第15話:寝起きの悪女、神の代行者として熱烈にスカウトされる
――ドンドンッ! ドンドンッ! ドンドンッ!
重厚な防音結界を通り抜けて、なおも自室の樫の木の扉を激しく打ち鳴らす暴力的なノックの音。
それは控えめな従者のノックなどでは断じてなく、まるで火事か大地震でも起きて今すぐ逃げ出さねば命がないと言わんばかりの、鬼気迫る連打だった。
「……誰よ、私の神聖なる二度寝の聖域に土足で踏み込んでくる不届き者は……!」
私はベッドの上でシーツを跳ね除け、仁王立ちになった。
頭髪は寝癖で爆発し、シルクのパジャマの襟元は盛大にはだけ、口元には先ほどまで垂らしていた唾液が微かに光っている。
前世の社畜時代、ようやく訪れた三連休の二日目、昼過ぎまで泥のように眠っていたところへ「ネット回線の営業でーす!」とインターホンを十連打された時の殺意が、全身の毛穴からマグマのように噴出していた。
安眠の妨害。
それはこの世に存在するあらゆる重罪の中でも、最も重い極刑に値する暴挙である。
「リディエ! 扉を開けなさい! そこに立っている無礼者の頭に、部屋にある一番重いクリスタルの灰皿を投げつけてやるわ!」
私が怒髪天を衝く勢いで命じると、部屋の隅で淡々と待機していたリディエが、スッと滑るような所作で扉の閂を外した。
扉が開かれた瞬間――雪崩のように転がり込んできたのは、やはりと言うべきか、お馴染みの白髪の中年男性だった。
「お、お嬢様ァァァッ!! ご無事で……! 息をしておいでですかッ!?」
公爵家筆頭執事、クリストフである。
彼の顔面はもはや青白いを通り越して土気色を呈しており、額からは滝のような脂汗が流れ、右手には体の一部と化した胃薬の小瓶がカチャカチャと悲鳴を上げていた。
「息ならしてるわよ! 見てわからないの!? っていうかクリストフ、私の睡眠時間を削る権利がこの屋敷の誰にあると思っているのよ! 有給休暇を強制的に三ヶ月分叩きつけて、南の果ての無人島へ島流しにされたいのかしら!?」
「ひ、悲鳴を上げたいのは私の胃袋でございますぞォッ! お嬢様、外をご覧あそばせ! 屋敷の周囲が……王都中が、とんでもないことになっております!」
「外? 外が火事でも私の昼寝には関係ないわよ!」
「関係大ありでございます! し、神殿の最高権力者……筆頭神官シルヴァン・エデルシュタイン閣下が、神殿直属の白銀騎兵隊を率いて、我が公爵邸のサロンに怒鳴り込んでまいりました!」
「……はあ? 神官?」
私は心底かったるそうに眉間を揉みほぐした。
神殿。
国教たるルミナス教の総本山であり、王室や貴族院とは一線を画す宗教的権威の頂点。
そこに所属する若き筆頭神官シルヴァンといえば、原作乙女ゲーム『王冠のロンド』においても、天使のような美貌の裏に冷酷な計算と権力欲を秘めた、腹黒ヤンデレ枠の攻略対象だったはずだ。
「あいつ、何の用よ。我が家はお布施の滞納なんて一銭もしていないはずでしょうが」
「お布施どころの話ではございません! 『屋敷上空に展開された異常結界の主を出せ! 神殿への冒涜、あるいは邪神の降臨か確かめるまでは一歩も退かぬ!』と、抜刀寸前の気迫でサロンに居座っておられます! 早く、早くお召し替えをお出ましを……!」
「チッ……めんどくさいわね。王太子の次は騎士団長、今度は神官ですか。この国の男どもは、私の昼寝を邪魔しないと死ぬ病気にでもかかっているわけ?」
私は盛大なため息をついた。
だが、ここで逃げ隠れしては、せっかく張ったこの極上の「エアコン結界」を解除させられるかもしれない。
紫外線と羽虫をシャットアウトする快適な二十二度の室温を維持するためなら、宗教界のトップだろうが神の化身だろうが、叩き出してやるまでだ。
「リディエ、一番軽くて着替えるのが面倒じゃないガウンを持ってきなさい。顔なんて洗わないわよ、どうせすぐ追い払ってベッドに戻るんだから」
「畏まりました。深紅のベルベットガウンを。髪は無造作に流したままでよろしいかと。冷淡な威圧感が際立ちます」
リディエの手際よいサポートにより、私はパジャマの上にガウンを羽織り、帯を乱暴に結んだだけの極めて怠惰な姿で、重い足取りのままサロンへと向かった。
***
サロンの分厚い扉の前に立つと、中からピリピリとした、針で刺すような鋭利な魔力の波が漏れ出ていた。
