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第26話:居眠り用グッズを頼んだら、天才魔導具師が魂の革命を起こしかけていた

――バッシャァァァンッ!!


「ごめんあそばせ! ちょっと腕の良い職人に頼みたい【極秘の国家機密案件】……じゃなくて、急ぎの私用があるのだけれど!!」


私は名門王立貴族学園の北校舎地下、薄暗くジメジメとした通路の突き当たりにある錆びついた鉄扉を、蹴破らんばかりの勢いで両手で押し開けた。

扉に歪な白ペンキで殴り書きされていた『魔導試作工房・関係者以外立ち入り禁止(特に貴族は即座に失せろ)』という治安最悪の警告文など、私の「今すぐ寝たい」という欲望の突進力の前にはただの飾り同然である。


開け放たれた工房の内部から、モワッとした熱気とともに鼻を突いてきたのは、機械油のツンとした刺激臭と、過負荷で焼き切れた魔石特有の焦げ臭い煙だった。

広さは教室二つ分ほど。

しかし、その空間の九割は、天井まで届かんばかりに積み上げられた真鍮の歯車、ねじ切れた銅線、奇妙にうごめく試作魔導具の残骸、そして数式がびっしりと書き殴られた羊皮紙の山で埋め尽くされていた。足の踏み場もないとはまさにこのことだ。前世のブラック企業で、システム開発部のサーバー室兼物置に無断で寝泊まりしていたヘビープログラマーのデスク周りを彷彿とさせる、強烈なオタクの巣窟である。


「……誰だ。ノックもなしに他人の聖域へ土足で踏み込んでくる礼儀知らずは」


ガラクタの山の向こうから、煙を払うようにして一人の青年が姿を現した。

年齢は私と同じか、一つ二つ上といったところか。

鳥の巣のようにボサボサに爆発した鳶色の寝癖頭に、煤と黒い機械油がべったりと擦り付けられた無骨な作業着。首元からは魔導ノギスと工具ベルトをぶら下げ、その隈の濃い琥珀色の瞳は、侵入者である私を親の仇でも見るかのように冷たく射抜いていた。

平民特待生にして、学園きっての偏屈な天才魔導具師――ヒューゴ・ベルンハルトである。


ヒューゴは私の顔――いや、私の身に纏う最高級ウールの濃紺ブレザーと、そこに輝くグランヴェル筆頭公爵家の金糸の校章を一瞥した瞬間、その端正な顔立ちをあからさまに嫌悪で歪めた。


「……チッ。貴族のお嬢様か。取り巻きも連れずにこんな地下の掃き溜めに単身で乗り込んでくるとは、随分と肝が据わっているな。だが生憎と、俺は貴族の道楽に付き合う気は毛頭ない。宝石をあしらった光るだけのブローチだの、舞踏会で目立つための香水噴霧器だのを作ってほしいなら、本校舎の一等地に店を構えてる御用達ギルドへ行きな。……ここは、本物の魔導を追究する場所だ。失せろ」


吐き捨てるような、棘だらけの塩対応。

普通の貴族令嬢なら「無礼者!」と激怒して衛兵を呼ぶか、その汚らしい身なりに悲鳴を上げて逃げ出すところだろう。

だが、前世の社畜時代に下請け工場の頑固親父や、仕様変更に激怒するベテランSEたちと幾度となく胃を削りながら交渉してきた私にとって、この程度の悪態は「おはよう」の挨拶にも等しかった。むしろ、最初から愛想よく擦り寄ってくる人間より、技術にプライドを持っている職人のほうが何倍も信用できるというものだ。


「貴族の道楽? 光るだけのブローチ? ふん、そんな無駄にキラキラした産業廃棄物なんて、我が家の倉に漬物石代わりに山ほど転がっているわよ。私がそんなくだらないものを頼みに来るわけがないでしょうが」


