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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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崩落する町

 下層でドレイクと戦闘を続けていたフィリアは、アーシャの気配を感じ取った。


「……マスター、そちらも」

「よそ見してる場合か!?」


 ドレイクの手より、紫電が放出された。

 即座にシールドを構え、偏光障壁で魔法を弾く。

 接近してくるドレイクの刀を、フィリアはビーム刃で受け止めた。

 火花と共に反発した粒子が、互いの装甲を焼く。


「あなたの行動原理がわからない」

「だから何だ!?」

「ッ!」


 腹部に蹴りをくらい、フィリアは天井に衝突。

 続けてドレイクの刺突が繰り出され、フィリアは後方へ押し込まれる。

 背部に隔壁を叩きこまれながら、押し出されていった。

 フィリアはそのまま外壁を突き破り、中層の街区へと突き飛ばされた。


「ッ……クソ」


 大穴へ向けて、フィリアはビーム砲を放つ。

 閃光が各所の地面から伸びたが、ドレイクの姿も反応も無い。


「……どこだ?」


 街区の上を飛びながら、フィリアは周囲へ目を配る。

 ビルの陰、車の中、あらゆる場所へ目を向けた。

 ビル陰の一つに設置されていたセンサーに、光が灯った。

 フィリアは気づかず、近づいて行ってしまう。


「ガハ!」


 背後でトラップが爆発し、制御を失ったフィリアは落下。

 生体反応にセンサーの感度に、集中させすぎた事がアダになる。

 その途中で、身を潜めていたドレイクがロケットランチャーを放つ。


「ッ!?」


 咄嗟にシールドを構えるも、直撃を受けて破損。

 即座に廃棄し、フィリアはスラスターを吹かせる。


「避けたか!」


 潜伏していた場所から、ドレイクは移動。

 追加装備も無く、自由に空中を飛び回っている。


「待て!」


 ランチャーに魔力を収束させ、ドレイクへと放つ。

 だがドレイクは、後ろも見ずにビーム砲を回避。

 代わりに内壁が融解し、大穴が発砲した数だけ形成された。


「当たらない」


 感情マスキングが無ければ、もっと撃っていた。

 すぐにランチャーを背部に戻し、再び接近戦を挑む。


「くる」


 反転したドレイクの手より、電撃が広範囲に放たれた。


「チ」


 盾が無い今は、立ち止まるしか無い。

 ギリギリで紫電を避けていると、ドレイクの突きが襲う。


「くたばれ!」


 迫りくるドレイクを前に、フィリアはブレードを繰り出す。

 ビーム刃で刀を防ぎ止め、二人はすれ違う。

 甲高い金属音が響き渡り、フィリアの装甲の一部が斬り裂かれた。


「やはり、やる」

「お前はあの子達と違うようだな、明確な意思を感じる!」

「……敵と話す気は無い」


 互いに向かい合い、空中で滞空した。

 下手に動けず、フィリアはブレードを握り締める。

 すると、街区のスピーカーから声が流れる。


『苦戦しているようだな』

「誰だ?」

「……うるさい奴だ、何のようだ!?」

「……」


 妙なやり取りに、フィリアは砲口を向けながら硬直した。

 引き金を引けばいつでも放たれるが、人差し指を固定する。


『その人形は第七世代だろう、いい方法がある』


 そのアナウンスと共に、街区から細長い柱が出現。

 それが何か気付いた時には、もう遅かった。


「マズイ」


 すぐにスラスターを吹かすも、柱から電流が放たれる。

 全身の肌に焼かれるような痛みが走り、脊髄に埋め込まれているナノマシンが破損。

 感情マスキングが剝がれ、心臓が強く打ち、息が荒くなる。


「ッ、クッソオオオ!!」


 急に溢れ出した感情に任せ、フィリアは引き金を引いた。

 照準はズレ、まるで当たらない方角にビーム砲が何度も放たれる。

 彼女の姿に、ドレイクは顔をしかめた。


「テメェ、何しやがった!?」

『なに、人形の糸を切ったまでだ、この恩寵、無下にするなよ』


 言いたい事だけを言って、アナウンスが切られた。

 呼吸を荒くするフィリアは、改めて照準を合わせる。


「ギッ!」


 マスキングされていないままの敵の攻撃に、指が震えた。


「何時も通り、引き金を引くだけだ!」

「チ、余計な事を!」


 飛び上がったドレイクに対し、フィリアは引き金を引く。

 ビーム砲を照射し、ドレイクの影を追いかける。


「当たれ!当たれ!当たれぇぇ!!」


 照準が合う前に、引き金が引かれた。

 ビーム砲は、まるで見当外れの方へと放たれる。


「チ!崩落させる気か!?」

「あ、ぐ!!」


 荒ぶる感情で指が引き金から離れず、フィリアは嗚咽。

 呼吸の仕方すら、忘れている。

 コンデンサー内の魔力残量が無くなり、焼けた砲身が煙を吐く。


「エネルギーが」


 引き金を何度も引くが、何も起こらない。

 その隙に、ドレイクの接近を許す。


「あ!」


 驚いている間に、ランチャーは破壊。

 咄嗟に下がり、再度ブレードを手にするも、ビーム刃が発振していないナイフ状態。

 下がる動きも素人のように、軌道が安定していない。

 斬り掛かって来るドレイクに対し、フィリアは目を見開く。


「ヒ!」


 息を飲み、ナイフでドレイクの刀を受け止める。


「……まるで新兵だな!」

「う、うるさい!」


 フィリアはビルに押し込まれ、動きを封じられた。

 両手でナイフを抑えていると、ドレイクは自分のナイフを引き抜く。


「グ!」


 恐怖で咄嗟の判断ができず、フィリアは硬直した。

 ナイフが、フィリアの首筋に当てられる。


「……そのままで聞け」

「な、何を」


 様子を伺うように、ドレイクは目線だけで周囲を把握。

 今にも殺しそうな姿勢で、フィリアに告げ口する。


「……ここには、E型医療ポッドがある」

「え?」

「イムカーと言う男にも気を付けろ」

「だ、誰……?」

「……恐らく奴は、お前と同世代の別プラン型」


 ドレイクのセリフに目を見開くと、先の砲撃で天井が崩落。

 崩壊に二人は巻き込まれ、フィリアはドレイクの手で瓦礫から逃れた。


「ッ!?何故!?」

「子供達を救ってやってくれ!奴ら、涙も流せず泣いてやがる!」


 最後に雷撃魔法を放ち、フィリアに降り注ぐ巨大な瓦礫を破壊した。


「これで、胸糞な任務から手を引けるぜ」


 笑顔を浮かべたまま――

 ドレイクの姿は、瓦礫の崩落の中へ消えていく。


「……ドレイク、さん……何故?」


 瓦礫を見つめるフィリアに、通信が入り込む。


『スコール4!そっちは大丈夫!?』


 ノイズの混じる声。

 ケフュレスである事に気付き、通信を取る。


「ッ、す、スコール、3」

『どうしたの?大丈夫!?』

「……だ、大丈夫、です……す、すぐ、合流、します」


 フラフラとしながら、フィリアはケフュレス達の元へと向かった。


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