第9話 買い取り場所
「総ギルド長……すぐに来るといっても、早くて2日はかかるぜ?その間レインちゃんらはどうすんだァ?」
「忘れているみたいだが、私はもともと、いつものやつを売りに来たついでで、ここによってるだけだからな?」
「ん、それもそうか!はっはっはっ、いろんなことが起こりすぎてすっかり忘れとったわ!」
いろんなことが起こったと言うのは、不死の迷宮のことはもちろん、総ギルド長のことが一番だろう。
「しっかし…何故レインちゃんが作ったポーションや加工品をわしらに売ってくれないんだ?………全部質も手入れもしっかりとされとる。安くても銀貨30枚はかたいぞ?」
「ふむ、加工品ぐらいなら売ってもいいが…私の商品は曰くつきだぜ?……まぁ、どっちにしろ売る気は無いから安心しな。」
そもそも売る場所は毎回変わらず、その事もミクトは知っていながら、あえて言っている。
一種の冗談みたいなものだ。本人は本気で言っているようだが。
「てなわけで、私は売りに行くからアリシアはここで待っていてくれ。」
「え、ついていってはダメなんですか?私も武器とか買い直さなきゃいけないんですけど…。」
アリシアからは落胆と期待を抱いているように読み取れた。
「あー、武器とか買うくらいならついてきてもいいぞ?……だけどルールがある。守れるか?」
「ルール?町を出歩くルールがあるんですか!」
その興味はミクトに向けられているようだ。まぁ、ミクトがここのギルド長だからな。町のことは結構知っているだろう。
――といってもルールって言うのは私個人のためのものなのだが…。
「うーむ、この町のルールというよりも、レインと共に行動する際の注意点のようなものだのォ。」
「んじゃ、言うぞ~」
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あれから、だいたい1時間はたったと思います。
その時間は私の武器選択に費やすこととなりましたが。…そして、今から商品を買い取ってくれる場所に行くそうです。
ここは――孤児院…。このような場所には普通、レインさんが作ったような商品を買い取るぐらいの財の余裕はないと思うのですが……。
「あっ!レインおねーちゃんが来たよ~!」
十数人くらいの子供の中で一番年上と思われる子がそう伝えた。年上といえども、まだ12歳ぐらいに見える。
レインがここでは好かれているようで、私は少し安心した。
「お、セレナか!元気そうで何よりだ。」
「先生を呼んでくるね!」
「あぁ、頼む。……よし」
最後の言葉は私に向けられたものだ。事前にそういわれてるから分かっただけなんだけど。
「あの子…セレナっていうんですね。」
「ああ、といっても彼女も孤児だ。名前なんて知らない……もしかしたら無いのかもしれない。だから、私がつけた。彼女も気に入っているみたいだしな」
「………それにしても、孤児院にしては…」
「何でこんなにも充実した生活を送れているのか?…だろ?」
「え、ええ…何と無く予想はつきますが。……ここで買い取ってもらってるんですね。子供たちにだいぶ好かれているから、たぶん何回も。」
「まあな、ここに来るまでの町の人達の態度で察しはついているだろう?……ここで買い取ってもらってるのではなく、ここでしか買い取ってもらえない。…っていうことだ」
レインはそう笑いながら答えた。皮肉なのかも知れないけど…
「ん?アリシア、怒ってるのか?まぁ、あいつらの態度はいつものことだ気にするな。それよか、ちゃんとルールは守れよ?じゃないと、お前があんな目に遭うからな。」
あいつらとはここの町の住人の事だろう。
そして私は相当怒っていた。少なくとも、ここの子供たちのレインさんに対する態度を見て、心から安心する程度には怒っていた。
――しばらくして、奥の方から60相当と思われるお婆さんが出てきた。
「ん、いつも通り頼む。」
「はいはい、言われんくてもわかっとる。まだ私の頭はボケとらんわ。」
――こうして、2時間程ここでゆっくりしたあと私たちはギルドに戻った。ちゃんとルールを守りながら。




