切り込み
ナインケルパーと共に出撃したレッドは、サラマンダーの手綱を引く。
「チ!とんでもねぇな!!」
見渡せば、今まで見て来た戦力が陣形をとって進軍している。
文字通りの人海戦術を前に、ナインケルパーの嬉しそうな声が入り込む。
『こんなに良い戦場は久しぶりだよ、崩壊戦を思い出す!』
その言葉と共に、ナインケルパーは先行。
飛行形態のシルフィードを駆り、一気に最前線へと進む。
彼女を見送ると、レッドは自分の戦場へ視線を落とす。
「大体コツは解った、今回は思う存分暴れてやる!!」
波のように迫る敵陣に、レッドは突っ込んだ。
着地と共に地面を殴りつけ、衝撃波と炎で敵を焼く。
「行くぜ!!」
背中から生える炎の翼を機体にまとわせ、敵陣を一気に駆け抜ける。
サラマンダー自身が砲弾となり、眼前の敵は蒸発。
周囲の敵も劫火に焼かれ、次々と焼失する。
「と!」
着地したレッドの背後は焼け焦げ、融解した敵機体が倒れ込む。
そんな敵兵達へ振り向いたレッドは、サラマンダーの指を鳴らす。
「さて、次は」
高まってきた熱が、サラマンダーに力をもたらす。
コックピット内の温度も上昇する中で、レッドは笑みを浮かべる。
「コイツを試すか!!」
サラマンダーの両手に炎の塊を生成し、一気に突き出す。
「そらそら!」
両手から炎の球が連続発射され、先の攻撃を生き残った部隊へ降り注ぐ。
炎は、着弾と共に爆発。
敵の気配が無くなるまで撃ち続けると、一度攻撃を止める。
「ふぅ……」
一息つくと共に、サラマンダーの機体から陽炎が作られる。
「次、ッ!?」
すると、上空からの音に気付く。
すぐさま音のした方を向くと、空中戦を繰り広げるシルフィードが目に映る。
「……アイツ」
人型形態と飛行形態を使い分け、空中の戦力を次々削いでいる。
鮮やかと呼べる戦い方には、思わず見とれてしまう。
だが、その中で違和感もある。
「あんな速さで動き回って、ソニックブームが無い、仕掛けがわからねぇ」
凄まじい速さで動きながら、まるで大気を撫でるかのような動き。
考察にふけっていると、彼女達が着地してくる。
「ッ!?」
『どーしたの?ボーっとしてるんなら、獲物は貰っちゃうよ!!』
「テメェ!そうはいくか!!」
その言葉と共に、ナインケルパーは先行。
両腰より取りだした筒よりビーム刃を展開し、敵を次々切り刻む。
全ての攻撃は、コックピットに命中。
生死の確認が必要無い程、的確に斬り裂いている。
「チ!遅れてたまるか!!」
向上した機体温度に乗せて、レッドも暴れ出す。
シルフィードを追い抜こうと前に出るが、距離は一向に縮まらない。
「どうなってんだ、俺とアイツで、何が違う!?」
どんなに機体の力を上げても、敵を焼いても追い付けない。
流れ作業のように敵を潰すナインケルパーの動きは、人間業に見えなかった。
「チクショウが!!」
『ライトニング1!先行し過ぎだ!一度下がれ!!』
「ッ!!」
コマンダーからの通信で、レッドは一度攻撃を停止。
操縦桿を握り締め、両ひざに手を置く。
「……チ、一旦下がる、だが、その前に!!」
舌打ちをしたレッドは、機体の排熱を開始。
熱波によって、群がっていた敵部隊を蹴散らした。
その後レッドは後退し、コマンダーへ無線を入れる。
「ふぅ……で?なんだ?」
『……突入部隊の進行ルートを切り開く、スカイエデンのシールドを破壊しろ』
「押忍、どうやればいい?」
一度着地したレッドは、上へと目を向けた。
天井のように、空に佇む敵艦。
その表面には、薄っすらとシールドが見える。
『……以前鹵獲した魔剣、持っているな?』
「ああ、使うと思ってな」
『……ソイツに大量の魔力を込めた攻撃であれば、シールドを破壊できる、マークしたポイントさえ開ければいい』
「押忍!やってみるか!!」
炎の翼を羽ばたかせたレッドは、背中の魔剣を握り締める。
「行くぜ!!」
上昇と共に、魔剣へ魔力の供給を開始した。
チャージに伴い、魔剣は赤く発光。
全体に炎が燃え上がり、巨大な剣が形成される。
「コイツで!」
機体より遥かに長大となった剣を振りかぶり、シールドへ斬り付ける。
「切り裂く!!」
シールドに阻まれようと、レッドは操縦桿を握る力を強めた。
刃は阻まれた。
だが、次の瞬間、じわじわと食い込みだす。
シールドは歪み、ヒビ割れが発生する。
「ウヲラアアア!!」
シールドは斬り裂かれ、巨大な穴が開いた。
代わりに、魔剣は黒焦げとなって崩れ落ちる。
「……へ、斬りがいはあったぜ」
笑みを浮かべながら、レッドは地上へと降下して行く。
――――――
その頃。
コンゴウから様子を見ていたマキナは、玉座のような席に座りながら目を開く。
「良いぞ、砲の準備はどうか!?」
「特殊弾装填、射出電圧臨界、照準誤差修正完了、いつでも撃てます!!」
オペレーターの報告を受けたマキナは、笑みを浮かべた。
そして、持っていた扇を突き出す。
「ハイパーレールキャノン、スピネル、テーッ!!」
マキナの言葉に合わせるように、コンゴウの砲台が火を噴く。
雷鳴の様な凄まじい轟音が響き、砲弾は大気を裂く。
砲弾はスカイエデン下部に命中。
砲弾は食い込み、衝撃で着弾地点を中心に船体が崩落する。
「着弾を確認、船体の一部が崩落、地上へ落下しています」
「フム、よい報告だ、味方に押しつぶされるがよい」
崩落する船体の一部に潰される敵部隊を見ながら、マキナは立ち上がった。
そしてスカイエデンへ向けて、マキナは開いた右手を心臓部分に当てる。
魔王軍式の敬礼だ。
「後は頼んだぞ、アーシャ」