廊下に控えている近衛兵たちも、普段の整然とした様子とは違い、神殿の白装束の護衛兵たちと睨み合いを演じている。一触即発の空気。
「開けなさい」
私が命じると、リディエが扉を静かに押し開けた。
室内に足を踏み入れた瞬間――私の視界に飛び込んできたのは、窓辺に佇む一人の青年の姿だった。
プラチナシルバーの長い髪が、初夏の光を受けて青白く煌めいている。
陶器のように白く滑らかな肌に、冷ややかな知性を湛えた菫色の瞳。纏っているのは、神殿の最高位を示す純白と金糸の法衣だ。
シルヴァン・エデルシュタイン。
宗教界の頂点に君臨する、天使の美貌を持つ冷徹な怪物。
しかし――今の彼の姿は、社交界で噂されるような「涼やかな神の代行者」のそれとは、あまりにもかけ離れていた。
「……っ」
私が部屋に入った瞬間、シルヴァンの肩がビクッと大きく跳ね上がった。
法衣の裾には泥が跳ね、いつも完璧に整えられているはずの銀髪は汗で額に張り付き、胸元は激しい息遣いで上下している。
そして何より、その菫色の瞳。
そこには、冷酷な計算など微塵も残っていなかった。
極限の興奮と、底知れぬ畏怖、そして狂気に近い切迫感が、ギラギラと炎のように渦巻いていたのだ。
(……何よあいつ。マラソンでも走ってきたわけ? 息上がりすぎでしょう)
私は心の中で冷めたツッコミを入れながら、ドカリとサロンの長椅子に腰を下ろした。
足を組み、頬杖をつき、乱れた前髪を鬱陶しそうに払う。
挨拶も、会釈も、カーテシーもない。
前世の社畜時代、土曜日の早朝に「トラブル対応で今すぐ出社しろ」と電話してきた無能な後輩を迎えた時と全く同じ、純度百パーセントの不機嫌オーラを全身から撒き散らしてやった。
「……アポなしで我が家のサロンを占拠するなんて、神殿の偉い神官様は随分とお行儀が悪いのね。何か用? 見ての通り、私は今、猛烈に眠くて不機嫌なんだけど」
氷柱のように尖った、気だるげな声。
普通の貴族令嬢なら、神殿の最高幹部を前にして平伏するか、愛想笑いを浮かべるところだ。
だが、シルヴァンはその無礼極まる態度に怒るどころか、息を呑んで後ずさりすらした。
(な、何という気迫……! 神殿の長老たちをも黙らせる私の神聖威圧を、ただのあくび一つで霧散させただと……!?)
シルヴァンの背筋を、冷たい悪寒が駆け抜けていた。
目の前に座るエレオノーラ。
身にまとっているのは着崩したガウン一枚。髪も結い上げず、化粧すらしていない。
それなのに――彼女の周囲の大気は、神話の時代の主神の神殿すら凌駕するほどの、圧倒的な純度の神聖力で満ち満ちていたのだ。
吸い込むだけで魂が洗われるような、圧倒的な至高の霊気。
シルヴァンは震える拳を握りしめ、喉の渇きを潤すように唾を飲み込んだ。
「……エレオノーラ・フォン・グランヴェル閣下」
シルヴァンの掠れた声が、静かなサロンに響く。
「単刀直入に問わせていただきます。……王都の上空を覆い、大気中の魔素を根底から塗り替えているあの多重結界……あれは、貴女の仕業ですね?」
「……はあ?」
私は心底かったるそうに片眉を上げた。
結界? 自室に張った、あのエアコン結界のこと?
なんでそんなものが王都の上空に広がっているのかは知らないが、おそらく私のチート魔力が強すぎて、屋敷の外にまで漏れ出しているのだろう。
消せと言われても、消す気など微塵もない。
だって、結界を解除したら――また部屋にあの忌々しい蚊が入ってくるのだ。
太陽の紫外線が私の白い肌をチリチリと焼き、庭師のスコップの音が耳障りに響き渡るのだ。
そんな劣悪な環境で、どうやって二度寝をしろというのか。
(消す? 冗談じゃないわ。設定し直すのも面倒くさいし、あの蚊を叩き潰すまで絶対に結界は維持するわよ)
私は大きく口を開け、扇子で隠すことすら怠って、盛大にあくびを噛み殺した。
そして、半開きの緋色の瞳でシルヴァンを冷酷に見下ろし、身も蓋もない本音をそのまま吐き捨てた。
「ええ、そうよ。私が張ったわ。……部屋に入ってくる鬱陶しいものを、全部シャットアウトしたかっただけだわ。何か文句がおあり?」
***
「――ッッッッ!!!!」
シルヴァンの心臓が、破裂せんばかりに跳ね上がった。
視界が、急速に白く明滅する。
耳の奥で、血液がゴウゴウと激流のように音を立てていた。
(う、鬱陶しいもの……だと……!?)
