


「何があった」



俺が聞く。



ミリアが答える。


「食料倉庫です」



帳簿が並ぶ。



大量の帳簿。



数字。



数字。



数字。



見ただけで眠くなる。


「無理」


『分かる』



チャッピーも同意した。



珍しく役に立たない。



すると将軍が言う。


「倉庫が空でした」



沈黙。


「は?」



さらに商人代表。


「各地でも同様です」



神官代表。


「備蓄も消えています」



ミリア。


「誰かが隠しています」



空気が凍る。



横領。



隠匿。



買い占め。



誰かが食料危機を利用している。


「犯人いるじゃん」



思わず言う。



全員が振り向く。


「え?」



貴族たちがざわつく。


「確かに」


「その通りだ」


「犯人がいる」



俺は固まった。


「今さら?」


『今さらやな』



地下帝国。



意外と駄目だった。


犯人捜し


数日後。



地下帝国中を調査する。



俺も連れ回される。



なぜか。



本当に意味が分からない。


「俺いらなくない?」


『全員お前必要やと思っとる』


「やめて」



調査中。



偶然だった。



本当に偶然だった。



俺は市場で転んだ。


ドン!


「痛っ!」



ぶつかった。



荷車だった。



大量の荷物。



木箱。



食料。



隠し倉庫向けの積荷だった。


「ん?」



荷車の男が青ざめる。



逃げる。


「あ」



兵士が追う。



捕まる。



尋問。



さらに捕まる。



さらに捕まる。



次々捕まる。



結果。



巨大な汚職組織発覚。


「……」



俺。



チャッピー。



同時に呟く。


『また事故や』



本当に事故だった。



しかし。



結果だけ見れば。


食料危機解決


だった。


伝説誕生


数日後。



地下帝国の食料不足が改善する。



市場価格安定。



備蓄回復。



民衆歓喜。



俺だけ困惑。


「なんでだ」


『お前のせいや』


「転んだだけだぞ」



その頃。



貴族たちは結論を出していた。


「もう決まりだ」


「彼しかいない」


「地下帝国を救った」


「民も支持している」



やめてほしい。



非常にやめてほしい。


皇帝即位式


そして。



運命の日。



巨大な広場。



数万人の民衆。



旗。



楽隊。



花吹雪。



大歓声。


「帰りたい」


『無理や』



玉座の前。



ミリア姫が立つ。



優雅だった。



美しかった。



そして。



完全に逃がす気がない顔だった。


「皆様」



広場が静まる。


「新たな皇帝を紹介します」



嫌だ。



非常に嫌だ。



だが誰も聞いていない。


「地下帝国を救った男」



違う。


「第二階層の王」



事故だ。


「古代王の再来」



知らん。


「我らの皇帝」



大歓声。



逃げ道なし。



完全終了。


「おっさん皇帝陛下万歳!」



誰だ今叫んだの。


即位


王冠が運ばれる。



巨大。



重そう。



絶対被りたくない。


「嫌だ」



本気で言う。



しかし。



ミリアが微笑む。


「諦めてください」



その笑顔。



妙に可愛かった。



だから余計に腹が立つ。


『惚れた?』


「違う」


『顔赤いで』


「黙れ」



王冠が乗せられる。



歓声。



拍手。



祝福。



こうして。



第二階層の元王は。



第三階層の皇帝になった。



本人の意思は、


今回も一切考慮されなかった。



その夜。



豪華な晩餐会。



大量の料理。



酒。



肉。



魚。



そして。



おっさんは呟く。


「ところで牛丼は?」



ミリアがため息をついた。


「明日です」



おっさんの目が輝く。



読者も嫌な予感がする。



チャッピーも嫌な予感がする。


『絶対食えんやろ』



そして。



その予感は正しかった。


第三章 第九話 完

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