単眼の巨人
アーマメントコロニー下部で、ブラッドライガーの頭目は背中の火砲を構える。
「唸れ!テンペスト・カノン!!」
電磁誘導によって鉄塊が放出され、その反動で頭目の駆るタイタンバスターが数メートル下がる。
弾頭は着弾し、内部の魔力が炸裂した。
その一撃によって、足の一本が半壊。
部下との一斉攻撃によって、破壊に成功する。
「ウム!もう一本の破壊に移る!続けぃ!!」
『ウヲオオオ!!』
タイタンバスターの拳が高らかに掲げられ、部下達も怒号のような声を響かせた。
履帯で地面を駆け抜け、彼らはその大きな背に続く。
そして、聞き慣れない金属音が彼らの耳に入る。
「ム、何奴だ?」
足を止めた頭目が目にしたのは、サイクロプス達が降下する光景。
降下した彼らに目を向けられ、すぐに陣形を整えだす。
「面妖な!しかし、吾輩達に楯突くとは、命知らずめ!!」
すぐに陣形を取ったブラッドライガー達は、一斉に火器を構えた。
そして、サイクロプス達に攻撃を開始する。
雷が落ちるような轟音が何度も響き渡り、降下ポイントを焼け野原にする。
『見たか!我々の砲撃を!』
「……ヌ!」
武器を掲げていた一機のアーマードナイトは、爆炎の中から現れた赤い光に貫かれた。
コックピットは消滅し、残った残骸だけが砂の上に落ちる。
「ディエゴ!?」
『ば、バーンズ将軍!や、奴らが来ます!』
もう一人の部下の言葉通り、爆炎の中から無傷のサイクロプス達が現れた。
彼らを前にして、頭目ことバーンズは両手の火器を捨て、戦槌を構える。
「吾輩が先陣を切る!後に続けぃ!」
『ウヲオオ!』
「ディエゴの死を、無駄にするでないぞ!!」
『オオオオ!』
地を揺らす絶叫を響き渡らせながら、バーンズ率いるブラッドライガー達は進軍。
特に先行するバーンズの機体は、戦槌の柄を潰れそうな程に握り締める。
「部下を殺した事、地獄で後悔するがよいわ!!」
背部からブースターを吹かし、キャタピラとは思えない速度を叩きだす。
そして質量を用いて、盾を構えるサイクロプス達に正面から衝突。
一斉砲火でもびくともしなかった彼らの陣形を潰し、近くの個体に狙いをつける。
「ヌヲオオオ!!」
雄叫びと共に戦槌を振り下ろし、頭を叩き割った。
首から上を無くした事で、サイクロプスの一体は倒れ込む。
「ウム!次!」
次の標的へ狙いを定めた事で、部下達の事も視界に捉える。
『しょ、将軍どの!』
「ッ!?ゴロー!!」
バーンズが目にしたのは、やられた部下の姿。
盾に潰され、メイスで粉砕されていく。
その姿を見たバーンズの機体のラジエーターより、大量の煙が吹き出す。
「よくも!!」
二人の部下の命を奪った個体を葬るも、その間にまた部下が潰された。
部下達が一斉攻撃で倒す事はあっても、バーンズの陣営の方が減る速度が速い。
「おのれ!おのれ!よくも吾輩の配下を!!」
戦槌を大きく振りかぶり、サイクロプスに一撃を入れようとする。
だが、その個体は口を大きく開けた。
口内に赤い紫電が走り、一瞬だけ光る。
「ヌ!?」
次の瞬間、先ほどと同じ光に片腕を消し飛ばされた。
おかげで戦槌は零れ落ちるが、バーンズは止まらない。
「吾輩の辞書に、後退の文字は無い!!」
一気に間合いを詰めたバーンズは、構えられた盾を殴りつけた。
その衝撃でサイクロプスはバランスを崩し、無くなった方の腕で盾を剥ぎ取る。
「ヌオオオ!!」
重量と推進力に乗せ、バーンズは何度も殴りつける。
特徴的な赤いセンサーを割り、鎧も砕き、直接生身へと連打を繰り出す。
だが、サイクロプスの方も反撃してくる。
「ヌグ!ウヲオオオ!」
純粋な殴り合いが始まり、バーンズの機体の装甲も剥がれ落ちる。
「グ、くたばれぃ!」
最後に放たれたアッパーカットによって、サイクロプスの頭は粉砕。
だが、彼の顔に笑みは無かった。
ゆっくりと振り向いた先に広がる地獄絵図に、残った腕を握り締める。
「……」
サイクロプスは一体だけ立っているが、部下達は壊滅していた。
中には槍を敵に突き立てたままこと切れた者もおり、最後の手段で自爆した者まで居る。
この現状を前に、バーンズは近くに落ちていたメイスを拾う。
「……部下達を残し、吾輩だけが逃げられるか!!」
残るサイクロプスに迫ろうとした瞬間、彼らのセンサーからレーザー光が放たれる。
レーザーはバーンズの機体を捉え、コロニー下部の砲台が起動。
「死ねばもろともよ!」
履帯を動かすと共に、サイクロプスの口内からビーム砲が放たれた。
「ヌッ!キャタピラが!」
ビーム砲は履帯を破壊し、バーンズの機体はバランスを崩す。
動きが鈍くなり、コロニーからの砲撃に晒される。
全ての砲台からの集中砲火を受け、バーンズの機体は次々と崩壊。
胴体の装甲は剥げ、片腕も崩壊、頭部もコード数本が繋がったままぶら下がる。
「退かぬ!退かぬぞ!!」
中破した機体を無理矢理動かすバーンズは、残ったサイクロプスへ向かう。
未だに続くコロニーからの砲撃と、サイクロプス達のビーム砲。
被弾しようとも、ついにたどり着く。
「ゴハッ!一矢、報いるまでは!!」
コックピット内で吐血しながらも、バーンズは一体のサイクロプスへメイスを振り下ろした。
その衝撃で、残っていた腕は崩れた。
更に、コロニーからのミサイルで下半身は砕かれる。
「ヌアア!」
上半身だけが地に伏せるも、バーンズは機体を起こす。
「ウ、ゲホッ……フ、フハハハ!み、見たか、吾輩達の、誇りを」
コロニーの下部を睨みつけるバーンズは、コックピットの中で高笑った。
骨が内蔵に食い込んでも、バーンズは笑い続ける。
その瞬間、巨大な筒が再び開く。
「ハ!?」
バーンズの笑いが止まると共に、筒の中より再びサイクロプス達が降下。
しかも、数は先ほどの倍。
彼らの姿を見て、バーンズは再び機体を動かす。
「……退いて、醜態を晒す、くらいならば……吾輩は!!」
スラスターを吹かし、無理矢理浮かび上がらせた。
新たなサイクロプス達へ突き進むも、一斉にビーム砲が放たれる。
「(ぬしらと、共に!!)」
その光にバーンズは飲み込まれ、消え去った。