シルヴァンの脳内で、エレオノーラの放った一言が、戦略級の雷撃となって炸裂していた。
鬱陶しいもの。
彼女は、あの地下深淵に沈殿していたドス黒いヘドロ――千年前の魔神戦争の残滓たる【古代の瘴気】を、そう呼んだのだ。
歴代の神官長たちが数百年にわたり封印を重ね、それでも抑えきれずに王都の喉元に突きつけられた刃として怯え続けてきた、国家存亡の危機。
もし地上に漏れ出せば、何十万の民が狂気に冒され、国が灰燼に帰すと恐れられていたあの呪詛の塊を。
『部屋に入ってくる鬱陶しいものを、全部シャットアウトしたかっただけ』
(まるで……まるで、窓辺に止まった羽虫を追い払うかのように言ったのか……!?)
シルヴァンの全身に、鳥肌が猛烈な勢いで広がっていく。
戦慄。驚愕。そして、己の浅ましさに対する底知れぬ羞恥。
シルヴァンは先ほど、魔眼で目撃したのだ。
公爵邸から放たれた光の柱が、地下水脈を貫き、千年の瘴気をまるで漂白剤のように一瞬で浄化し尽くした光景を。
あれは、狙って放たれた攻撃ですらなかった。
彼女にとっては、ただ「邪魔なものを締め出す」ために展開した防御膜の、ほんのわずかな余剰エネルギー。
それだけで――国家を揺るがす千年の災厄が、この世から消滅したのだ。
(何という力……何という器だ……! 己がどれほどの奇跡を起こしたかも誇らず、大掛かりな儀礼も求めず、ただ『鬱陶しいから消した』と言い放つ……! 神殿の長老たちが利権のために隠蔽し、弄んできた暗黒の遺産を、この御方は何の見返りも求めずに、たった一人で背負い、消し去ってくださったというのか……!!)
シルヴァンは自らの胸元をギュッと掴み、激痛に耐えるように顔を歪めた。
彼は今まで、神を信じてなどいなかった。
宗教とは愚民を統制するための道具であり、神聖力とは権力を握るための武器に過ぎないと考えていた。
だからこそ、エレオノーラを「偽聖女」として断罪し、神殿の駒にしてやろうと目論んでいたのだ。
だが、どうだ。
本物が、ここにいた。
人間の矮小な権力闘争など歯牙にもかけず、誰にも知られぬところで己の莫大な魔力を削り、たった一人で世界を浄化してみせる、真の神の代行者。
その崇高な魂の輝きの前に、己の抱いていた野心がいかに醜悪で、いかにドブ川のように濁っていたか。
「……ああ」
シルヴァンの喉から、魂が抜けるような溜息が漏れた。
彼の瞳から、これまでの人生で張り付いていた冷徹な氷の仮面が、音を立てて砕け散っていく。
代わりに宿ったのは――神仏を目の当たりにした原始の信徒のような、純粋で、盲目的で、狂気的なまでの「崇拝」だった。
「失礼……いたしました……」
シルヴァンは震える足で、一歩、エレオノーラへと歩み寄った。
そして。
――バサリッ。
最高位の神官のみが着用を許される、純白の法衣。
その裾を惜しげもなく床に擦り付け、シルヴァンはエレオノーラの足元へ、両膝から崩れ落ちたのだ。
「……えっ?」
エレオノーラが素っ頓狂な声を漏らす。
しかし、シルヴァンは彼女の困惑など目に入っていない。
彼は胸の前で両手を固く組み、天上の女神を見上げるような熱烈な眼差しで、エレオノーラを凝視した。
「失礼いたしました、エレオノーラ様……! 我が身の無礼、我が心の濁り……どうか、どうかお許しいただきたい……!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。なんで急に膝ついてんの?」
「貴女様こそが……貴女様こそが、神がこの地に遣わされた『真の聖女』でございます……!」
シルヴァンの声が、熱情に震えてサロンに響き渡る。
「己の偉業を誇ることなく、悪女の仮面を被り、人知れず王都の底に眠る千年の闇を浄化されたその無私の御心……! 我ら神殿の盲目なる神官どもが、何百年祈り続けても届かなかった神の領域に、貴女様はただお一人で立っておられる……!」
「……はあ? 千年の闇? 何の話?」
「とぼけないでいただきたい……ッ!」
シルヴァンは立ち上がり、身を乗り出すようにしてエレオノーラの手を両手で取ろうとした。
しかし、エレオノーラが「ヒッ」と手を引っ込めたため、彼は空を切った自らの両手をそのまま胸へと押し当て、感涙に濡れた瞳を輝かせた。
「エレオノーラ様! 貴女様のような至高の存在を、このような俗世の公爵邸に埋もれさせておくわけにはまいりません! 神殿へお越しください! 我が神殿の全権を、次代の【筆頭聖女】の座を、貴女様に捧げます!!」
「……はあぁぁぁぁぁっ!?」
エレオノーラの口から、本日一番の絶叫が飛び出した。
ひっとうせいじょ?
