切り札
コマンダーは、コンゴウに乗艦しているマキナへ通信を行っていた。
『して、いかにする?この状況』
「……スコール4から報告があった、スカイエデンより、特殊な信号を検出したらしい」
そう言いながら、コマンダーはフィリアからの報告を目にする。
『それがどうした?』
「……旗艦はスカイエデンだ、少数精鋭の部隊でコントロールセンターを潰す」
映し出されたのは、上空のスカイエデンの簡単な見取り図。
上部にそびえるタワーに、点滅するマークが付けられている。
『問題は、どのように、上へ行くかであるか』
「……ああ」
『フム、策はコチラで用意する、お主の方で、五名程兵を貸してほしい』
「……いいだろう、後は、地上をどうするか」
コマンダーは、地上の敵部隊へ目を向けた。
「……サラマンダーとシルフィードはどうした?」
『既にオーバーホールは終えている、いつでも出せるぞ』
「……二人は最前線だ、後は戦力をローテーション、防衛線を構築するぞ」
『よかろう、こちらも、可能な限り戦力を出す』
「……了解、一度通信を終える」
一度マキナとの通信を終えると、コマンダーは改めて敵部隊へ目を向けた。
既に第一陣が迫る中、敵艦が動きを見せる。
「熱源確認、敵艦よりミサイル飛来!!」
「……レイブン!」
敵艦より放たれたミサイルの雨を前に、レイブンは腕を組む。
「コンゴウと戦術粒子ネットワークを構築!シールドを展開しろ!!」
「了解、戦術粒子ネットワーク構築、シールド、展開します!」
オペレーターの復唱と共に、艦隊を覆う程のシールドがドーム状に展開。
半透明の壁はミサイル群を防ぎ止めるも、一部は通り抜けて来る。
「ミサイル来ます!」
「対空迎撃!」
構築されたネットワークにより、艦隊は互いにカバーしあうように迎撃を開始。
迎撃ミサイルと機関砲が火を噴き、敵のミサイルを防ぎきる。
その様子を横目に、コマンダーはレッド達へ通信を行う
「……ライトニング1、ナインケルパー、どこに居る?」
『こちらライトニング1、コンゴウより発進する』
『ナインケルパー、ボクも行くよ!』
「……ならば、ソウリュウと合流しろ、お前達の力が要る」
『ッ、あれを使う気か』
「……ああ、少しでも時間を稼ぐ」
頷いたコマンダーに従い、コンゴウから出撃した二人はソウリュウと合流。
ソウリュウの左舷と右舷に立ち、魔力の供給を開始する。
「よし、特装砲を用意しろ!」
「了解、特装砲、スタンバイ!」
「艦内各位に通達、特装砲を使用します、作業中のスタッフは、直ちに作業を停止してください!!」
復唱と共に、ソウリュウは僅かに変形。
左右の一部が展開しスパークを発生させ、艦の中央の砲口が開く。
二機のタイタンバスターから供給を受けつつ、艦内のほとんどの魔力を収束させる。
「チャージ、80パーセント!」
「艦隊の中央を狙え!最優先目標は、八脚だ!」
「了解!」
「間もなくチャージ完了!!」
その報告と共に、艦内の一部の明かりが消えた。
「照準完了!」
そして、レイブンの声が響き渡る。
「特装砲、うちぃかたぁ始めぇぇ!!」
怒号と共に、特装砲が発射された。
赤い極太のビームは地面を抉り、敵の部隊へと直進。
先陣を切っていた部隊は焼失、八脚の脚部を消し飛ばした。
「発射完了……」
進行する敵の音が消えた。
ただ、切り裂かれた大地だけが残る。
「砲身の冷却と再チャージを開始、特装砲再装填に、1800秒!」
再装填の通達完了と共に、艦橋に明かりが灯った。
「……特装砲はもう良い、各艦、上空目標を狙え」
「各艦に通達!上空へ狙いを付けろ!」
「押忍!照準補正、完了!」
「主砲!うちぃかたぁ始め!」
艦隊の攻撃は全て上空のスカイエデンへ迫り、次々と炸裂。
爆炎が空を包み込み、艦内に静寂が訪れる。
「どうだ!?」
淡い期待は届かず、晴れた爆炎から無傷のスカイエデンが姿を現す。
爆炎が、弾かれたように霧散していく。
「スカイエデン、健在!」
「船体周囲にシールドを確認!」
「……そう言う訳だ、マキナ」
オペレーターの報告はマキナへ共有されると、彼女は画面の向こうでアゴに手を置いた。
『案ずるな、それより、選抜は終えたか?』
「ああ、アーシャ達をそちらへ向かわせる」
話を進めていると、オペレーターの一人が叫びだす。
「敵、第二陣が接近!あ、いえ、第三陣も続いています!!」
「……ライトニング1、ナインケルパー、前に出ろ」
『了解!』
『それじゃ、始めようか!!』
「……よし、レイブン、艦隊の指揮を頼む、俺はいつも通り、マキナと連携して地上部隊を指揮する」
「任せておけ」
艦橋内に改めて緊張が走り、コマンダーは一度目を閉じる。
「……ここからは、消耗戦か」
誰も、否定しなかった。
息を大きく吸い、考えをまとめて行く。
そして、目を見開いた。
「各員の健闘を祈る!一人でも多く生き残れ!!」




