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[そうか。ならば、初期化はしばらく様子 ながめだな…]

 指令船の上官と目される異星人は穏やかに声でクローン[1]へテレパシーで返した。むろん、その異星人も外見上は城水の姿で、他のクローン達と、どこも変わらなかった。城水の生まれる前の胎内細胞は、過去に採取されてクローン作成に培養されたのだった。

 こちらは、城水家の日曜の昼下がりである。城水は、書斎、台所、キッチン、トイレ…と、家中をくまなく散策していた。いや、散策しているというのは表向きで、その実態は調査である。なにせ、外見上は城水であっても、記憶が途絶えて以後は城水のクローンであり、それまでのすべての記憶は消滅していたのだ。里子や息子の雄静ゆうせいに形だけでも話を合わせられるのは、それまでに調べられているデータによって、だった。だから、いろいろと家内を調べねばならなかったのである。自分の所持品がどこに収納されているのかも、当然ながら皆目、見当がつかない城水だった。

「今日は、よく動くわねぇ~。なにか探し物?」

 不審に思った里子が後ろ姿の城水に声をかけた。

[んっ? ああ、ちょっとな…]

 城水は、はぐらかし、少し急ぎ過ぎたか…と、以後は自重することにした。里子や雄静に不審に思われては、この先、なにかと不都合なのだ。これでは、指令船からの命令が果たせず、元も子もない。

[ははは…今日は、おかしいな、俺]

 城水は少しテンションを上げた。感情の抑揚からではなく、城水は普段、もう少し明るい…と分析判断した結果だった。

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