不安のメロディ。
『常人には理解できませんよ。
私は、比喩的文学的美的な表現が、なんといっても人よりも突出していますからね。あああ。
孤独。天才の孤独。一度でいいから普通になってみたいもんですよ。わはは。』
ラジオから聞こえた、誰かのインタビュー。
僕は、ぶるぶる震えた。
『かっこいいすぎる!』
涙まで出てきた、っても、それは僕の心が特別に繊細にできてるわけではなくて、なんか出る。
見た感じ、透明の大きなガラスの粒なんだけど、そのあたりハイテクはなかなか理解してくれない。
『僕もあんなふうに立派な狂人になりたい!』
『そして、孤独になって、天才の孤独。
あああ。とか言ってみたい。』
狂え僕の心。
両手をぐーにして、願ってみたけど、
まだ狂ってはないみたい。
とりあえずできる事から、
ひとつずつやっていこう。
んなわけで、僕の心を引き留めているのは何?
お部屋の中を見回すと、
ベビースターラーメン、ロケット花火、
漂流教室の漫画の本。マジョリカ マジョルカ マジックティント。うーたんのぬいぐるみ。
オレンジゼリーの抜け殻。
執着。
こーゆー大切なモノたちに囲まれているから、
いつまでも狂えない。
おらよ。って僕はそんなモノたちを、
窓からポイした。
部屋の中は荒れ地みたいになって、
計画がいい感じに進んでいる感じ。
例えば、満員電車を持ち上げたり、
例えば、マディソンスクエアガーデンをファンで満員にしたり。わあ。ドキドキする。
そんな将来の成功のビジョンをビジョンしていたら、嬉しくなってきた。
しばらく瞬きを全くしない練習をしてみたけど、
やめた。
そろそろ僕の美しい狂いに、
誰かが気づいた頃かな?
インタビューの人が、今、向かっているのかな?
こんなに順調に狂ってしまえるのなら……
あの時に、狂ってしまえていたなら……
君を失わずにすんだのかな………
ガラスの粒。
↑みたいな、傷ついた人のふりをしてみた。
これは、いいかもしんない。泣ける。
ぜんぜん平気だよ?
僕には思い出がない。
荒れ地に、3センチ落ちていた、ベビースターを
ポリポリ食べて、これで僕の可愛さも際立った。
物理破壊も、内面の破壊にも成功したなあ。良かったー。
髪の毛もふわふわを超えて、夜を超えて、
誰も追いつけない速度まで来た。
どこかで、ビスケットが終わりを予感して、
タクシーがとまって、
禁煙の部屋での喫煙。
名前の無いなにか。
そんなもんは。そんなもんをいつまでも。
あるのは1秒先だけなんだ。わはは。
そろそろ上手に狂えたかな?
まだかな?
鳴り響く、不安のメロディ。
美しくありたい。




