第7話 ギルド長ミクト=サリヴァン
私の名前はアリシア・ルヴィエ。初級冒険者として最近活動しています。地方によって、金属や記号で冒険者のランク付けをするみたいですが、この冒険者証は統一されていて私は下から数えて二番目みたいです。
ランクが上がるごとに冒険者証がキラキラしていくそうなので、早く昇格したいものです。
――そんな私は今、とある町に帰ってきています。そうです、私が前まで活動地点にしていた町です。本来あの場所からここまで9時間近くかかるものですが、レインさんに眼をつむれと言われ……いつの間にかここに立っていたようです。
「レインさん?ここにこれたのはうれしいですが…ここで何をすればいいのですか?」
「…………」
こんな調子で、話しかけても一切返事を返してくれません。少しイライラしてきました。
「………」
ん?…何か指差しています。……あぁ、そこのギルドに入れと?わかりました。行きましょう。
―――私は今、ギルド長室に入っています……。
ここは本来、他のギルド長や凄腕の冒険者、ギルドの幹部ぐらいしか入れない場所です。…その筈なんです。
「…あの~、ギルド長様に対してこのような質問をするのは烏滸がましいのですが…何故私はここに?」
「はっはっはっ!なかなかに面白いことを聞いてくれたのォ!な~に、そんなかしこまった態度なんかしなくてよいわい。もっとフランクに行こうや!」
見た目は30前半ぐらいなのに、しゃべり方がちょっとおじさんくさいような……でも、ギルド長になったのが頷ける威厳をどこからか感じる。
「確か…お主は2週間前にここで冒険者試験を受けて合格したものだったな。…合格おめでとう!!」
「ありがとうございます。これからも役に立てるよう精進します。」
「ふん、そんなに固くせんでもいいと言うとるのに……みんな私の前でかしこまるのは何故なんだ?」
「おい、ミクト。私がいるのを忘れないでほしいなァ?…あと、フランクな態度でいてほしいのなら自分の名前くらい言え。でないとずっとギルド長様と呼ばれるぞ?」
「レインはもう少しかしこまってくれれば可愛い小娘なんだがのォ。まぁ、レインの言うことも一理あるな。ん、では改めて…わしの名はミクト=サリヴァン。ちまたでは【霧の死神】なんて呼ばれてるのォ!」
「ふん、死神は名前が由来しているだけなのにな。霧だけでいいんじゃないか?」
「相変わらずレインは手厳しいのォ。死神の由来が名前だけだと思おうて?」
「……んなこたぁどうでもいい、昨日…いや違うか、今日届いたこの手紙。いったいどういう意味だ?」
「手紙…中にはなんて書いてあったんですか?」
この質問は聞かないほうが良かった…と思うほどにレインは苦々しい顔をした。
「一言だ『不死の迷宮のモンスターが暴走し始めている』っていうな。」
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おまけ(町に行く前の朝)
「アリシア?報告書と売品、その他もろもろの準備出来たか?」
「はい、持っていけと言われたものは全部いれましたけど…町に行くのにこんなに荷物少なくていいんですか?」
「今回はな。私の考えが正しければ、おそらく日帰りになるだろうからな…」
「ああっ!レインさんは何を着て町に行くんですか?」
「ん?…あ…お前の服を借りるのは?……」
「いいですけど、着れます?」
「いや、でかいな。あー、これでいっか。」
「それって白衣じゃないですかっ!そんなものを着ていくんですか!」
「いや、言うてな?この白衣は魔法に対する耐性が高く、物理的な攻撃は貫通するから、決して壊れないんだ。それに、撥水性も高く、学者の中でも一部しかもらえない貴重なものだぜ?」
「でも、物理を貫通って…当たったら終わり…ですよね?」
「あ…まぁ、鎧の上からでも羽織れるからな。たぶん大丈夫だ。たぶん」
「とりあえず、町にいったら服を買いますよ!」
「あー、それなんだが…金がないから服を買えないんだよな。」
「あ……。」