神殿の全権?
「ちょっと待ちなさいよ!! 神殿のトップって、あの毎日朝四時に起きて冷水で沐浴して、一日中信者の人生相談を聞いて、神への祈祷で一日が終わるっていう、あの地獄のブラック宗教法人でしょうが!!」
「ブラック……? いえ、神聖なる職務でございます! 貴女様の放つ神聖力があれば、国家のあらゆる災厄を未然に防ぎ、民を導くことができます!」
「嫌よ!! 絶対に嫌!! 誰が朝四時に起きるもんですか! 私の出勤時間は正午以降、終業時間は午後一時、週休五日制って決まってるのよ!!」
前世の社畜トラウマが炸裂したエレオノーラは、両手を激しく振って全力で拒絶した。
宗教のトップなんて、王妃以上に休みがないに決まっている。
四六時中、清廉潔白を求められ、贅沢もできず、昼寝なんてしようものなら「聖女様がお祈りをサボっておられる」と信者から糾弾されるのだ。
そんな過労死への特急券、タダでもいらない!
「神殿なんて絶対に行かないわ! 私はこのふかふかのベッドで、誰にも邪魔されずに一生ゴロゴロ昼寝して暮らすの! 聖女の座なんて、他の暇人にでも押し付けなさいよ!!」
唾を飛ばさんばかりの勢いで罵倒するエレオノーラ。
これ以上ないほどの身勝手な拒絶。
これ以上ないほどの怠惰の宣言。
常識的な人間であれば、「何という不届き者だ、神の恩寵を何と心得る!」と激怒し、絶縁状を叩きつける場面である。
――しかし。
シルヴァン・エデルシュタインの狂信的な瞳には、その言葉の全てが、神々しいまでの「自己犠牲」として映し出されていた。
「……ああ」
シルヴァンは深々と頭を垂れ、両肩を震わせた。
「なんと……なんという無欲……! 国家最高の宗教的権威、王家すら凌ぐ神殿の頂点の座を……まるで道端の小石のように蹴り飛ばされるとは……!」
「いや、小石じゃなくてただの過重労働だから嫌なのよ!」
「『他の暇人に押し付けろ』……すなわち、神殿の腐敗した長老どもにこそ反省を促し、己は名誉や権力に一切執着せず、市井の片隅で孤独に世界を護り続けると仰るのですね……!」
「言ってない!! 一文字も言ってない!!」
「エレオノーラ様……! 貴女様のその気高い魂、我が命に変えても必ずや神殿の頂点へとお迎えしてみせます! 旧態依然とした神殿の規則など、貴女様のために全て作り直してみせましょう!」
「作り直さなくていいから! 来ないで!!」
エレオノーラの悲痛な叫びは、またしても完璧にスルーされた。
シルヴァンは立ち上がり、晴れやかな、そして底知れぬ狂気を含んだ美しい笑みを浮かべて、胸に手を当てて一礼した。
「本日はこれにて失礼いたします。……しかし、私は諦めません。貴女様こそが、我が信仰のすべて……麗しの聖女エレオノーラ様」
そう言い残し、シルヴァンは風のようにサロンを去っていった。
その後を追う神殿兵たちの足音も、先ほどまでの殺気配は完全に消え失せ、まるで巡礼を終えた信徒のように整然としていた。
バタン、と扉が閉まる。
静寂が戻ったサロン。
長椅子の上で、エレオノーラは両手で頭を抱え、魂が口から半分抜け出た状態で固まっていた。
「……リディエ」
「はい、お嬢様。神殿からの勧誘、見事にお断りになられましたね」
「断った……はずよね? 私、ちゃんと言ったわよね? 嫌だって」
「はい。しかしシルヴァン閣下の瞳を見る限り、非公式ファンクラブの筆頭名誉会長に就任されたような熱気でございました」
「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっ!!!!」
エレオノーラの絶叫が、エアコンの効いた快適な室内に虚しく木霊した。
王太子レオポルトが忠犬化し、近衛騎士団長マティアスが私兵化し、そして今度は神殿の若き最高権力者までもが狂信者へとジョブチェンジしてしまったのだ。
国家の三大権力が、すべて「エレオノーラ様至上主義」という狂気の一点において結託しつつある。
「もう嫌……! 外に出たくない! 誰とも会いたくない!!」
頭を抱えて自室へ逃げ帰ったエレオノーラ。
しかし、このシルヴァンの暴走が、神殿の内部抗争を激化させ、さらなるトラブルを彼女の元へ呼び寄せることになるなど――この時の彼女は、まだ知る由もなかったのである。




