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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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歩行する町

 アーマメントコロニーの砲撃は、前線に出ていた傭兵達を焼き払った。

 焼け野原となった戦場の中央にいたアーシャ達も巻き込まれるも、一命をとりとめていた。


「……ま、毎度すまん、ラケルタ」

『気にするな、あんなのが来るとは誰も思わん』


 アーシャ達スコールチームは、ラケルタの魔法で形成された塹壕の中にいた。

 アーマードナイトさえ、身を隠せる深い塹壕。

 頭上で砲弾が爆ぜ、砂が降って来る。

 その穴から僅かに顔を出したフィリアは、頭上の敵に目を向ける。


「しかし、どうしましょう、現在の火器では、あんな大きな物を破壊するのは……」

「方法としては、上部のコントロールセンターを潰す事かな?まぁ、どっちにせよ今の装備じゃ無理だけど」


 ケフュレスの発言を耳にし、アーシャは立ち上がる。


「とにかく、一度下がる、ラケ……ライトニング3、悪いが、援護頼む」

『任せろ』

「よし、一気に駆け抜けるぞ!」

『押忍!』


 アーシャの指示で、ラケルタは三人と共に外へと出る。

 未だに降り注ぐ砲撃の雨を掻い潜り、ソウリュウを目指す。


「止まるな!動き続けろ!」

「とりあえず、砲台位は狙うよ!」

『手伝うぞ!』


 盾を構えながら後退していると、ケフュレスとラケルタは砲台への攻撃を開始。

 空にできた天井へ放たれる銃弾は、飛翔するミサイルや機銃程度を破壊する。

 だが、そんな攻撃は焼け石に水だ。


「ぐッ!砲撃が激しすぎます!」

「しっかりしろ!……クソ、もっとデカい武器持って来るんだった!」


 爆発で巻き上げられた砂を被り、発生した破片が身体に降りかかった。

 そんな地獄のような場所で、アーシャ達はもちろん、生き残った傭兵達も退却を開始している。


「(他の連中も下がっているな、まぁ、こんな所に突っ込むバカなんて)」

『フハハハ!!進め!吾輩の辞書に、後退と言う言葉は無い!!』

「(居たわ)」


 アーシャ達とは反対に、別の傭兵団達は砲撃が苛烈になるコロニーへ進撃。

 下半身が戦車のようになっているタイタンバスターを筆頭に、重武装の部隊は脚部の一つを目指す。


「あ、あの人達バカですか!?あんな場所に行くなんて!!」

「あー、ブラッドライガーの人達だねー、脳味噌筋肉の集団だよ」


 フィリアの疑問にケフュレスが答えると、巨大な水の壁が形成された。

 高密度の水で砲弾やミサイルはせき止められ、アーシャ達は発生させた者の方を向く。


『お前ら!無事か!?』

「ああ!何とか助かった!」


 壁を形成したオセロットと、彼を護衛するレッド達とも合流する。

 すぐにその場から離れ、遂に空の下に出られた。

 同時に、上からの爆音へ目を向ける。


「つ、次は上です!」

「……ヴァルキリーの槍の連中か」


 ようやく開けたアーシャ達の頭上では、もう一つの傭兵団達が空を駆けていた。

 ケンタウロスに羽を生やしたようなタイタンバスターが先頭に立ち、光の翼を展開しながら後続機と共に空を駆けている。


『これより先は、我らが独壇場である!進めぇ!』


 と言う声が耳に入り、レッドが羨ましそうに空を眺める。


『やれやれ、俺の飛行ユニットも、あれ位高性能だったらな』

『感心してる場合か!さっさと戻って、輸送機なりで行かねぇと出遅れるぞ!』

『おっと、それもそうか』


 二人のやり取りが終わり、アーシャ達は退却を続行。

 その寸前で、敵の足の一つの関節から爆発が引きおこる。

 爆音のした方に目を向けると、先ほどのブラッドライガー達の凄まじい砲撃が目に映る。


「チ、アイツ等マジで下から八脚を落とす気か?」

「やつあし?」

「あのコロニーの俗称だ、見たままだが、その分頑丈の筈だ」


 首を傾げるフィリアを横目に、アーシャは彼らの戦いを目にする。

 空ではヴァルキリーの槍一個小隊が飛び回り、コロニー上部の街区への上陸を試みている。

 そして、下ではやはりブラッドライガーの部隊。

 大口径のレールガンや大砲が火を吹き、大量のミサイル群が八脚の足を集中攻撃している。


「(相変わらずの火力だな、ん?)」


 地上で火を噴く火砲達の中央で、ブラッドライガーの頭目が使用する機体が動く。

 身体中のミサイルや大砲による攻撃を止めると、背中の火砲を構えた。

 戦車のような下半身で反動に対する姿勢を取り、その砲撃を行う。


「なんだ?ッ!?」


 次の瞬間、凄まじい閃光が発生した。

 遅れてアーシャ達に衝撃波と突風が到達し、大量の砂を浴びる。


「……お、おい、マジかよ」


 開かれたアーシャの目に映り込んだのは、破損した八脚の脚部。

 千切れそうにぶら下がる脚に、更に攻撃が集中する。

 金属へのダメージが、悲鳴のように響きわたった。

 やがて足は千切れ落ち、砂の津波や轟音を響き渡らせた。


「あ、アイツ等、本当に下からやる気か?」

「あははー、そうみたいだねー、でも、一本無くなった位じゃ、あれは倒れないよ」

「……見たいですね」


 ケフュレスの言葉通り、八脚は一瞬だけバランスを崩した。

 最奥の足だけが不自然に持ち上がるも、すぐに残りの足でバランスを取る。


『クソ、このままじゃ本当に出遅れるな』

『どうする?いっそ、アイツ等が足もう一本落としたの見計らって、俺らが横取りしてやるか?』

『それも悪くないだろうが、上の連中が先に終わらせる危険も……ん?』

「……」


 後方で話すライトニング達を尻目に、アーシャはラケルタと同じ所へ目を付けた。

 一瞬の静寂が流れた。

 コロニー下部に複数取り付けられている巨大な筒が開き、赤い光が漏れ出る。

 そして、フィリア以外の面々に吹雪のような悪寒が襲い掛かる。


「ッ、な、なんだ、この寒気」

『……ヤバいのが来るな、コイツは』

「(レッドがヤバい、か)」


 この中で一番腕の立つレッドが声を震わせた途端、その筒より黒い影が複数投下された。

 その事に、ラケルタがいち早く反応する。


『何か出て来たぞ!』

『デカい、タイタンバスターか?』

「い、いえ……生体反応が有ります、機械ではありません!!」

「なんだと!?」


 フィリアの回答に、アーシャは目を凝らす。

 コロニーの下部に向けられたアーシャの目は、降下した物体を捉える。


「(あの大きさの生物、まさか)」


 全身を鎧に包み、盾とメイスを持った集団。

 タイタンバスターと同等のサイズの彼らは、地面に足をつけた。

 小隊規模の数が降下し、一斉に顔を上げる。

 そして、顔面の半分以上を占める丸いセンサーのような物を赤く輝かせた。


「あれは、一体」


 見た事も無い兵器を前に、アーシャはその身体を震わせた。

 そんな彼女の肩に、ケフュレスの手が置かれる。


「……あれは、通称サイクロプス、まぁ簡単に言うと、強化人間改造された、タイタン族、だよ」

「……」


 ケフュレスのセリフに、アーシャは言葉を失わせながら機関銃を落とす。

 久しぶりに目にした同胞達の、見るも無残な姿を目に焼き付けながら乾いた音を響かせた。


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