私は散乱する金属片をブーツの先で器用に避けながら、大股で工房の中央――散らかり放題の作業机の前へとずかずかと進み出た。

仁王立ちになり、机の上に両手をついて身を乗り出す。


「ヒューゴ・ベルンハルトね。貴方の偏屈ぶりと腕の良さは聞き及んでいるわ。単刀直入に言うわよ。……私、今、猛烈に眠いの」


「……は?」


ヒューゴが、呆気にとられたように間抜けな声を漏らした。

眉間に刻まれていた鋭い皺が、一瞬だけピクピクと痙攣する。


「お前……今、何て言った?」


「聞こえなかったかしら? 眠いのよ! 死ぬほど眠いの! 昨夜は真夜中に庭先で変質者集団に篝火を焚かれて安眠を妨害され、今朝は八時半から退屈極まりない魔導史の講義に座らされたのよ! あんな退屈な呪文の羅列を聞かされて、どうして人間が正気を保って起きていられるというのよ!!」


「知るか!! お前の睡眠事情なんぞ俺の知ったことか! 眠いなら寮に帰って寝てろ!!」


「それができないからここに来たんじゃないのよ!!」


私はダンッ!と作業机を拳で叩いた。机の上のネジが数個、跳ね上がって転がる。


「考えても御覧なさい! あの大講堂で、公爵令嬢であるこの私が机に突っ伏して爆睡してみなさいな! 教師は卒倒し、前列の生徒は『聖女様がお倒れになられた!』と騒ぎ立て、神殿から治癒術士が十人単位で雪崩れ込んできて大パニックになるに決まっているでしょうが! 私は目立ちたくないの! 騒がれたくないの! ただ穏やかに、空気のように息を潜めて、誰にも気づかれずに授業時間丸ごと夢の世界へトリップしたいのよ!!」


ヒューゴは口を半開きにしたまま、頭痛を堪えるように片手で額を押さえた。

貴族嫌いの天才児にとって、目の前で喚き散らす筆頭公爵令嬢の言い分は、あまりにも常軌を逸した我儘であり、同時にあまりにもスケールが小さすぎて脳の処理が追いつかないようだった。


「……つまり何だ。お前は……授業をサボって居眠りをするために、わざわざ俺の工房へ乗り込んできたと……? この俺に、カンニンググッズか何かの片棒を担げと言うのか?」


「カンニングなんていう向学心の欠片もない低レベルな話をしていないわ! 私が求めているのは、もっと高度で、もっとエレガントで、前世……じゃなくて我がグランヴェル家の英知を結集した【至高のサボり支援マシーン】よ!」


私は作業机の上に無造作に散らばっていた一枚の黄ばんだ設計用メモ用紙と、インクの固まりかけた羽ペンを引ったくった。

イメージせよ。

前世の社畜時代、金曜日の午後四時から始まる役員同席の地獄の全社定例会議。

徹夜明けの朦朧とした意識の中で、私が喉から手が出るほど欲しかった、あの夢のガジェットを!


「いい、よく聞きなさいヒューゴ! 作ってほしいのは、手のひらサイズの小さな【首振り人形】よ!」


私は羽ペンを走らせ、サラサラと雑極まりないスケッチを描き始めた。

車のダッシュボードに置くソーラー首振りマスコット。

あるいは、かつて玩具屋で見かけた、規則的に頭を上下にカクカクと揺らす鳥の玩具。

それに、前世の高級オフィスチェアが備えていた「体重移動に追従して微小なロッキング運動を繰り返す反発スプリング機構」の概念をドッキングさせる。


「これを私の胸元、あるいは机の上のペン立ての陰にセットするの! 私が講義中に完全に意識を失って白目を剥いて舟を漕ぎ始めても、このマシーンが周囲の音声を感知して、私の代わりに『うん、うん』と絶妙なリズムで深く規則的に頷いてくれるのよ! さらに三分に一度、教師がそれらしい専門用語を口にした瞬間に、微小な指向性音響魔法で『なるほど』『確かに』と知性あふれる呟きを教室に響かせるの! これさえあれば、教師からも生徒からも『おお、エレオノーラ様は今日も熱心に講義を咀嚼しておられる』と誤認させることができるわ!」


