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作業が終わったとき、クロードは言った。



『茂さん、整理が終わりました。それと、これらを一覧で見られる「ダッシュボード」も作っておきました。index.htmlというファイルを開いてみてください』



マウスを握る手が、少し震えた。

カチカチと、ファイルをダブルクリックする。



ブラウザが開いた。

そこには、茂が思い描いていた以上の、美しい「デジタル・アーカイブ」が広がっていた。



古びたモノクロ写真が整然と並び、年代ごとに絞り込みができるボタンがついている。背景には、この町の山並みを思わせるような、優しい緑色のデザインが施されていた。



「これだ……。これが見せたかったんだ」



茂の目に、うっすらと涙が浮かんだ。

自分の頭の中にしかなかった、そして消えていくはずだった町の記憶が、今、確かな「形」として目の前にある。



AIという「部下」は、茂がずっと抱えていた孤独な戦いを、一瞬で終わらせてくれたのだ。

その時、玄関のチャイムが鳴った。



「じいじー! 遊びに来たよー!」



元気な声が、静かな家に響き渡る。

都会に住む息子の娘、孫のあかりだ。中学一年生になったばかりの彼女は、いつも最新のスマートフォンを操り、茂が何を聞いても「じいじには難しいよ」と笑う、デジタルネイティブの塊のような少女だった。



茂は、画面に映る「自作のダッシュボード」を隠そうとして、思い直した。

今なら、あかりに「じいじには無理だ」とは言わせない自信があった。



「おう、あかりか。よく来たな。ちょっと、じいじの『仕事』を見ていかないか?」



茂は、少し誇らしげな顔をして、玄関へと向かった。

外では、夏の太陽が相変わらず照りつけていたが、茂の心は、秋の風が吹き抜けたように軽やかだった。



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