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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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炎の災禍

 アーマメントコロニーの街区は、熱波に襲われていた。

 レッドの駆るサラマンダーが着地した事で、地面のアスファルトは溶けだす。

 周囲のビルは焼け、街路樹は炎上する。


「……お前か、ハハハ」


 笑みを浮かべるレッドの目が捉えたのは、変異型のサイクロプス。

 向こうも標的を捉えた事で、両手に取り込んだ剣を構える。

 そして、サラマンダーは両手の指を鳴らす。


「そっちもやる気か、なら、行くぜ!」

『ゴオオオオ!!』


 雄叫びを上げたサラマンダーは地面を蹴り飛ばし、サイクロプスとの距離を詰めた。

 より燃え上がる拳を握り締め、炎の翼が生む推力に任せて殴りつける。


『グルアアアア!』


 同時に、サイクロプスも剣を突き出す。

 剣と拳はぶつかり合い、衝撃で周辺のビルは崩れ去る。


『グヲオオオオ!』

『ガルアアアア!』


 獣同士で絶叫を木霊させると、互いに連続で拳を繰り出し合う。

 両者共に機関銃並みの連続攻撃を放ち、サラマンダーは腕を中心に切創を付けられる。


『ヲオオオ!!』


 ぶつかり合いでサラマンダーの体表温度は更に向上し、その拳は剣を溶かすに至る。

 打撃によってサイクロプスの片腕を砕き、怯んだ所に更に一撃を入れた。


『グォッ!』

「そんな物か!?」


 サイクロプスの両腕は焼き切られ、間髪入れずにレッドは腹部へと打撃を入れた。

 衝撃でサイクロプスの巨体は吹き飛ばされ、その先に有る建物に突っ込む。

 硬化していた皮膚は剥がさ、その奥の肉が焼け焦げた。


『グ、ゴフッ!』


 ノイズのかかった声で血を吐きながら、サイクロプスは再び立ち上がる。

 そして、自ら腕を剥ぎ取りだす。


『ゴオオオ!』


 雄叫びを上げると、千切った腕は再生。

 更にレッドが付けた傷までもが塞がり、接近してくる。


「……そんな事もできたのか」


 だが、より高温になったサラマンダーの熱で、近づくだけで表皮が焼けだす。

 それでも間合いに入って来たサイクロプスへ、両者はほぼ同時に攻撃を繰り出した。

 拳は交差し、互いの顔面に直撃する。


「へ!」


 サラマンダーの顔は僅かに変形するも、反対にサイクロプスは大ダメージを受けた。

 より接近した事で体は焼け、拳と顔に至っては燃え上がる。

 その隙を逃さず、レッドは更に一撃を入れた。


『ゴウ!』


 地に伏せたサイクロプスは、全体的に再生を開始しながら片膝をつく。

 そんな彼の姿を見下すレッドは、サラマンダーの口内に魔力を集中させる。


「終わり、だ!」

『グヲオオオ!!』

「くたばれぇぇ!!」


 口内よりビーム砲を放つと、サイクロプスも同様の攻撃を行ってくる。

 二人のビームはぶつかり合い、熱と衝撃波で町は更に消し飛ぶ。

 サイクロプスは完全に押し負け、上半身は完全に消し飛んだ。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 肩で息をするレッドは、ゆっくりと視界を上げる。

 サラマンダーの身長と同程度の穴が目の前に出来上がり、周囲の物はどんどん溶けている。

 そんな地獄絵図の中央で、レッドとサラマンダーのパワーは向上し続ける。


「魔力が、高まって、溢れ……ガハッ!」


 急に全身に痛みが走り、大量に吐血した。

 目や鼻からも血が流れだし、身体が内側から破裂しそうな苦しみに片膝をつく。


「グ、ガ……」


 苦しむレッドの耳に、重々しい足音が複数入り込む。

 改めて見渡せば、通常のサイクロプスの群れに囲まれていた。

 痛みと熱で思考さえマトモに動かないが、それでも立ち上がる。


「ウグ、グゥ……」


 完全に立ち上がると、コックピット内部にアラートが響き渡った。

 レッドの思考に直接その理由が送られ、『強制排熱』と言う文字が浮かぶ。


「……な、何をする気だ?」


 頭に『開始』と言う言葉が浮かぶと、再びサラマンダーに変化が起こる。

 機体の各所が展開し、胸部の装甲が解放された。

 露出したジェネレーターは、周辺のパーティクル粒子を取り込みだす。

 サラマンダーを中心に温度が更に向上し、立っていた場所が球状に融解する。


「ウグ、ガ、よ、よせ!!」


 残った理性で止めようにも、もう遅かった。

 サラマンダーは操縦を受け付けず、ジェネレーターは粒子を取り込み続ける。

 収束したパーティクル粒子で視界は赤く染まり、凄まじい閃光が発生する。


「クソ」


 もはやシートの拘束を破る力も無く、熱波が周囲を焼いた。

 周辺のサイクロプスや施設は、熱で完全に焼失。

 その余波は下部のシェルター区画へ到達し、炎に包まれた。

 そして、被害は敵艦さえ飲み込み、味方にまで届いてしまう。


 ――――――


 その頃。

 コマンダーはソウリュウを中心に、避難勧告を送っていた。


「ヴェイザー代表より、各傭兵団に告ぐ!生き延びたければ、直ちに近くの艦船へ退避しろ!」


 この言葉は何度も繰り返され、自陣のヴェイザーだけでなく他の傭兵団にも通達された。

 嫌な予感を察したのか、多くの傭兵団は自分の船や町の中へ逃げ出す。


「さ、サラマンダー周囲の温度、千度を超えます!なおも上昇中!」

「ライトニング1!聞こえますか!ライトニング1!」

「耐熱耐衝撃シールド展開完了、全隔壁閉鎖!各員、衝撃に備えよ!」


 オペレーター達の報告を耳にしつつ、コマンダーは赤い熱気に包まれる場所を目にする。


「(……正に、劫火その物、予想以上だ)」


 震える手で杖を握り締めていると、その場所が一瞬光った。

 この時コマンダーの身体は、一瞬凍った。


「ッ、い、いかん!来るぞ!備えろ!」


 コマンダーの言葉に答え、艦橋内のスタッフ達は衝撃の体勢をとる。

 次の瞬間、熱を伴った衝撃波に襲われた。


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