「……はあ? 首振り……? 相槌……?」


ヒューゴの顔から、完全に毒気が抜けていた。

呆れ果てて言葉も出ないといった様子で、彼は鼻を鳴らす。


「下らん。技術の無駄遣いにも程がある。……だいたいな、そんな複雑な音声感知と連動機構を手のひらサイズに収めるだけでも至難の業だ。おまけに、そんな微細な可動部に魔石を組み込んでみろ。起動から十分で魔力が枯渇するか、過熱して胸元で爆発するのがオチだ。魔石の交換はどうする? そんな面倒な代物、実用性ゼロだ」


「だからよ! 魔石の交換なんてかったるいこと、私がするわけないでしょうが!」


私は羽ペンの尻で机をコンコンと叩いた。


「動力? そんなの【永久機関】でいいに決まってるじゃないの! 面倒だから、外部から魔力を補給しなくても、そこらへんに漂ってる空間の余剰魔力(エーテル)を勝手に吸い上げて、勝手に半永久的に動き続けるようにしなさいよ!」


「……おい、ふざけるのも大概にしろよ」


ヒューゴの声の温度が、一気に氷点下へと急降下した。

彼の瞳に、再び侮蔑と冷たい怒りの炎が宿る。


「空間魔力の直接変換だと? 永久機関だと? ……魔導工学を何も知らん素人が、童話の読み聞かせのノリで口にするな。大気中の希薄なエーテルを励起させて直接動力に変換する技術なんぞ、古代文明の崩壊とともに失われて何百年も経ってるんだよ。王立研究所の碩学どもが何万人束になって予算を注ぎ込んでも、一ミリも解明できていない現代魔導の最大の壁だ。それを……首振り人形の動力に永久機関を使えだと? 俺をコケにするのもいい加減にしろ、この世間知らずの温室令嬢が!!」


ヒューゴが怒声を張り上げ、私の手からメモ用紙を力づくで引ったくろうとした。

だが、私はその手をヒラリとかわした。


「世間知らず? 何言ってんのよ、空間のエーテルなんて、ただの空気中の静電気みたいなものじゃない。要は、循環の波長をこうやって……こうやって捻って、自分を『魔力の空白地帯(ブラックホール)』に見せかけて呼び込めばいいだけでしょ!」


「は……?」


私は手元のメモ用紙の余白――首振り人形の雑なラクガキのすぐ下のスペースに、羽ペンを走らせた。

それは、言葉による数式ではない。

グランヴェル筆頭公爵家の血筋が、建国以来その魂に刻み込んできた、息をするように超常の奇跡を引き起こすための【古代魔力励起の幾何学パターン】。

前世で幾度となくプログラミング言語のデッドロックを力づくで解消してきた私の論理的思考と、公爵令嬢の規格外の古代魔力感覚が合体した、究極のショートカット術式。


――カリカリカリカリッ……!


羽ペンの先から、摩擦熱でかすかに煙が上がる。

空間のエーテルを取り込むための受動的共鳴陣。

取り込んだ魔力を熱暴走させずに微小なトルク運動へと変換する、三重螺旋の減速術式。

余剰エネルギーを再び大気へと還元し、完全な無散逸サイクルを形成するクローズド・ループの魔力回路図。


「ほら! こうやって術式を組めば、勝手に大気中の魔力が吸い寄せられて、外部電源なしでカタカタ動き続けるでしょうが! 工学の理論なんて小難しくこねくり回してないで、動けば官軍なのよ!」


