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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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サーバールーム

 フィリアとの通信を終えたケフュレスは、胸をなで下ろす。


「ふぅ、スコール4、合流するって」

「良かった、かなりヤバい音聞こえたからな」


 銃声の騒がしい中で、ケフュレスからの報告にサーバルは笑みを浮かべた。

 だが、通路を挟んだ向こう側で、ライフルで応戦するオセロットの声が響く。


「喜ばしいが、先ずはこっちを優先してくれ!」

「はいはーい!」


 ケフュレスとサーバルも銃撃に加わり、奥の敵兵の動きを止めた。

 敵の攻撃の手が緩んだ所で、ケフュレスは手榴弾のピンを抜く。

 電子音がやかましく響き、サーバルは遮蔽物に隠れる。


「兄貴!隠れろ!」

「え!?」

「フラグ!」


 ケフュレスの掛け声とともに、電子音鳴り響く手榴弾が投げ込まれた。

 数秒後、敵部隊の真ん中で炸裂。

 衝撃波と爆音が、ケフュレス達に襲い掛かる。


「ッ……」


 覗いてみると、先ほどまで敵部隊の居た場所にクレーターができていた。

 しかも、敵兵はどこにも居ない。

 明らかに手榴弾一発の破壊力ではない。


「お前」


 遅れて漂ってきた焼け焦げた臭いにオセロットは顔をしかめた。


「あはは!パイナップル型防犯ブザー!持って来て良かった!」

「どこが防犯ブザーだ!」

「兄貴、いちいち突っかかるな」

「……そうだったな」


 と言う会話を耳にしつつ、ケフュレス達は進軍を再開。

 フィリアから渡されたデータを元に、三人はようやくコントロールセンターのサーバールームの前にたどり着く。


「あそこだ!」

「ウシ!行くぜ!」


 先行したサーバルは、サーバールームの扉を蹴破った。

 薄暗く広い部屋。

 中央に、巨大な球形の機械が鎮座している。


「これがメインサーバーか!」

「ぶっ壊せば、俺達の勝ちだ!」


 サーバルは突入し、左腕のブレードを展開。

 サーバーへ向けてブレードを突き出すが、刃は途中で阻まれる。


「ッ!シールドか!?」


 サーバルは弾かれ、オセロット達の元へ後退。

 ケフュレスはライフルを構え、サーバーへ向けて発砲する。


「結構強いよ、あのシールド」

「……退いてろ」


 顔をしかめるサーバル達を退かしたオセロットは、刀を引き抜いた。

 両手で柄を握り締め、足に大量の魔力を注ぎ込む。

 空気が一瞬凍り付く。

 次の瞬間、オセロットの刀の刀身に水の刃が纏う。


「惨刺水明!」


 床が陥没する程の力で踏み込み、オセロットは突進。

 水の刃のまとう刀で突きを放つ。


「ウヲオオ!」


 もう少しで命中する。

 その確信が出た所で、オセロットの刀に黒い影が落ちた。


「なんだ!?」


 突然の事態に、オセロットは減速。

 次の瞬間、天井を突き破って大男が降って来る。


「つ、次はなんだよ!?」


 強い地響きを三人へもたらした大男は、ゆっくりと立ち上がる。

 全身に機械の残骸が取り込まれ、かろうじて人型とわかる程度の怪物。

 取り込まれた部品が、かすかに蠢いている。


「な、何だ、この化け物は」

「……わかんない」


 乳白色の肌の大男の腕が取り込んだ金属たちは、巨大な鉄の爪を形成させた。

 そして、正気とは思えない白い目が向けられる。

 三人に向けられるのは、むき出しの殺意だった。


「ゴオオオオ!!」


 獣のような雄叫びが、部屋中に響きわたった。


「来るよ!二人共!」

『押忍!』


 大男は凄まじい速さで、間合いを詰めて来る。

 片腕の鉄の爪を振りかぶり、体重を乗せて叩きつけて来た。

 三人は散開しながら回避。

