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「あなたぁ~! ご飯よぉ~~!」
少しも以前と変わらない里子の声がした。人間は恐怖感が過ぎると、返って平静に戻るのか…と思えた。脳内数値もその城水の考えを肯定するかのように100%の確率数値で示した。よく似通った人間の現象として、悲し過ぎると涙が出ないことがある・・と、数値は冷静なデータを城水の脳内で示して加えた。
[ああ! 今、行く!]
城水は庭からテラスに上がり、足をキッチンへと戻した。
そして、城水家の三人にとって恐怖の夜がやってきた。とはいえ、普段と別に変わりない夜である。深夜、SF映画のに類似した異変が世界で起こる・・と城水の脳内数値が98%の確立を示した。だが城水は、とてもそうなるとは思えなかった。
雄静は? と見れば、いつもの所作でテレビのリモコンを押し、画面に映し出された番組を観ている。城水は、いつもと変わりなく新聞記事に目を通した。里子も、いつもと変わらず、食後の洗いものに余念がない。今夜がこの次元で過ごす城水家の最後の夜になるとは、城水自身にも信じられなかった。だが、そうなる・・と指令がつたえたのだからそうなるのだろう…と城水は諦念した。ただ一つ、異星人達の諸事情がいったい何なのか? という知らされなかった小さな疑問が蟠りとして城水に残った。
城水の心に引っかかった異星人の諸事情は実にシンプルな形で表面化することになるのだが、今の城水はそれらの事情を知らず、ただ里子や雄静となるに任せるしかなかった。
夕食は無言のまま進み、手早く終わった。