私は殴り書きを終えると、インクの乾いていないそのメモ用紙を、ヒューゴの胸板へと「ペタァン!」と力任せに貼り付けた。


「納期は三日後よ! 完璧に機能する首振りブローチを一基、私のところへ納品しなさい! 報酬なら公爵家の金庫から金貨でもミスリルでも好きなだけ弾んであげるわ! じゃあね、私はもう限界だから、中庭の木陰で寝てくるわよ!!」


言いたいことだけを一気にまくし立てると、私はすっきりした顔で踵を返した。

背後でヒューゴがどんな顔をしているかなど、睡魔に脳を侵食された私には知ったことではない。

これでいい。

偏屈な職人に無茶苦茶な難題を押し付け、理不尽に納期を迫る。

これぞ、横暴な悪役令嬢のクライアント・ハラスメントの極みである。

三日後、あいつが「できるわけねえだろ!」と怒鳴り込んできたら、「無能ね」と冷たくあしらってやれば、平民層からの悪評もバッチリ稼げるというものだ。


私はあくびを噛み殺しながら、意気揚々と薄暗い工房を後にしたのだった。


***


「…………」


工房の扉がバタンと閉ざされ、地下の静寂が戻った後も。

ヒューゴ・ベルンハルトは、石像のようにその場から一歩も動けずにいた。


胸板に貼り付けられた、一枚の黄ばんだメモ用紙。

そこに描かれていたのは、前半は確かに、子供の落書きのような首振り人形のスケッチだった。

しかし――その下。

余白に、乱暴な筆致で殴り書きされていた【数式と魔導回路】。


「……っ」


ヒューゴの指先が、ガタガタと音を立てて震え出した。

彼は剥がれ落ちそうになったその紙を、まるで割れ物を扱うかのように両手でそっと包み込み、作業机のランプの光の下へと運んだ。

焦げた油の匂いの中、琥珀色の瞳が、紙面に踊るインクの軌跡を一心不乱に追う。


「な……んだ……これは……?」


ヒューゴの喉から、掠れた嗚咽のような声が漏れた。

鳥肌が、全身の皮膚を粟立たせていく。

理解できないはずの数式。

現代の魔導工学のどの教科書にも、王立アカデミーのいかなる機密論文にも載っていない、未知の魔導体系。

だが――ヒューゴの天才的な頭脳は、その数式が意味する「真理」を、瞬時に理解してしまっていた。


(受動的……共鳴……? 魔石を触媒とせず、大気中の希薄なエーテルの疎密波を、幾何学的な共振によって自律的に励起させる……!? なんだこの美しすぎる三次元ループ構造は……! なぜ、なぜ今まで誰も気づかなかった!? 魔力を『集める』のではない……『空間に魔力の段差を作る』ことで、自然に流れ込ませているのか……!!)


ヒューゴの呼吸が、浅く、速くなる。

心臓が早鐘のように胸壁を打ち鳴らしていた。


かつて、ヒューゴは平民の生まれであることを理由に、数々の貴族の魔導学者たちから見下され、研究の成果を奪われ、この地下の掃き溜めへと追いやられてきた。

『平民の分際で魔導を語るな』

『泥臭いガラクタいじりがお似合いだ』

その悔しさをバネに、彼は既存の魔導理論をすべて疑い、独力で新たな工学の地平を切り拓こうと、血反吐を吐きながら研究に没頭してきたのだ。

その彼が――何年も挑み続け、数万枚の計算用紙をゴミ箱に捨て、どうしても解けなかった「空間エーテル励起の減速比率の矛盾」。

その答えが。

この紙の余白に、わずか数十秒の殴り書きで、完璧に、寸分の狂いもなく解き明かされていた。


「あり得ない……あり得ない、あり得ないッ!!」


ヒューゴは頭を抱え、作業机に突っ伏した。

涙が、油で汚れた頬をツーと伝い、机の上の真鍮の歯車を濡らしていく。


「首振り人形だと……? 授業の居眠り用マシーンだと……!? ふざけるな、ふざけるなよ……ッ!!」


ヒューゴの唇が震える。

欺瞞だ。

あまりにも壮大で、あまりにも残酷なまでの、知性の戯れ。


(あのお方は……エレオノーラ・フォン・グランヴェルは、最初から知っていたのだ……! 俺がこの数年間、空間エーテルの動力変換に行き詰まり、絶望の淵に立っていたことを……!)


