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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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燃えカスの探索

 翌日。大気はまだ焼けていた。

 アーシャ達スコールは、サラマンダーの形成したクレーターを探索していた。


「クソ、暑いな」

「はい、スーツを着ているのに、ここまでとは」


 既に一晩経過していながら、アーシャ達に熱波が襲う。

 断熱効果を持つインナースーツでも、彼女達の身体は汗でベタベタだ。


「しかし、こんなバカでかい物作るとは、昔の人は凄いんだかバカなんだか」

「確かにな」


 復帰したサーバルと共に、頭部の大型ライトで崩壊したコロニーの残骸を照らす。

 パーツのほとんどが融解し、残された脚のパーツの一つ。

 スーツ越しに触れても火傷しそうな程に、未だ焼け焦げている。

 珍しいコンピューター回路も装甲板も壊れ、価値を失わせている。


「……生体反応、やはり有りません、全て消滅したものと思われます」

「……そうか」


 足の付け根部分に目を向けていたフィリアの報告に、アーシャは目を細めた。

 焼失した非戦闘員達、彼等が行った同胞への仕打ちを考えると同情心は消える。


「シェルター区画じゃないからな、行くぞ」

「はい」


 見物と物色を切り上げた三人は、すぐに中央を目指す。

 瓦礫の中を進んでいくと、徐々にクレーターの中央が見え始める。

 そして、感じる熱も更に強くなってくる。


「大気温度、更に上昇します」

「ああ、メイジギア着てた方がマシだぜ」

「さっさと終わらせて、汗を流してぇな」


 そんな愚痴を零しつつ、三人はクレーター中央を目指す。

 ガラス片を踏みしめる度に、アーシャの胸に痛みが走る。


「たった一機でこれ、他に後三機……私の先祖は、こんな奴らと戦ってたのか」

「ああ、それだけ、勇者様が張り切り過ぎたのか、お前の先祖がそれだけ強かったのか」

「前者であって欲しい、劣等感で、またへこみそうだ」

「へいへい、まぁどっちにしても、こんな物作る奴の気がしれないな」

「全くだ、隕石落としたみたいにしやがって」


 軽口を叩きながらも、アーシャとサーバルは震える足を無理矢理動かす。

 熱で歪んでいるその場所に、機体の姿は無い。


「……それより、レッドの奴本当に大丈夫なのか?」

「医療班の方によれば、熱中症と貧血で意識不明、との事でしたね」

「ああ、俺達を助ける為だったとは言え、その後どうなる事やら」

「整備後、機体も封印らしいですね」


 中央に向かう三人の脳裏を過ぎるのは、輸送されたサラマンダーと救助されたレッドの姿。

 彼はコックピット内で気を失っていた為、すぐに医療班へ運ばれた。

 サラマンダーも、今は不在のケフュレスが整備している。


「……着いたな」


 そんな話を挟んでいると、三人は目的地へ到着。

 ヘルメット越しでも、肺や喉が熱くなって息苦しい。


「さて……俺達もお仕事だ、さっさと終わらせようぜ、暑くて敵わねぇ」

「ああ、ここで起きた戦闘の有無の調査、だな」


 中央にたどり着いたアーシャ達は、焼き付く熱砂を観察する。

 彼女達の脳裏に過ぎるのは、回収されたサラマンダーに付けられていた傷。

 少しでもその正体を探るのが、今回の三人の任務だ。


「……変わった所は、無さそうだが」

「ああ……ん?」


 サーバルと共に中央部や周囲を見るも、特に証拠のような物は無い。

 だが、フィリアは固まりながら地面を見つめていた。


「……」

「スコール4?」

「……」

「スコール4!フィリア!?」

「ッ!?」


 固まる彼女の肩を揺らした事で、フィリアはようやく反応した。


「……どうした?」

「……どうやら、戦闘があったのは、本当のようです」

「ほ、本当か?」

「はい」


 返事をしたフィリアは、スキャン結果を送って来る。

 色分けされた足跡の画像に、アーシャは腕を組む。


「……」

「足跡が二機分観測できます、戦闘と言うよりは、片方が一方的に殴り掛かって終わりだったようですが」

「……凄いな、相変わらず」


 フィリアの指さす方を見ても、アーシャの目には荒れた砂地しか映らない。

 どれが足跡なのか、区別できそうに無い。

 フィリアの言葉を信じ、アーシャはサラマンダーの写真を視界に表示する。


「……装甲に形成された殴打痕、か」

「ソイツのおかげで、暴走は止まった」

「ああ……問題は、誰がやったか、だが」


 腕を組みながら頭を捻るも、心当たりはない。

 だが、フィリアは何か有るかのように地面に手を置く。


「……シルフィード」

「ッ、シルフィードって言ったら、サラマンダーと同じメサイアシリーズだろ」

「……はい、この独特の足跡は、アイツの物です」

「……アイツ?」


 フィリアの言い回しに首を傾げたアーシャは、一先ず写真を撮る。

 そして、フィリアは頭を抑えながら立ち上がる。


「……そうだ、アイツだ、アイツに、私達は」


 痛む頭を抑えるフィリアの頭に、歪んだ記憶が蘇る。

 眠りに入る前、強化人間部隊の一人としてその機体と交戦した。


「……」


 有人ではありえない機動と、圧倒的な戦闘力。

 手を取り助けた筈の味方の肘から先が消え、途絶した通信の音がフラッシュバックした。

 部隊が壊滅した忌まわしい記憶が回復しても、マスキングの影響で感情は起伏しない。


「大勢殺されました、私の過去の仲間達は」

「……フィリア」


 辛うじて生き延びたのは、フィリアと数名の強化人間だった。

 その事を思い出したフィリアは、腰を地面に落とす。


「……そうか、フィリアも、あの機体とは因縁が有ったか」

「私も?」


 隣に座ったアーシャの言葉に、フィリアは首をかしげた。

 指を絡めてきたアーシャは、言葉を淀ませながらその因縁を口にする。


「アイツのせいで、先生は腕を失くした、教官も頭に銃弾を受けた……」

「それだけじゃ、ねぇだろ?」

「え」


 アーシャは、指を絡める力を強めて来た。

 そんな彼女に同調するように、サーバルは声を太くした。


「ああ、先任のスコール隊とライトニング隊は、アイツ一人の為に壊滅させられた、無事だったのはケフュレスだけだ」

「……」


 アーシャの話に、フィリアは言葉を失った。

 妙な縁に困惑も有るが、息を飲みながら口を開く。


「マスター達も、戦ったんですか?」

「いや、私達が入る前の話だ、だから、ケフュレス達から聞いただけなんだ」


 そう言いながら、アーシャは携帯の画面を見せて来る。

 表示されているのは、以前も見た傭兵達の格付けを行うランキング表。

 アーシャは、その一番上を指さす。


「唯一のSランク傭兵、ナインケルパー」

「事実上、最強の傭兵だな」

「……最上位の脅威と認定します」


 灼熱の砂場の中で、三人は息を飲んだ。

 その上空を横切る歪みに気付く事無く、彼女達は捜査を続行する。

 だが、サーバルは上を見上げた。


「(ん?今、何か……気のせいか?)」


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