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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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因縁

 アーシャはイムカーへと直進すると、向こうも突っ込んで来る。

 タックルの姿勢を取るイムカーと衝突。

 その膂力に、アーシャは目を見開く。


「ガ!」


 そのパワーでアーシャは吹き飛ばされるも、すぐに立ち上がる。

 口から血を吐き出し、肩を回すイムカーを睨む。


「なんだ、このパワー」

「即行殺すんじゃ、なかったか?」

「やってやるよ!」


 歯を食いしばったアーシャは、手斧を構えながら接近。

 ガントレットのパワーに乗せ、全力で振り下ろした。


「死ね!」


 刃はイムカーの胸筋に当たり、甲高い音が響き渡った。

 まるで手応えが無い事に、アーシャは息を飲む。


「……」

「なんだ?」

「チ!」


 挑発的な声に、アーシャは切り返す。

 何度も手斧を叩きこみ、蹴りを重ねる。

 それでも、イムカーの表情は一切変わらなかった。

 それどころか、攻撃を受けながら大振りの攻撃を繰り出そうとしてくる。


「ヌア!!」

「ッ!」


 咄嗟に防御するも、アーシャは弾丸のように打ち出された。

 瓦礫に叩きつけられ、その衝撃で浅いクレーターが出来上がる。


「ッ、ゴハッ!!」


 衝撃が遅れて襲い掛かり、吐き出された黒い血が地面を濡らす。

 肋骨から嫌な音が聞こえ、メイジギアからスパークが走る。


「クッソ……」


 負傷箇所を抑えながら立ち上がるが、膝が震えた。


「ウ」


 片膝をつき、肩で息をする。

 視界は歪み、震えは全身に達した。


「……グ」


 震える手を握り締めると、イムカーが着陸。

 巨人が一歩踏み出したように、周囲が揺れた。


「この、野郎!」

「所詮は従属種族、と言う事か」


 奴隷としてイムカーに捕まった時に、何度も言われた言葉。

 こめかみがピクつかせたアーシャは、勢いよく立ち上がる。


「……誰が!」


 力強く地を踏みしめる。

 ――また奪われる。

 次の瞬間、アーシャの立っていた場所が陥没。


「貴様はどれだけ、他種族を見下す気だ!?」

「フン、下等な種族に下等と言って何が悪い!?」

「それでどれだけ奪い、搾取した!?」

「笑わせるな!貴様だってそうやってここに居るんだろうに!」

「……次は貴様だ!」


 血管が千切れる程の怒りで、アーシャは地面を踏み込んだ。

 間合いを詰めていき、攻撃の一点全てに魔力を集中させる。


「ウヲオオ!!」

「かかって来い」

「ハアアア!!」


 喉が千切れんばかりに叫び、魔力弾を数発撃ち込む。

 爆炎に飲まれたイムカーが、ゆっくりと姿を現す。


「……終わりか?」


 上半身の服だけが、焼け落ちただけだった。

 皮膚が僅かに赤くなった程度。

 目だった重傷はどこにもない。


「クソが!!」


 いつまでも余裕な笑みを浮かべるイムカーを前に、アーシャは飛び上がった。

 手斧を両手で握り締め、全ての魔力を攻撃へ転用する。


「死ねぇ!!」


 イムカーの頭に手斧を叩きこむと、額から血が流れる。


「はぁ、はぁ、はぁ」

「……血が一滴か」

「ッ」


 切りつけた箇所はすぐに塞がった。

 身体を震わせるアーシャは、ゆっくりと後ろへ下がる。


「バカな」

「フン、攻撃の手本を見せてやる!」

「ッ!」


 打撃を受け止めるも、手斧は弾き飛ばされた。

 続けて何度も何度も大振りな攻撃に襲われ、アーシャはその度にガード。

 メイジギアの装甲にヒビが入り、内部の配線が衝撃で切れる。


「ギ!」


 反撃で拳を繰り出すも、受け止められた。

 そのまま持ち上げられ、イムカーの掌に紫色の光が収束。

 濃縮された魔力の塊だ。


「ッ!」

「フン!」


 紫の光が至近距離で爆散し、アーシャのメイジギアは完全に破損。

 力無く転がり、激痛で身体が言う事を聞かない。


「が、アガッ」


 立ち上がろうともがいている所に、イムカーが近づいて来る。


「どうだ?少しは身の程をわきまえたか!?」

「……黙れ!」


 せめてもの抵抗だった。

 目の前に止まったイムカーは、見下すように笑う。


「へ」


 イムカーの足が持ち上げられ、アーシャの腹部に降ろされる。


「ゴハッ!!」


 地面が小さく陥没し、体内の息が全て外へ出た。

 踏みつけられたままで息ができず、アーシャの顔は赤くなる。


「は!大口叩いてその様か、所詮俺達に飼われる運命か」

「う、る、さ」

「まだ元気が有るか」


 足が離され、イムカーの手で首が掴まれる。


「あ、ぐ」

「ふーむ、メイジギアが無いと、より際立つな、その身体!」

「ッ!」


 インナースーツの腹部が、千切り取られた

 視線が這いまわり、触れられていないのに鳥肌が立つ。


「み、見るな……!」

「威勢もいい、身体もいい、これは、暴力で屈服させるよりも面白いな」

「ッ、グ」


 足蹴りを繰り出すも、その足も掴まれた。

 このままされる事を想像するアーシャの脳裏に、フィリアの姿が浮かぶ。


「やめろ……もう、フィリア以外に……」

「フン、ソイツに見せられない身体にしてやろうか」

「やめ、ろ」


 地面に押し付けられたアーシャは、涙を零す。

 インナースーツの下半身部分に、イムカーの手が伸びる。


「安心しろ、やめてやる、死んで使い物にならなくなったら」

「ッ」


 悪夢でよく聞いたセリフが、アーシャを金縛りにする。

 身体が、動かない。

 時の進みが、ゆっくりに感じた。


「へ、ッ!?」


 次の瞬間、横からイムカーへ爆炎が叩きこまれた。

 立て続けに爆発し、アーシャにも熱波が襲う。


『ほら!来い!』

「ッ!マックス!」


 マックスに回収されたアーシャは、彼女に後方へと連れられた。


「はぁ、はぁ」

『大丈夫か!?』

「……ああ、怖かった、ちょっとだけだぞ」

『強がんな、けど、心配すんな、もう大丈夫だ』

「ええ、心許ないですが、援軍です」

「……」


 上半身を起こしたアーシャの前に、白髪の少女マリーが立った。

 更に飛行音が続々と近づき、立て続けに着地する音が聞こえる。


「……こいつ等」


 辺りを見渡せば、生き残った強化人間達。

 瓦礫の上、崩れた街路、空中にも次々と人影が現れる。

 全員武器をイムカーへ向け、アーシャを守るように展開している。

 彼らの登場に目を丸めていると、マリーが手を彼らへ向ける。


「みんな、彼に故郷と家族を、奪われた方々です、つまり」

『こいつ等全員、もうお前の味方だ』


 マックスはマリーと共に構える。


『今度こそ、お前を傷つけさせやしない!』


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