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夕闇が静かに山あいの町を包み込み、書斎の窓からは一番星が見え始めていた。
パソコンのモニターに照らされた茂とあかりの顔は、どこか高揚感に満ちている。数時間前までただの「古い写真の山」だったデータは、今やあかりの感性とクロードの技術、そして茂の情熱が溶け合った、宝石箱のようなデジタル・アーカイブへと進化していた。
「ねえ、じいじ。最後にさ、これにお手紙をつけられない?」
あかりが、キーボードに手を置きながら言った。
「お手紙?」
「そう。この写真を見に来た人が、思い出を書き込める場所。ほら、インスタのコメント欄みたいなやつ」
茂は少し考えた。それは素晴らしいアイデアだ。写真を見て「懐かしいね」で終わるのではなく、そこからまた新しい地域の物語が生まれる。
「よし、クロードに頼んでみよう」
茂がキーボードを叩こうとすると、あかりが「私がやっていい?」と顔を覗かせた。
「いいとも。やってごらん」
茂は椅子を譲り、あかりに特等席を空けた。あかりは少し緊張した面持ちで、クロードとの対話を始めた。
『クロード、じいじと私が作ったこのサイトに、メッセージを送れるフォームを作って。名前と、写真への思い出を書けるように。デザインは今のままで、使いやすくしてね』
画面の中で、クロードが素早く反応する。
『素敵なアイデアですね、あかりさん。地域の方々の声が集まる場所を作りましょう。入力された内容は、じいじさんのパソコンの「思い出ポスト」というフォルダに自動で保存されるように設定しますね』
コードが魔法のように書き換えられ、画面の右下に小さな、けれど温かみのあるオレンジ色の投稿フォームが出現した。




