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『クロード、隣にいる孫のあかりが、今のデザインをもっとおしゃれにしたいと言っているんだ。今の渋い緑色を、明るいベージュとテラコッタ色に変えて、フォントも少し丸みのあるモダンなものに変更してくれるかな?』
「あ、じいじ、そんな普通に喋るみたいに打っていいの?」
あかりが驚いている間に、画面の中の「部下」が動き出した。
『承知しました、あかりさん。モダンで温かみのあるデザインに変更します。フォントも読みやすく、かつ洗練されたものを選びますね。今、修正案を作成しています……』
数秒後。画面上のコードが書き換わり、自動的にブラウザが再読み込みされた。
「……わっ、すごい! 本当に変わった!」
あかりが声を上げた。画面は、先ほどまでの重厚な郷土資料風のデザインから、まるでセレクトショップのサイトのような、軽やかで洗練されたものへと一変していた。
「すごすぎるよ、じいじ。これ、私の学校のホームページより全然おしゃれじゃん!」
あかりは、それから一時間、茂の隣に張り付いて離れなかった。
「ねえ、ここを動画にできる?」「この写真に、私のスマホで撮った今の写真も並べられない?」
次々と飛び出す孫のアイディアを、茂は「よし、聞いてみよう」「それはいいアイディアだ」と受け止め、クロードに指示を出し続けた。
茂は気づいた。これまで自分は、デジタルを「若者に教えてもらうもの」だと思い込み、引け目を感じていた。だが今は違う。自分には長年培ってきた「完成形をイメージする力」と「指示を出す経験」がある。そして、それを形にしてくれる優秀な部下がいる。
あかりの瞳に、自分への「尊敬」の光が宿っているのを、茂は見逃さなかった。
「じいじ、魔法使いみたいだね」
その言葉に、茂は胸の奥が熱くなるのを感じた。
「魔法じゃないよ、あかり。これは『マネジメント』っていうんだ。じいじも、まだまだ新しいことを始めるのは、悪くないと思っているんだよ」
窓の外では、いつの間にか蝉の声が止み、夕暮れのひぐらしが鳴き始めていた。
しかし、茂とあかりのいる書斎だけは、未来へと続く新しい熱気に包まれていた。




