77 初心に立ち返ろう!
「なぜだ、なぜこんなことになった……!」
不幸にも侯爵の爵位を与えられてしまってから、早数日。
俺――クラウス・レンフォードは【冥府の大樹林】近くに用意された滞在用の館にて、一人これまでの経緯を振り返っていた。
事の発端は、国王アルデンに対し『この国で最も広大な領土』を求めたところにまでさかのぼる。
あれはつまり、王族が所有する土地を寄越せという、いわばちょっとした反意アピールのつもりだった。
ところがアルデンは何を勘違いしてかその対象を【冥府の大樹林】と誤認。
そして嫌がらせのように、その地の管理を俺に押し付けてきたのだ。それも第一王女の監視付きで。
とはいえ当然、ただその企みに従う俺ではない。
アルデンの狙いが大樹林の潤沢な魔力で生み出された貴重な鉱石や植物といった資源の獲得だと天才的頭脳で見抜いた俺は、それを裏切るように強力な魔術で森林破壊を志した――のだが、なぜかそれが開拓に繋がったと捉えられ称賛される始末。
さらには、ゲームでは最悪の中ボスとして登場したマルコヴァール辺境伯を俺の支配下……こほんこほん、味方に引き入れるために尽力するも、肝心の『幻影の手』を自分で滅ぼしてしまったり。
その際にうっかり貴重な種族であるエルフ族を助けたと勘違いされ、勝手に配下に加わってきたり。
突然マルコヴァールが俺の不在時に魔導騎兵で館に襲い掛かってきたのを、聖地巡礼のついでに拝借していた特別機でうっかり破壊することになったり。
彼の支配下にいる貴族がレンフォード領に攻め込んだのをミリカトルたちが勝手に防いだのを、なぜか俺の手柄にされてしまったり。
そんな最悪な出来事が立て続けに発生した結果、どういうわけか俺にマルコヴァール領が与えられ、ついでのように侯爵の爵位まで与えられてしまったというわけだ。
改めて振り返ってみても、意味が分からないとしか言いようがない。
「こんなの、あんまりだ……!」
今すぐ寝込みたい気分だが、そういうわけにもいかない。
これまでの経験上、放置したらした分だけ、その間になぜか俺の評判が上がってしまうのが分かり切っているからだ。
それだけは何としても避けなければならない。
俺は拳を握り締め、改めて前を向く。
「そうだ、諦めるのはまだ早い。新たな領土が与えられたことを逆手に取り、なんとか俺の悪評を広げる手段があるはずだ!」
これまでどれだけ絶望的な状況に追い込まれようと、俺は決して諦めることなくラスボスへの道を歩み続けてきた。
ならば今回とて同じことだ。
ラスボスへの道も一歩から。
こんな時だからこそ俺は初心に戻り、一から悪のカリスマへの道を歩み始めることを誓うのだった。
大変お待たせいたしました。
『第四章 王立学園編』開幕です。
今回はプロローグ的内容なので、本番は次回から。
どうぞ楽しみにお待ちください!!
それから本作のコミカライズ版が、現在ガンガンONLINE様にて連載中となっております。
村上メイシ先生の手によって最高のクオリティに仕上げていただいているので、楽しめること間違いなしです!
この機会にぜひご一読ください!
引き続きどうぞよろしくお願いいたします!




