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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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共闘

 四方八方から、強化人間達の放つミサイルがイムカーへと降り注ぐ。

 イムカーの全身が爆炎に包まれるも、身体にススが付いただけ。

 続けて機銃掃射が開始され、中には近接武器で接近する者も居る。


「無駄な事を!」


 銃弾を気にする事無く、イムカーは近接武器を構える者達へ攻撃。

 武器を破壊しながら殴り、振り抜いた腕で叩き潰す。


「ギ!」

「ガギ!」


 ノイズがかった断末魔と共に、近づいた者達は力無く倒れ込んだ。

 一瞬にして仲間が倒され、他の強化人間達の攻撃の手が緩む。

 その光景に、イムカーは笑みを浮かべた。


「これで終わりか?」


 その言葉に反応したのか、一部の隊員がアイコンタクトを取って頷く。

 再度爆撃と銃撃が行われ、合間にイムカーの腕にワイヤーが撃ち込まれた。

 両腕から伸びるワイヤーの先には、強化人間が一人ずつ。


「ほう」


 スラスターなどを用いて、二人は必死に動きを止める。

 更にもう二人が、イムカーの足に絡みつく。

 四肢を封じたイムカーへと、ナイフや剣を持った強化人間達が接近する。


「やれ!」

「甘いんだよ!」


 足に絡みついていた二人は、踏みつぶした。

 ワイヤーを引っ張り、その先に居る二人を振り回す。


「そぉら!!」


 周りの強化人間達へ衝突させ、地面へと叩き潰す。

 ワイヤーは解かれ、接近していた強化人間の一人を捕まえる。


「従属種族が、頭に乗るな!」


 捕まった一人は、悲鳴を上げる間も無く上半身と下半身を千切られた。


「ッ、クッソ!」


 接近していた最後の一人が、イムカーに機銃を叩きこむ。

 筋肉で銃弾が弾かれ、ゆっくりと近づく。


「クソ、クソ!!」

「身の程をわきまえろ!」

「ッ!」


 機銃でガードするも、銃ごと顔も潰された。


「さぁて、次は、どいつだ?」


 積み上げられた死体達に囲まれるイムカーは、周りを見渡す。

 折角集まった強化人間達は攻撃どころか、動きも止めてしまっている。


「烏合の衆とはこの事だな」


 拳同士をぶつけあい、イムカーは強化人間達を睨みつけた。

 その鋭い睨みをぶつけられ、彼らは下がってしまう。

 彼らを他所に、二人だけ前に出る。


『……マリー、やれるか?』

「はい、私も、自由になりたいです」


 マックスとマリーだけが、イムカーの前に立つ。

 彼女達を前に、イムカーは拳同士をぶつける。


「フン、次はお前達か」

「……黙れ」


 マリーの重々しい声を響かせると、マックスと共に攻めた。

 アーシャに見せていたような連携で、イムカーへ攻撃を加える。


「ははは、いいマッサージだ」

「クソ!」


 舐めたように笑うイムカーに、二人は息をつかせる暇のない攻撃を叩きこむ。

 だが、眉一つ動かさない。


「どうした?もっと強くやらないと効かないぞ?」

「黙れってんだ!」


 マリーの鋭い蹴りが、イムカーの顔面に直撃。

 足の下から見えるイムカーの口が、弧を描く。

 マリーの足がイムカーの大きな手に捕まれ、マリーは振り回される。


「あああ!」

「どりゃ!」


 悲鳴を上げるマリーは、マックスへと叩きつけられた。

 二人は地面に激突し、数メート先まで吹っ飛ぶ。

 間髪入れず、イムカーの手の平が二人を捉える。


「吹き飛べ!」


 紫色の魔力弾が、二人へ放たれた。

 地面を削り、空気を斬り裂いてマリー達へ迫る。


「マックス!」


 当たる直前で、回復したアーシャが二人を担いで射線から脱出。

 大量の岩石が破片として発生し、一部がアーシャの後頭部に命中する。


「グ!」

『アーシャ!』


 当たり所が悪く、脳が揺れた。

 元々弱っていたアーシャは、普段よりダメージを受ける。

 視界は歪み、足から力が抜ける。


「チ!」


 舌打ちと共に踏ん張り、鼓動と共に襲い掛かる痛みに顔を歪めた。

 二人を下ろし、流れる血を止める。


「……だ、大丈夫か?」

「それは貴女の方です!誰か!」

「大人しく待っていると思うか!?」


 マリーの救援に応える者も居たが、イムカーが先に動いた。

 三人をまとめて消せる大きさの球体が形成し、投げ飛ばしてくる。

 凄まじい熱波がアーシャ達に襲い掛かり、衝撃波で周りの部隊も近寄れない。

 視界が完全に紫一色に染まり、アーシャの体は硬直する。


「クソ!」


 身構えるアーシャに、影が落ちる。

 続けて視界が明転。

 凄まじい爆発音が鳴り響き、衝撃波が瓦礫の山を押しのける。


「グッ!?」


 吹き飛ばされた事で背中を強打したアーシャは、拳を握りながら立ち上がろうとする。

 だが膝が震え、腕も言う事を聞かない。

 ぼやける目を上げ、正面に落ちて来た物を目にする。


「な、なに、が……」


 徐々にピントの合う視界は、マックスの事を捉えた。

 アーシャは、目を見開いた。


「……ま、マックス?……」


 うつ伏せから身体を起こしていくと、徐々にマックスの状態が明らかになる。

 それを前にし――アーシャは叫ぶ。


「マックス!!」


 下半身を失ったマックスへ、アーシャは駆け寄った。

 血が、温かいまま流れていた。

 一歩歩く度に激痛が走ろうと、彼女の事を抱える。


「しっかりしろ、おい、おい!」

『……アー、シャ』

「ああ、そうだ、私だ、大丈夫だ、大丈夫、助かる」


 慰めの言葉を弱弱しい口調でかけるが、マックスは首を横に振る。


『……お別れ、だ』

「バカやろう!やっと会えたんだぞ、それなのに、また置いて行くのか?私を……嫌だ、もう、誰も、失いたくない」

『……もっと早く、言えば』

「言うな」


 涙を流すアーシャは、何かを察した。


『俺は、お前が』

「黙れ!」


 それでも、マックスは止まらない。

 アーシャの腕を掴み、涙を零しながらほほえみかける。


『……好き……だった』

「……」


 目を見開きながら、アーシャは零れそうになったマックスの手を掴んだ。

 もう動く事も無い彼女の手を握り締め、目から光を失ったマックスの顔を見つめる。


「ははは!悲しむ事は無い、いずれお前もソイツの元に行く」

「……」


 頭の中で、何かが切れた。


「……こ、ろす」


 震える手でマックスの目を閉ざし、涙を滝のように流す。

 あふれ出て来る感情に、アーシャは歯を食いしばった。


「アアアアア!殺す!殺す殺す!!」


 マックスの手を握り締めながら、イムカーを睨む。

 全身に稲妻が走り、徐々に身体が大きくなる。

 それに伴って破損したスーツも伸び、全身から湯気が立ち上りだす。

 音が歪み、空間が軋む。


「お休み、マックス」


 マックスを下ろし、アーシャは立ち上がる。

 倍近くなった身長で、目を丸めるイムカーを見下ろす。


「な、何だ?その姿は」

「……殺してやる。骨の髄まで、魂の一片まで」



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