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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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隣合わせで

 翌日。

 朝日が昇り、温かな陽光が孤児院を照らす。

 そんな気持ちのいい朝で、手当を受けたアーシャとフィリアは見送りを受けていた。


「もう、昨日あんなに意固地だったのに、何が有ったのよ……大体察しはつくけど」

「は、はは」


 とは言え、見送っているのはアンジェラとシュカの二名のみ。

 その内の一人であるアンジェラは、また包帯まみれのアーシャを横目に、少しえぐれている校庭を目にした。

 彼の横でも、フィリアは顔を真っ赤にするシュカの大目玉をくらっている。


「ねぇ、昨日は一緒に居てって、言ったじゃん!」

「ご、ごめんなさい、い、色々、有ったので」

「誤魔化すな!」


 そう言いながら、シュカはフィリアに抱き着いた。


「……」


 セリフに反し、シュカはフィリアの顔に頬擦りする。

 フィリアも笑みを浮かべ、抱きしめ返している。


「(大丈夫だ、もう心配する必要は無い)


 そんな二人に少し胸を痛めながらも、アーシャはアンジェラの手を取る。


「で、では、昨日もそうですが、色々とお騒がせしました」

「……ええ、それに、一皮むけたようで、なによりね」

「はい、ありがとうございました」


 硬い握手を交わした後で、アーシャは今度こそ孤児院を出て行く。

 オセロットに刺された部分が歩く度に痛むので、フィリアの介助を受けながら。

 その途中で、シュカの叫びが聞こえて来る。


「フィリアァァ!必ずまた来いよぉぉ!」

「はぁい!」


 両手で大きく手を振る彼女に手を振り返したフィリアは、アーシャを支える。


「友達、か」

「はい、私の、新しいお友達です」

「……ああ」


 名残惜しい笑みを浮かべるフィリアを、アーシャは軽く抱きしめた。

 もう胸の痛みを気にする事なく包み込み、ただアーシャはほほ笑んだ。


「そして、私達もな」

「……はい」


 腕を力強く抱きしめて来たフィリアは、潤んだ目で見つめて来る。

 そんな彼女の頭に手を置いたアーシャは、朗らかな笑みを浮かべる。


「私達も、対等な友人だ」

「えへへ」


 可愛らしい笑顔にアーシャの心臓は強く打つも、すぐに目を逸らす。

 顔も熱くなってきたので、アーシャは話を変える。


「……しかし、マジで痛むわ」

「……オセロットさん、こうなる事を望んでいたんでしょうか?」


 少し頬を膨らませたフィリアを横目に、アーシャは刺された個所を撫でた。


「ああ、けど」

「けど?」

「教えるのは良いとして、なにも刺す事ねぇだろ!あのクソ猫!」


 彼が居ると思われる自分達の母艦に向けて、アーシャは盛大に文句を言い放った。

 おかげで、負傷箇所に痛みが走る。


「あ、あたた」

「も、もう、大声出すから」

「す、すまん」

「……帰ったらドクさんに、ちゃんとした治療を受けさせてもらいましょう」

「そしたら、ケフュレスの回復魔法でもかけてもらうか」


 帰った時の事を予定しつつ、アーシャはフィリアと共に歩を進める。

 その時、二人の隣を長いブロンドヘアの女性が通り過ぎた。


「ん?」


 首を傾げたフィリアは、その女性を目で追った。

 子供を抱きかかえるその女性は、孤児院の門を潜って行く。


「どうした?」

「いえ、さっきの人、どこかで」


 先ほどの女性に、ずっと首を傾げてしまうフィリア。

 そんな彼女を見ていると、また胸のモヤモヤが沸き上がって来る。


「……だ、抱き上げて欲しかったら、いつでも言えよ」

「い、いえ、そ、そう言う事ではなく、と言うか、傷口開きますよ」

「……わかった」


 目を細めたアーシャは声を太くしながら目的地の方へ足を向け、フィリアと共に歩き始める。

 彼女に支えてもらいながら、アーシャはフィリアを少し強めに抱く。


「なぁ、フィリア」

「はい」

「……あ」


 顔に熱を覚えたアーシャは、一旦言葉を飲み込んだ。

 そして一度呼吸を整えた後で、フィリアの方を向く。


「改めて、これからも、よろしく、な」


 震えた言葉でそう言うと、今日ようやくフィリアの目を見られた。

 おかげで、フィリアの宝石のような瞳をまた見られる。


「……はい、こちらこそ」


 フィリアの方からも抱く力を強められ、アーシャの鼓動は少し早まる。

 呼吸を整えたアーシャは、フィリアと共に仲間達の元へ戻って行った。


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