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魔術の謎を紐解く学者が望む日常  作者: 咲月 sc
第1章 過去の面影と変わる日常
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第11話 学者と研究材料

レイン視点で行きます。

「ミクト、先の理由で戻らなければならない。その間、こいつをここに置いていくから好きに使っていい……よな?」


「はい!よろしくお願いしますっ」


「ふむ、総ギルド長の孫娘をこき使うのはいろいろと問題がありそうだが…本人が良いと言っておるんだ、よろしくのォ!」


「ん、ここで話を少し真面目なものにするぞ。」


「わしはいつだって真面目なんだがの……言わなくても分かっとる、山に戻るのであれば…不死(アンデット)の迷宮を調査してきてほしい。これはギルドからの()()な依頼だ。……これでいいだろう?」


「ああ、助かる…」


 不死(アンデット)の迷宮はその名の通り、アンデット系の魔物が湧く迷宮だ。そして龍巣山にある。つまり、私の家の近くにあると言うことだ。

 戻るついでに調べたいという私の意図を読み取ってすぐに実行できる辺り、ミクトは私のことをよく知っているとわかるだろう。


「んじゃ、行ってくる」

――そう言い終わると私は空を切るようにして指をなぞった。そこにできた空間に身を投じるために。


「………はああぁぁっ!?」

「………ええぇぇぇっ!?」

------------------------------------------------------------------


「はふぅ、たった1日も経ってないのにずいぶん久しぶりに感じるなぁ。そんなことはどうでもいいか、やることやってすぐに調査を開始しないと…与えられた猶予はだいたい1日、それまでに終わらせないとな。」


 とりあえず、私の家を壊されないように魔術による結界のようなものを張っておく。

 これで家に戻ってすることはない……いや、忘れ物を取るのを忘れてた………私の頭はまだボケてないはずだ。


「おっ、あったあった。」


 私にも、探索するための防具はあることにはある。ただ、着けなくてもこの辺の魔物は簡単に倒せるから使わないだけだ。

 といっても、額当ての一つしかないが……でもこれには先に張った結界のようなものと同じ魔術を施しているから防御力は万全だ。たぶん。

 ちなみにいつもつけている眼鏡ははずしている。壊れるのが嫌だからだ。


「さて、そろそろ行くかな……仮に前と同じことが起こっているとすれば…」


 いや、ダメだ…常に最悪の場合を考えようとする私の悪い癖だ。行き当たりばったりもどうかと思うが…。


―――何だかんだ考え事をしているうちに迷宮についた。まだ一時間と経っていないことから、どれだけ近いかが伺える。


「表にはまだ溢れてないみたいだな。よかった……」


 もし、表に溢れていたら私はミクトを恨む。これでも私は冒険者証を持たないものなのだ。

 もちろん冒険者になるための試験は受けた。筆記試験は満点だったが…実技試験にはさんざんな目に遭った。私は心の声を大にして言いたい。

[何でギルド長直々に私を止めに来るんだよ!!]

 本来、その試験を受ける前に、"試験を受けることが出来ますよ"と言う許可が降りる。これが出てからでないと試験は受けられないのだ。

 私はその通知をもらったから受けた。それなのにミクトのやろうは……


「よし、帰ったらミクトをしばく。これでもかと言うほどボコす。」


 このような発言をしたことに私は後悔した。

 こんなどうでもいいことを考えてたせいで注意力が散漫になっていたことを。


「…………!」


 迷宮内に一切魔物が居なかったことに気づく。そんなことは今までになかったことなのに、だ。

 それと同じくして私は驚く。扉はなかったが、ボス部屋と思われる広いホールには亜龍種と呼ばれる飛竜(ワイヴァーン)の上位種≪大嵐飛龍(テンペスト・ドラゴン)≫と≪燃炎飛龍(バーン・ドラゴン)≫が存在していたことに。


 この出来事は本来、王都が動く程のものだ。

 龍は存在すること自体がわからないほどの伝説の魔物で、その力は上級冒険者が100人束になっても全く敵わないといわれている。

 その龍に似ている魔物のことを一括して亜龍種と呼び、基本はワイヴァーンの事を指しているのだが…ごく稀に存在を確認される亜龍種もいる。

 龍ではないがドラゴンと総称され、4体で龍に匹敵すると言われる強大な力を持つ巨大な魔物。それが今、目の前に居る。殺意を私に向けて。


「ん、逃げようにもこれじゃあなぁ。こいつらを研究材料にできる機会なんて無いに等しいからな……殺るか。」


 そう言い終わると、私も殺意を奴らに向けた。


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