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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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見極めたい心

 武器屋の通りから移動したサーバル達は、よく利用している店に足を踏み入れた。

 薄暗い店内に並ぶ、見かけ倒しのアクセサリーたちに囲まれる。

 その瞬間、サーバルは口元に手を置いた。


「……相変わらず、埃っぽいな」

「だな」


 アーシャの肯定を耳にしながら、サーバルは周りを見渡すフィリアに目を落とす。


「どうした?」

「……いえ、その、ガラクタと言う意味が、よく」


 そう言いながら、フィリアはヘアピンを目の前に持って来た。

 彼女に合わせ、サーバルも適当なネックレスを手にする。


「(宝石っぽく作ってあるけど、全部ガラスとかだもんな……でも、見た目だけは良いな)」

「お、これ、フィリアに似合うんじゃないか?」


 すると、アーシャはブレスレットを手にした。

 金色の細いチェーンで構成され、小さな宝石状の装飾が埋め込まれている。

 胡散臭さこそ有るが、デザインだけは惚れ惚れする。


「ど、どうだ?」

「……えっと、すみません、こう言うの、よくわからなくて」

「そ、そうだよな、とりあえず、着けて見るか?」

「はい」

「ヒヒヒ、お目が高いね、お客さん」


 困惑しながらもブレスレットを着けようとした所で、ローブを被った老婆が話しかけて来た。

 彼女の登場に、サーバルはアーシャと共に『またか』と冷や汗をかく。


「おやおや、誰かと思ったら、いつものエルフの連れじゃないかい」

「ど、どうも」

「お久しぶりです」


 愛想笑いを浮かべながら、サーバルはアーシャと共に挨拶した。

 そして、また二人だけで身を寄せる。


「やっぱ絡んで来るよな」

「ああ、また勘違い炸裂すんぞ」

「ヒヒヒ、新顔のお嬢さん、ソイツは魔法の品だよ」

「魔法、ですか?」


 二人の心配も他所に、老婆のトークが始まる。

 食いついてしまったフィリアは、彼女の言葉に耳を傾けてしまう。


「その宝石は偽物、そう言う奴も居るがね、正体は魔石さ」

「魔石、ですか?」

「そうさい、ソイツとアタシの魔法の効果で、着けるだけで元気ハツラツさ」

「ふーむ」


 と言うセールストークに、フィリアは本当に頭を悩ませ出す。

 その様子に、サーバルは口元を引きつらせる。


「おい、なんか迷ってんぞ」

「当たり前だ、私らは紛い物って知ってるが、あの子は知識ゼロなんだぞ……先に忠告しとくんだった」

「たく、ケフュレスが騙されたフリして常連になるから」


 サーバルが思い出すのは、ケフュレスがカモを装ってここで買い物する姿。

 彼女曰く、形状だけは本当にお手製魔道具に有用らしい。

 おかげで、店主の老婆は調子に乗っている。


「仕方ない、いくぞ」

「行くのかよ」

「一応プレゼントしたいが、他のガラクタまで大量に買ういわれはない」

「はいよ」


 アーシャの提案に乗ったサーバルは、早速フィリアと老婆の間に入る。


「あのーすみません、私、それを買いに来ただけで」

「そうそう、よし、アーシャ、お代払ったら、飯にでも行くか!」

「だな、はいお婆ちゃん、おつりは要らないから!」

「ほら!フィリアも行くぞ!」

「え、ちょ!」

「あー!せめてネックレスと指輪も!」


 老婆の入る隙を与える間も無く、二人はフィリアを連れて店を出て行く。

 三人は、そのまま店から離れた。


「はぁ、やっぱやめとくんだった」

「だな」

「よ、良かったんですか?他にもバフ効果が有る物が」

「無いから、全部ただの飾りだから」

「え!」


 適当な所で止まった三人は、改めて購入したブレスレットへ目を落とす。

 魔法的な物は感じず、やはりただの飾りでしかない。


「……そうでしたか、すみません、学習不足でした」

「いや、忠告無しにあんな所行ったのが間違いだった、悪いな」

「いえ、でも、これをマスターが選んでくれた事に変わりはありませんから」


 表情に影を落としながらも、フィリアはアーシャの選んだブレスレットを装着。

 そして、柔らかな笑みをアーシャへ向ける。


「プレゼントを頂いたのは、初めてです、ありがとうございます、マスター」

「ッ、あ、ああ、そんな物でいいなら、いくらでも買ってやる」

「……」


 甘い空気の流れる傍らで、サーバルは二人の様子を眺めていた。

 赤らめた頬を浮かべながら見つめ合う彼女達を目の当たりにしても、サーバルの胸に痛みは走らない。


「(恋じゃないのは、間違いないな、なら……親愛、か?)」


 二人の様子を見ながら尻尾を揺らし、落ち着き無く頭の耳もピクピクと動かす。

 そうしていると、耳に嫌な音が入り込む。


「ん?この音」

「どうした?」

「シ」


 アーシャに手を向けたサーバルは、聞き取れた重々しい音の正体を探る。


「(さっきの、いや、また……まさか砲撃か?着弾地点は……)」


 空気を斬り裂く重い音が、徐々に近づいて来る。

 サーバルの耳はピンと立った。


「ッ、やば!!」


 音の正体に気付いたサーバルは、すぐにアーシャとフィリアに飛び掛かった。

 身体強化魔法も用いて、すぐにその場から二人を連れて逃げる。

 すると、先ほどまで三人の居た場所は爆散する。


「が、な、なんだ!?」

「……戦車砲クラスですよ」


 一緒に起き上がった三人は、焼け焦げた街道を目の当たりにした。

 爆風で建物は崩れ、人々は破片で体をやられている。

 吹き飛んだのはそこだけでは無く、町のあちらこちらで次々と爆発が引きおこる。


「バカな、エターナル管轄の町で、こんなにぶっ放す奴なんて……」

「んな事すんのは……」


 目ぼしを立てたサーバルは、アーシャと目を合わせた。

 そして、嫌な笑みを浮かべだす。


「行くぞ!」

「おう!」

「え!?一体何が!?」

「いいから行くぞ!休暇なんて後からいくらでも取れる!!」


 困惑するフィリアを抱えたアーシャを横目に、サーバルはソウリュウへの帰路につく。


「(……この戦いで見つけてやる。俺の答えを)」


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