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足りない欠片

「キャアアア!!」


彼女の叫び声が辺りに響き渡る

ボクは咄嗟に彼女の口を手で抑えた

相沢さんを殺した犯人がまだ近くにいる可能性があるからだ


正直腰が抜けそうだった

むせ返る死の臭い、しかし冷静に、冷静にならなければ自分達の命も恐らく危うい事態に陥るのは目に見えている


「静かに」


ボクは耳元で彼女聞こえるギリギリの音量で耳打ちした

辺りを見回し焼却炉の影に寄りかかりながらひとまず座り込んで隠れた

今になって怪我をした自分の足が恨めしい

最悪、彼女だけでも逃がさなければならない


「健一君、健一君はどこなの!?」


状況を理解したのか小声ではあったが彼女は取り乱していた

川島さんと先に合流して三人だったなら・・・!

彼女に先に川島さんを探しに行かせれば良かった

一人にならないようにした事が逆に仇となってしまった

今更ながら自分は浅はかだったと後悔する


橋本さんは?島田さんは?殺されてしまったのか?

それとも二人のどちらかが犯人!?

今どう行動するのがベストなのか?

次から次へと疑問がわきそのどれにも答えが出せない

助けに戻れば良いのか?

それとも助けに行かなければマズイのか?

もはやボク達はその場から動くことができなくなってしまった


やがて痺れを切らしたのか彼女が焼却炉の影から顔を出し周辺を確認しようとしている

ボクは手を伸ばし肩を掴んで引き戻そうと体を伸ばした

そのタイミングでボク達を暗闇の中でさらに大きな闇が覆った


「ダメだ!」


「え!?」と言いながら彼女が上に顔を向けた時それは振り下ろされた

木の棒で頭を殴られグッタリと上半身を垂直に保つ事ができず倒れこむ

頭からは血が流れ息はあるようだが気を失ってしまっている


その時ボクは全てが理解できた

顔には無数の布切れが貼り付けられ狂った姿、素顔は見ることができはしないが

背格好、髪型、目の大きさ、そして


「恵・・・なんでこんな所に?」


「キミは殺せないよ・・・この物語にキミは必要無いんだ」


この声でこの男は川島さんだという事が理解できたんだ


「なんてことを!!」


ボクの心は怒りで満ち溢れすぐにでも殴りかかりたかった


「お前の順番は決まっている、その時までは生かしておいてやる」


「どういう意味だ!!このクソ野郎!」


暴れるボクに掴みかかり前で両手を縛られ

口には布の塊を突っ込まれガムテープでグルグル巻きにし声を出せない状態にした

足は怪我をしているのがバレているせいなのか縛りもせず

ボクには何もできないだろうと思っているようだ


そんなボクをよそ目に彼女の両脇を持ち引きずりながら廃墟の中へと消えていく

あまりにも無力な自分に腹が立つ

全てを絵に描いたのは川島さんなのだろう


(こんなとこで殺されてたまるものか!)




「うぅ・・・」


どれくらい気を失っていたのだろうか

まだ俺は生きているようだ。いや、生かされてるのか・・・?

頭が痛い、頭には装置のような何かが付けられ圧迫され痛くてたまらない

意識がはっきりしてくると俺はやっと異変に気づいた

手足をロープで四隅に向かって縛られ机に仰向けで寝かされており

机の縁から頭だけ出され何かに挟まれている

中に着ていた衣服はボロボロに破れ取られ上半身はほぼ裸だった

周りを目だけで見渡す

どうやらさっきとは違う別の部屋にいるようだ


やがてズルッズルッと人を引きずりながらあの男が戻ってきた

引きずられている女は見た事が無い女だった


(こいつは一体何人手にかけるつもりなんだ・・・)


まず男はこの部屋ではない別の(隣の?)部屋に男が部屋に入っていったようだ

そして、その後この部屋にゆっくりと入ってきた

女はいない、殺されどこかに捨て置かれたのか

すると、机に置いてあったオレの着ていたシャツをさらに細かく千切り・・・また顔に貼り付け始めた


パチッパチッパチッパチッパチッパチッ


その音を聞くだけで鳥肌が立つ

おそらく俺は殺されるのであろう

そう思うと叫ぶ気力すらもはや無くしてしまっていた


「即死じゃダメなんだ、徐々に死んでもらわないと困るんだよ」


そう言うと頭の装置に手をかける


「これは俺が自分で作り設置したんだ。特製の万力だよ、わかるか?」


手元のレバー少しづつ回され俺の頭が締め上げられていく


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


「いい顔だ」


目や鼻から温かい液体が流れ出て行くのを感じる

ヤツは俺の体に覆いかぶさりどんどんとレバーを回し続ける


「眼球が少し飛び出してきたな・・・フフ、これはよく見せてくれそうだ」


骨が軋む音が聞こえる

俺は今どうなっている?

激しい痛みがだんだんと遠ざかっていく


「いいぞ、そのままオレの目を見るんだ」


視界が真っ赤に染まっていき次第に見えなくなっていく


「なぜだ?もう見えてもいいはず!なぜ見えない!」


レバーを回す手が早まる

もう片手では回らないとみるや両手で力いっぱい回す


パキュッ!


彼の頭は粉々に砕ちり健一の顔に血が飛び散っていた


「走馬灯が見れない・・・なぜだ・・・ヤツが直前まで着ていたシャツも貼り付けた!

手順もあってるはずだ!なのにどうして!!」


うろたえる健一は予想外のできごとなのかしばし呆然としている

音の無い世界にまるで溶け込んでいくように闇に沈んで行く


「もう失敗は許されない。確実に完成させなければ・・・」


とうとうその時が来ようとしていた

最後のピースである祐二の元へ静かな狂気が歩み寄る



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