迷子たちの楽団。
鈴カステラ屋さんの前で、
知らない人に話しかけられた。
『意地悪なクイズするよ?』
意地悪?
この時点でもう泣きそう。
できれば逃げ出したい。
『セント・アイヴズに向かう男、
その手にはビニールの袋………』
え?
始めちゃったの?これ。
僕は、
いいですよ。
なんて言ってないのに?
やだな。泣きそう。
できれば逃げ出したい。
『ビニールの袋の中には子猫が七匹。』
え?
そんな。
ビニール袋なんかに入れていーの?
ホントに大丈夫?
かわいそうじゃない?
『途中で、母猫に出会った。』
え?
お母さん猫、ずっと隣にいなかったの?
今、出会ったの?
ずっと子猫ちゃんたちを探していたんじゃない?
大丈夫?
『さらに先へ進むと、次は女に出会った。』
ちょっとちょっと。
お母さん猫と、子猫ちゃんたちはどうなったの?
ビニール袋の、ニャーんに気づいたお母さん猫が迷子の子猫ちゃんたちを抱きしめた。
だよね?
ちがうの?
大丈夫なの?
いいの?
『女の手には七匹の子猫。』
え?
また迷子なの?
この子猫ちゃんたちのお母さん猫は?
さっきの、迷子の子猫ちゃんたちのお母さん猫がどうなったのかもまだ教えてもらえてないのに、
どうしよう。
僕はどうしたらいいんだろう。
『セント・アイヴズに到着したのは何人?』
迷子の子猫ちゃんたちが七匹。
迷子の子猫ちゃんたちが七匹。
僕の部屋は、狭いけれど、
お母さん猫が迎えに来てくれるまで、
一緒に暮らそうか。
窓辺に、お花も飾ろうね。
夜には、お月さまや、お星さまを見つめたり。
夜更かしをして、
誰にも見つからないように、
そっと、お散歩をしよう。
十四匹の迷子の子猫ちゃんたちと僕。
んふふ。
なんだか楽団みたいだね。




