表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術の謎を紐解く学者が望む日常  作者: 咲月 sc
第1章 過去の面影と変わる日常
12/26

第12話 違和感の原因と解

――どうもおかしい。


 あれから数十分程度戦い続けているが、奴らの攻撃に違和感しか感じない。

 普通、龍というのは姿形こそいろいろだが、決まって知性を持っているのが当たり前なのだ。その知能は人に劣らず、優るものもいる。

 そのような龍に勝つことができる亜龍種のこいつらは、当然知能を持つ…はずなのだが。先程からの攻撃には知能の欠片も感じられない。ましてや、知性を失って本能で動いているようにかんじる。

 その理由の一つとして、攻撃が単調で躱しやすい事が挙げられる。


「おーい!聴こえてるか~!」


 声をかけてみるが、やはり反応はない。

 いや……少しばかり奴らから聖気を感じるな。これは先ほどまでなかった事象だ。

 そもそも聖気とは、その源である聖力が外に溢れた状態のことを指している。地方によっては聖力と聖気を同一視しているようだが。

 

 ここで少しおかしなことが起きた。

 自らが発した聖気に自らが苦しんでいるという。


「どういうことだ?………ん!」


 私が行っていた実験にこういうものがある。

 聖力を身に付けるには、精霊以上の存在から加護として受け取るか、すでに聖力を持つ人に分け与えてもらうかの二パターンしかない。

 そこで私は、魔物(スライム)に無理やり聖力を持たせるとどうなるかを試してみた。

 その結果、スライムは一時的に聖力を持ったが、しばらくすると自らの聖力の力に耐えられなくなり、消滅した。ちょうどそこの二体の飛竜(ドラゴン)のように苦しんでから。


――ここで考えられる可能性は主に二つ。一つは飛竜(ドラゴン)の形をした別のなにかが私の聖気に反応して自滅。

 もう一つは、この飛竜(ドラゴン)に何かしらの魔物が寄生or取り憑いていて、その魔物が苦しんでいるパターン。


「んー、ちょっと実験。」


 試しに聖力を込めた刀で斬ってみる。大嵐飛竜(テンペスト・ドラゴン)の方を。


「グガアアァァッ!」


 龍種とされる魔物(飛竜(ワイヴァーン)の上位種は含む)は基本的に自分の聖力を持つ。

 そのため、聖力による攻撃を得意とし、逆に聖力による攻撃はほとんど効かない。


「ん?何で聖力が効くんだ…」


 だが、効いた。これが事実なのだ。


――少し考えるとするか……

 まず、こいつらのおかしい点は主に3つ

一つ目は知性を失って本能で動いていること。

二つ目は何故か聖力が効くこと。

三つ目は私が来るまでおとなしかったこと。

(そうだ…何で私が来るまでおとなしかったんだ?これだけ殺す気に満ち溢れているのであれば、迷宮から出ればいいはず。出たら出たで問題だが。となると、迷宮から出ることが目的でなく、迷宮に入ること、留まることが目的となる。)


 次に、ここに来るまでにおかしかった点……は二つか。

一つは私がここに来るまでの間、一匹たりとも魔物が居なかったこと。

一つは戦った形跡が見当たらなかったこと。

(……ん、ここは不死(アンデット)の迷宮のはず。となると、倒された魔物は不死系(アンデット)だけ……違う、二つ目は[戦った形跡が見当たらなかった]じゃなくて、[迷宮内がきれい]だった。だからこそ私は違和感を感じたんだ。)


不死系(アンデット)に対する有効打は聖力による攻撃……そういうことか!」


 やっと、この事象に納得の行く答えを見つけれたが、私の答えが正しければこいつらを殺してはいけない。


「殺さずに浄化する……か」


 これがこの2対の飛竜(ドラゴン)()()、唯一の方法だと解った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