少年期 5
親父が寝たきりになってんな。
あれから何十年が過ぎたか分からないが、もうじき死ぬのか? 親父。
弟も洞窟の中で爺さんみたいになってるし、今の王も壮年みたいになってるし。
なのにオレはまだ少年の格好のままだ。
【水鏡】の魔法で我が身を写す。
銀髪と赤い瞳の少年の格好は変わらない。
これが魔族の特徴だと思い、当初からこういうものだと思ってた。
だけど人族の前にこの格好で行くと、やっぱり拙いんだろうな。
「親父、まだ生きてんのか」
「お前……何故、年を取らぬ」
「推測はあるぞ」
「聞かせてはくれぬか」
「魔人の血さ、あれ、飲めば飲む程、寿命が延びる」
「おぬし……そうか、半年も、だからか」
「広めぬほうが良いぞ。広めれば滅亡する」
「それで、初代様は……そういう事……か」
「辛そうだな、楽にしてやろう」
「おぬし……ワシを……」
「ほお、そいつがオレの母親か」
「うう……ダイ……ア……」
ふうっ、美味かったぜ、親父、クククッ……
さてもうここに用は無い。
とっとと退散するか。
おっと、邪な奴らもついでに食っとくか。
待て待て、また満腹にすると長期に眠るから、樽に入れてボックスに突っ込んでおこう。
血を抜いて命を食らう。
魔族の国の邪な存在は全て消えた。
しかしな、邪な奴らか多くてさ……
かつての宰相や大臣も辛そうだったから楽にしてやったんだけど、邪な奴らは生きながら血を抜いて殺したよ。
弟もさ、すっかり種馬扱いになっててさ、血を抜いてやったらぼんやりしてさ、そのまま死んじまったよ。
ああ、これはいかん。
あらかた死んだな。
種族限界数がヤバい予感。
仕方が無いな。
このままではこの国は無くなりそうだし、ちょいと隔離するか。
【隆起】
魔族の領地が隆起する。
土地が数百メートル隆起し、地上と隔絶する。
ふうっ、たくさん飲んでおいて良かったな。
あれ、崇めているのか?
ああ、天変地異みたいな事を起こしたからか。
まあいい、しばらくのんびりするか。
王宮にはもう、誰も居ない。
全員が邪だったからな。
洞窟の中の奴らも陰謀の相談中で、だからみんなさようならだった。
大量の血液樽はボックス行きになり、存在を食らった栄養で土地の隆起を成したと。
ふむ?
抱けと言うのか。
さて、可能かどうか試してみるか。
手を自らの身体に透過させ、刺激させて屹立させて投入。
更に刺激で放出するも、そこに何の感情も無いな。
腹が温かく感じたのか、妙に嬉しそうな女。
他にも数人の女が希望し、その作業は何度かやった。
もういいだろ、希望だからやったが、楽しくも何とも無い。
飽きたのでまた狩りに行く事にするが、その前に魔物の肉を放出しといてやろう。
洞窟の中はもう誰も居らず、だから氷室にしてやろうな。
ボックスから出す時に冷凍し、そこらに転がしていく。
冷却魔法で洞窟内を冷やしながら、ひたすらひたすら冷凍肉を積み重ね……
どうにも減った気がしないが、後は動物でも取って来てやるよ。
人族の国で素材と交換で動物を仕入れ、隆起した領地に放す。
野菜の種や穀物のもみも交換し、供給しておいた。
まあ、後は好きに生きていくがいい。
オレはまた狩りの日々に戻るから。
数年後に行ってみると、また人が減っていた。
ううむ、奴隷でも仕入れるか。
数百の奴隷を素材と交換で入手し、オレの子を産んだ女に渡しておいた。
どうやら数人の子供になったらしいが、銀髪で赤い瞳は1人だけだった。
そいつが長になるのかねぇ。
奴隷との交配を推奨し、オレはまた狩りの日々に戻った。
滅びるにしろ、滅びないにしろ、魔族はもうあれだけだ。
元々、勇者との戦いで絶滅寸前になっていたんだ。
ドラゴン作戦で何とか退けたものの、先はどのみち無かったんだ。
数百の魔族など、人族の連合軍に襲われては、どのみち絶滅の未来しかない。
しかも静かに暮らせば良いものを、反攻作戦を計画とか、他の魔族の迷惑だから消したんだ。
ちょっとその数が多かったけど、ああいう類は死なばもろとも、なんて考えだから困るんだ。
平和に暮らしたい魔族も道連れにしようとするからさ。