 側面に回避したサーバルとケフュレスは、手持ちの銃火器を放つ。


「クソ、硬い!」


 サーバルの散弾も、ケフュレスの徹甲弾も、全て柔らかそうな表皮に弾かれる。

 それでも足止めにはなり、オセロットの一撃の時間が稼げた。


「くらえ、惨刺水明!」


 サーバーに放とうとした技は、大男へ向けて繰り出された。

 回転する水の刃と、刀による刺突が大男へと到達。

 心臓部分へと突き刺さり、確かな手応えを感じる。

 同時に手がくすぐられるような不快な感触が、オセロットの手に伝わる。


「チ、嫌な感触だ」


 引き抜こうと大男の胸板に足をかけようとした時、オセロットは大男の片手に掴まれる。


「何!?」


 驚く間もなく、オセロットは投げ飛ばされた。

 彼の刀も弾き落とされ、刺された個所が再生する。


「マジで何なんだ!?コイツは!!?」

「援護するよ!!」


 ケフュレスの狙撃銃による銃撃の合間に、サーバルはブレードを振り抜く。

 妙な弾力の肌を斬り裂くも、両断には至らない。

 すぐに再生されてしまった。


「チ!だったら!!」


 何度も切りつけるが、やはり浅めにしか刃が入らない。

 だが、その隙間を狙って、ケフュレスの銃弾が繰り出される。

 表皮に阻まれていた銃弾は、大男の体内へと侵入する。

 事実上の着弾に、サーバルは笑みを浮かべる


「よし!……いいぞ!」

「……」


 だが、その程度で大男は止まらない。

 浮かれるサーバルへ打撃を繰り出し、彼女は盛大に吹き飛ぶ。

 そんな彼女を、オセロットは受け止める。


「おっと!大丈夫か!?」

「あ、ああ、ゴフ!」


 血を吐き出しながらも、サーバルは立ち上がる。


「なんだよ、あれ」


 大男に撃ち込まれた銃弾は、全て傷口から漏れ出る。

 傷も塞がり、新品同様の身体となった。


「血色の悪い、化け物が!」


 刀を構えたオセロットは、大男へと突進した。

 彼の背後にあるメインサーバーごと貫くように。


「惨刺水明!!」


 倒せなくて良い、背後のサーバーを破壊するのが目的だ。

 大男の巨体を貫き、奥のサーバーに刀が突き刺さる。


「シャラアアア!!」


 刀を引き、サーバーを両断。

 各所からスパークが発生し、光が失われる。


「これで、終わりだ!」


 ――終わった、そう思った。

 笑みを浮かべるオセロットの耳に、嫌な音が入り込む。

 重々しい足音と、金属がこすれる音。

 その中に含まれる銃声と、サーバルの叫び声。


「兄貴!!」

「ッ!?」


 身体に風穴を開けられても尚、大男は向かって来た。

 完全に反応は送れ、爪が迫る。

 ――しくじった。

 後悔していると、横から衝撃が来る。


「オセロット君!」


 ケフュレスだった。

 彼女に押され、代わりにケフュレスの腹部が巨大な爪に貫かれた。


「ガハッ!!」

「け、ケフュレス!!」


 持ち上げられたケフュレスは、ぐったりと四肢を投げだす。

 大男の鉄の爪から鮮血が流れおち、床を濡らす。


「……逃げ、て……最期位、恰好付けさせて」

「ふざけんな!お前を置いて」


 擦れた声で言われた事を無視するように、オセロットは刀を構えた。

 だが、先にケフュレスが動く。

 アーマーの一部を剥ぎ取り、大量の電子音を響かせる。


「お前!?クソ!!」


 何か分かった瞬間、オセロットはサーバルを連れて逃げ出す。


「兄貴!」

「逃げるしかない!」

「チクショウ!ケフュレス!ケフュレスぅぅ!!」


 大男を睨むケフュレスは、口に溜まった血を顔に吹き付ける。

 一瞬、呼吸が止まる。


「ブ……パイナップル型防犯ブザー、威力強化バージョン!!」


 彼女の身体に、複数取り付けていたグレネードが一気に炸裂した。

 衝撃波で、オセロット達は吹き飛ばされた。


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