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3時頃には、いつものお茶休憩が入るのが城水家の日常である。城水は、なされるまま、従うことにした。すべてが受け身である。
「あのさぁ~。最近、坂の下、綺麗だと思わない」
里子がクッキーを頬ばりながら、とんでもないことを言い出した。城水は危うく口にしたシナモン・ティーを噴き出しそうになった。最近・・坂の下・・綺麗・・城水の脳内は、ただちに里子の言動を分析し始めた。脳内に図式や数値が飛び交った。その結果、これは、送られたデータにはない突破事項である・・と脳は判断した。そして、とりあえず暈せ! と、城水自身に命じた。
[…ああ]
「ここ、ひと月ほど前からなのよね」
[誰かが掃除してんじゃないか]
城水は恍けて、そう言った。
「そうなのかしら? …」
「きっと、そうだよ、ママ」
そこへ雄静が割って入り、里子は納得して頷いた。城水としては雄静のひと言は助け舟になった。すでに城水はクローン化して以降、指令からのテレパシーを傍受出来たから、その事情は知らされていた。だが家族に話す訳にはいかない。飽くまでも自分は異星人ではなく、城水自身であり続けねばならなかった。それが里山家の城水に与えられた指令だった。
その後は何事もなく、クローン化した城水は無事に城水を演じ切った。夕方になり、城水が庭へ出たときである。
[私は[1]だ。覚醒したようだな]
城水家を観察するクローン[1]から城水にテレパシーが飛んだ。




