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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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霞の戦場

 日は昇り、参加者全員に緊張が走っていた。

 アーシャ達ヴェイザーも例外では無く、ヘルメットの機能で各自偵察を行う。


「見えましたか?」

「いや、全く」

「粒子濃度も高いからね、レーダーもアテにならないよ」


 サーバル抜きのスコール三名はかたまり、遠方へと目を向けていた。

 だが、大気中の大量のパーティクル粒子が薄い霧のように漂い、視界の方は最悪だった。

 それぞれの方角へ目を向け、解放戦線の敵影を探る。


「ふぃ……スコール4以前から気になっていたが」

「何です?」

「以前みたいな機影の察知って、どれ位の距離が可能なんだ?」

「粒子濃度にもよりますが、精々三キロ程ですね、地上戦力相手ですと映る頃には視界に捉えてます」

「そうか」


 手にしている機関銃をいじりつつ、アーシャはフィリアの頭を軽く撫でた。

 一瞬緩んだ気を引き締めるように、ケフュレスは少し身を乗り出す。


「ん?」


 何かに気付いたのか、ケフュレスはスコープをしっかり覗き込む。


「どうした?」

「……来た」

「何!?」

「はい」


 アーシャはケフュレスから狙撃銃を借り、スコープを覗き込む。

 レンズの奥に捉えたのは、昨日と同じ艦艇達。

 それを目にし、アーシャはケフュレスへライフルを返す。


「敵襲!敵襲!」


 その掛け声と共に、アーシャはグレネードランチャーを敵の方角へと放った。

 射線上に赤い煙幕が立ち上り、周辺の部隊や傭兵団は反応。

 他にも同様のスモーク弾が放たれ、次第に各部隊が動きだす。


「他の人達も動きだしています」

「私達も行く、スコール2の分も稼ぐぞ!」

『押忍!』


 ランチャーの砲弾を実弾へ切り替え、アーシャ達も動き出す。

 砂上をホバー移動し、展開している敵地上部隊へと攻め込む。

 その道中で、アーシャは周囲の気配を探る。


「(ライトニング以外だと、デカいのが二つ、昨日の連中か)」


 脳裏を過ぎる二機のタイタンバスターを探るべく、アーシャはフィリアを見る。


「スコール4、悪いが、スコール2の代わりに飛んで、昨日の二機の様子を見てくれ!」

「お、押忍!」


 アーシャの指示に従い、フィリアは身体の各所のスラスターを吹かせる。

 盾を構えながら飛び上がり、周辺へと目を向けた。

 そして、彼女は地上へと戻る。


「昨日のタイタンバスター二機、現在待機中です」

「わかった(昨日みたいに、艦艇狙いか?ライトニング達が、鉢合わせしないと良いが)」


 傭兵団側のタイタンバスターを気にかけつつ、アーシャは改めて敵側へと目を向ける。


「砲撃来るよ!」

「分かっている!」


 艦砲射撃だけでは無く、戦車やアーマードナイトの砲撃が襲い来る。

 昨日より激しい砲撃を掻い潜りつつ、アーシャは指示を下す。


「スコール4!敵アーマードナイトに攻撃を集中!スコール3は私と共に歩兵部隊へ弾幕!」

『押忍!』


 アーシャの指示を受け、フィリアはアーマードナイトへ粒子ビームを叩きこむ。

 彼女の動きに合わせ、アーシャはグレネード、ケフュレスはミサイルを放つ。

 敵部隊は爆炎に包まれ、砲撃は僅かに止まる。


「よし、行くぞ!」


 グレネードランチャーから手斧に切り替え、アーシャは崩れた敵陣へ殴り込む。

 しかし、違和感に気付く。


「……何だ?」


 敵部隊はゆっくりと後退を開始する。

 他の傭兵団と肉薄する解放戦線も、徐々に下がっている。


「待て、様子がおかしい」

「だね」

「はい?」


 盾を構えながら立ち止まったアーシャは、ケフュレスとアイコンタクトを取る。

 しかし、フィリアは一人敵部隊へと向かおうとする。


「スコール4!後退しろ!」

「な、何故です?好機では!?」

「奴らが引くには早すぎる!コイツは何か有る!」

「そんな……ッ!高エネルギー反応、粒子砲が来ます!」

「何ッ!?」

「え!?ウソ!」


 叫んだフィリアに飛びかかられ、アーシャは予定とは違う方へと押し込まれた。

 ケフュレスも彼女達に続き、すぐにその場を離れる。


「ッ!?」


 次の瞬間、アーシャ達の居た場所に光が降り注ぐ。

 高熱で地上に大きな溝ができあがり、アーシャ達に熱風が襲い掛かる。


「な、何だよこれ!?」

「敵の粒子兵器です!」

「……あー、そんな生易しい物じゃ、ないね」

「え?ッ!」


 遠距離用のバイザーを下ろすケフュレスの言葉に合わせ、大地は揺れた。

 その揺れは何度も引きおこり、アーシャ達はバランスを保つ。


「……こ、この揺れは、一体」

「クソ、コイツはマジで撤退だな」


 未だに困惑するフィリアを他所に、アーシャは空を見上げた。

 巨大な脚が霧をかき分けながら姿を表し、地面を踏みしめる。

 振り下ろされた一歩で、砂の高波が立ち上がる。

 その瞬間、バランスを崩す程の揺れが辺りに襲い掛かった。


「あ、あれは、ビル?いや、足!?」


 その鉄塊は再び持ち上がり、地面を踏みしめた。

 首を傾げるフィリアの前に、足の根元が霧をかき分けながら姿を現す。

 まるで高層ビルを見上げるかのように、三人は空を覆う物を見上げた。


「まさか、移動式の、コロニー?」


 フィリアの記憶にある難民向けの移動型コロニーは、足裏に魔法陣を展開させながら地面を踏みしめた。

 彼女達の目に映り込んだのは、その歩く町と呼べる巨大構造物の一部。

 霧の奥でも次々と鉄の足がうごめき、連続して地面が揺れる

 一際目立つ大型砲台に加えて、無数の砲台が起動。


「グ!……そ、ソイツに武装を施した、アーマメントコロニー、この霧も奴のせいだ」

「そうやってレーダーから逃れてるからねー、あはは」


 艦船すら跨ぐ巨大な鉄の足が地面を踏みしめ、更に大きな揺れが襲い来る。

 複数の巨大な筒や、大量の砲台の取り付けられた本体下部が目に映る。

 その巨体を前にして、流石のケフュレスも笑い方にため息が混じっていた。


「く、クソが、早く逃げるぞ!!」

「え」

「あれはちょっと、私達じゃ無理だからね!」

「は、はい!」


 アーシャとケフュレスの言葉で、フィリアはようやく動いた。

 大急ぎで後方へ下がるも、アーマメントコロニーの砲撃が開始。

 比較にならない量のミサイルと砲弾が降り注ぎ、戦場は炎に包まれる。


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