ヒューゴの深読みは、常人の想像の限界を遥かに超えて、宇宙の果てへと加速していた。


(あえて『首振り人形を作れ』というふざけた要求を突きつけることで、俺のプライドを粉々に打ち砕き……そして、『永久機関でいいわ、面倒だから』と言い放ちながら、この神の数式を俺の目の前に叩きつけた……!)


そう、ヒューゴには見えていた。

あの深紅の瞳の奥にあった、絶対零度の静寂。

あれは傲慢などではない。

世界の理のすべてを見透かした超越者が、己の矮小な研究に行き詰まっていた平民の青年に向けて放った――【至高の導き】だったのだ!


『工学の理論なんて小難しくこねくり回してないで、動けば官軍なのよ』


あの言葉が、ヒューゴの脳内で雷鳴のように反響する。

そうだ。自分は既存の理論の枠組みに囚われ、頭でっかちになりすぎていた。

理論のために魔導具を作るのではない。

人の生活のために、最小の労力で、最大の成果を叩き出すことこそが、工学の本質ではなかったのか。


「怠惰……」


ヒューゴは顔を跳ね上げた。

その琥珀色の瞳には、先ほどの冷笑や絶望は微塵も残っていなかった。

宿っていたのは――狂気的なまでの職人魂と、神仏の啓示を受け取った求道者の、燃え盛る情熱の炎。


「あのお方は……『至高の怠惰』という名の、全く新しい魔導体系を俺に提示されたのだ……! 最小のエネルギーで、最大の効率を生み出し、あらゆる無駄を削ぎ落とす……これこそが、貴族たちの無駄に贅沢な魔導を根底から覆す、真の技術革命じゃないか……!!」


ヒューゴは震える手で工具ベルトからレンチと魔導ドライバーを引き抜いた。

机の上のガラクタを豪快に腕で薙ぎ払い、清浄な作業スペースを作り出す。

そして、壁に貼られた公爵令嬢の手描きメモを、まるで神殿の御神体のように押しピンで丁寧に留めた。


「三日後……三日後だな、エレオノーラ様」


ヒューゴの口元に、獰猛な笑みが浮かぶ。


「作ってやる……! あんたが講義中にどれだけ涎を垂らして爆睡しようが、絶対に誰にも気づかせない、神代の技術を凝縮した世界最高の『至高の首振り人形』を、この俺の手で組み上げてみせるッ!! あんたのその深淵なる怠惰の哲学、このヒューゴ・ベルンハルトが形にしてやるよォォォッッ!!」


薄暗い工房に、旋盤の甲高い回転音と、青白い魔力の火花が激しく散り始めた。

平民の天才職人が、悪役令嬢の適当なラクガキによって、世界の産業構造を百年前倒しでひっくり返す「魔導産業革命」の引き金を引いてしまった瞬間であった。


***


――そして、その頃。

学園の中庭、樹齢数百年の大樹の木陰では。


「すぴー……すぴー……むにゃ……だから言ったじゃない、課長……そのバグは仕様よ……」


芝生の上に敷いたピクニックシートの上で、私は鞄を枕にして、完璧な無防備さで爆睡を貪っていた。

初夏の心地よい木漏れ日。

通り抜ける爽やかな風。

己が叩きつけた適当なメモが、一人の若き天才の魂を狂気の信徒へと改造し、国中の魔導学会を揺るがす未曾有の大騒動の火種になっていることなど――夢の世界で有給休暇を満喫する元社畜OLは、これっぽっちも知る由がなかったのである。

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