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チャッピーと共に  作者: 伝説の男前
第二章 第二階層の王者編
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第二章 第五話 作戦会議は嫌いです

翌朝。


第二階層はお通夜状態だった。


大地竜が近付いている。


それだけで空気が重い。



オークは武器を研ぐ。


リザードマンは槍を作る。


子供たちは避難準備。


老人たちは祈る。



俺は。


「帰りたい」


『知っとる』


チャッピーは関西弁だった。


もう驚かない。



その時。


酋長がやって来た。


将軍も来た。


二人とも真剣な顔だった。


嫌な予感しかしない。



案の定。


連行された。


「嫌だ」


『無駄です』


「知ってる」



巨大な広場。


また会議だった。


異世界に来てまで会議に参加するとは思わなかった。



石の机の周りには、


各部族の代表が集まっていた。


オーク。


リザードマン。


ゴブリン。


コボルト。


その他いろいろ。



俺は初めて知った。


第二階層には結構住民がいたらしい。



全員の視線が痛い。


非常に痛い。



酋長が何か話す。


「ブゴォォ!」


将軍も続く。


「シャァァ!」


周囲も頷く。



チャッピーが翻訳する。


『助けてください』


「無理だ」


即答した。



全員が落ち込んだ。



俺も落ち込んだ。


なんで俺が罪悪感を感じるんだ。



その後。


地面に地図が描かれた。


第二階層の地図らしい。



中央に集落。


北に森。


南に川。


西に崖。


東に山。


そして。


『ここ』


チャッピーが指す。


『大地竜』


「近いな」


かなり近かった。


嫌になるほど近かった。



俺は地図を見る。


しばらく見る。


さらに見る。



ふと思った。


「なんでここに住んでるんだ?」


静まり返る。



全員が俺を見る。


やめてほしい。



俺は地図を指差した。


「川沿いの方が良くないか?」


さらに静まり返る。



嫌な予感しかしない。



チャッピーが翻訳する。



数分後。


大騒ぎになった。


「ブゴォ!?」


「シャァァ!?」


「ギャァ!?」



俺は困惑した。


「何だ?」


『誰も考えたことなかったらしい』


「嘘だろ」


『本当です』



どうやら。


代々ここに住んでいたから。


という理由だけだった。



誰も地形を見直していなかった。



俺は頭を抱えた。


「マジか」


『マジです』



結果。


集落の一部を移動。


避難路も整備。


食料倉庫も分散。



みんな感動していた。



俺は理解できなかった。


会社員時代なら普通だった。



避難訓練。


危機管理。


物流整理。



散々やらされた。



しかし。


この世界には無かったらしい。



気付けば。


会議の中心に座らされていた。



俺は嫌だった。


本当に嫌だった。



だが。


皆は違った。



オークたちの目が変わっていた。


リザードマンも変わっていた。



昨日までの


「料理人」


ではない。



今日からは


「頼れる人」


を見る目になっていた。



本人だけが気付いていない。



チャッピーだけが呟く。


『向いてるんちゃう?』


「何が?」


『王様』


「嫌だ」


『知っとる』



その夜。


避難準備は順調だった。


食料も運ばれた。


子供たちも安全地帯へ。



被害はかなり減らせそうだった。



そして。


遠くから地鳴りが響く。


ゴゴゴゴゴゴ……



大地竜はさらに近付いていた。



高台へ登る。


遠くを見る。



巨大な影。


山のような巨体。


歩くたびに大地が揺れる。



俺は呟いた。


「でかいな……」


『でっかいな』


「勝てるか?」


長い沈黙。



チャッピーは計算しているようだった。


珍しく真面目だった。



数十秒後。


答える。


『無理や』


「だよな」


『百回戦って百回負ける』


「だよな」



だが。


その直後。


チャッピーが小さく付け加えた。


『正面からなら』


「ん?」


『運が絡んだら分からん』



俺は嫌な予感がした。



今までの人生。


良い意味でも。


悪い意味でも。


運だけで生き残ってきた。



そして。


大体そういう時は、


ろくでもないことが起きる。



地鳴りが近付く。


夜空が震える。


第二階層の住民たちが息を呑む。



決戦の日は近かった。



そして俺はまだ。


戦う方法を一つも思いついていなかった。


「牛丼食いてぇ……」


『現実逃避やな』


「うるさい」


第二章 第五話 完

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