少年期 4
お腹空いた……
ああ、またすっかり熟睡しちまってた。
なんで満腹になったら寝てしまうんだろう。
そして調査の結果、またしても大量に寝てしまっていた。
やれやれ、遂にこの世界に産まれて100年目か。
しっかしまだ少年の格好って、一体どんな種族なんだ、魔族ってのは。
あれ、弟がおっさんになってるぞ。
おっかしいな、あいつは普通に年を経るのか。
ううむ、親父は引退か。
何やら青年が玉座に就いているようだけど、弟の子? オレの弟?
調査の結果、親父の新たな子……娘に婿を取り、その子が当代とか。
ああ、遂に血の繋がりが途切れたのか。
女流は遺伝子が途切れるって聞いた事があるが、これで今の王とオレは縁もゆかりも無くなったと。
やれやれ、もう安心だな。
後は親父や弟が消えれば、オレは一般人になれるんだな。
またしても魔物が繁殖しているようなので、エンドレスハント……これが長期に眠る原因か?
ううむ、魔石を舐めながらの狩りが楽しいのに、どうにも拙そうな気がするな。
まあ、以前のように時々眠ればいけるだろうと、またしても全世界魔物狩りが開始された。
なんかさ、面白いんだ、狩ってると。
2回も死刑になった経験ってさ、オレぐらいしか無いと思うんだ。
でさ、最初の死刑の後の体験でさ、妙に死が怖くなくなったんだ。
そうしてさ、2回目の死刑の後とかさ、逆に殺したいと思うようになったんだ。
だから狩りが面白い。
もっともっと殺したい。
だからオレはひたすら魔物を殺すんだ。
楽しいから……命を消すのが……命が消えるのが……ああ、もっと殺したい。
狩り、解体し、また探して狩る。
素材と魔石はボックスにひたすら投入され、そうしてしばしの睡眠。
うん、やはり時々寝ていれば、長期の睡眠は無いようだ。
目覚めてから10年が過ぎた。
10日毎の睡眠は調子が良く、食い物は魔物の肉や血で事足りる。
野山で眠っていても魔物に襲われる事は無く、魔物はオレを恐れて逃げるようになった。
服はとっくに朽ちたけど、何も着なくても寒暖は特に感じない。
岩肌に当たっても痛みも感じず、妙に固い皮膚は自然な鎧のようになっている。
もしかしたらオレ、魔物になっちまったのかな、クククッ……
街に行く時は変装必須となり、たまに素材を少し売ってやれば派手に売れている。
ボックスに溜まるほうが多いけど、それでも素材はたまに流している。
最近では金山の町で売る事が多い。
それは金粒で支払ってくれるから。
他の街では銀粒箱が主流になっていて、金粒が余り無いようなのだ。
あんなに寝たのにまだ戻ってないのか……
金銀尽きれば白板になっちまうが、無いなら仕方が無い。
チタンの板とか使い道も分からないけど、また何かに流用出来るだろう。
白板も回収するようになり、順調に市場から通貨が消えていった。
更に何年かが過ぎた頃、貨幣がお目見えする。
やっと貨幣鋳造がやれるようになったようだけど、殆ど銀の金貨ってのも何だよな。
それと共に金銀の通貨が廃止され、国で交換になるって話だ。
回収しないと通貨の鋳造もままならないんだろうけど、オレは出す気は無いぞ。
素材の代金を新通貨で受け取る事になり、白板も少しずつ通貨へと変わっていく。
やっぱりチタンの板とか使い道が無いからさ……
魔法の研鑽も更に深くなる。
それは物質に対する干渉にも及び、まるで錬金術みたいな魔法も開発した。
地面に干渉すると、鉄鉱石とかになるんだよ。
面白いからそういうのをあちこちでやると、人族の連中がわんさか到来し、掘って掘って……
銅鉱石、銀鉱石、金鉱石と、あちこちで干渉しての修練の結果は、新通貨の流通に大いに寄与したらしい。
新通貨になると共に暦が変わり、それが数十年経過した。




