出会い5
この小説は、迂闊十臓さん(@ukatujyu)のイラストから着想を得た小説です。
迂闊さんには、イラストイメージの使用を許可していただき感謝いたします。
人類が火星のテラフォーミングを開始して、もう十世紀近い時間が過ぎていた。
居住可能な環境になってさらに一世紀経過してから、人類の入植は開始された。
温暖な赤道付近を中心とて入植は行われ、
民間人が火星に住むことはまだ認められておらず、作られている建築物も軍事施設と研究施設だけだが、気候条件や気温が安定し始めたら民間人の入植も開始されるだろう。
どうして、軍事施設も作られているのか。
それは、《天使》と呼称される存在が火星に存在していた、ということにあった。
《天使》とは、人間の入植が開始されたのとほぼ同時期に火星に現れた敵性存在である。方解石を思わせる透明な翼と、いびつな人間の骸を思わせる有機的な姿をしたそれの大きさは十から二十メートルほどで、大幅な個体差が存在しているのをかんがみても、機械的なものではないと発見された当初から言われてはいた。
現れた当初、彼ら――便宜的に彼ら、と表現するが――は、火星上空を漂い、何かを調査しているようだった。
軍は彼らとの接触を行い、電波、音声、光、量子、思考通信と人類に可能なすべての手段で何度も対話を求めたが、結果としては惨憺たるもので、すべてにおいて返答はなかった。
そして、《天使》とのファーストコンタクトが、ガニラがうけた思考ノイズであった。
思考ノイズによる妨害の後、彼らは生体レーザーによる攻撃を行い、そのとき対応した部隊はものの十分もかからずに全滅することとなる。
これが、長く続く《天使》との戦争の発端となった戦闘だった。




