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王城での生活

長い間、投稿をお休みしました。申し訳ありません。書き溜めしたので、少しずつ出していきたいと思います。

私たちはいま、私が側近になったことについて、いつみんなに話すかを決めている。


「・・・・そうだなぁ、今いきなり、コイツが俺の側近だ!なんて言ったら、絶対に、怪しいだの、信用できないだの言う奴が出てくるからなあ。しばらくここで暮らして、ある程度の人間にお前のことを認めさせてから、公開しよう。」

「そうですね。それ自体には賛成です。私、エルスさんとかにかなり警戒されてましたし。」


エルスさんの名前を出すと、陛下は難しそうな顔をした。


「エルスか~、エルスはなぁ。あいつは昔、いろいろあってな。人との関わりを避けてるんだ。あいつの警戒を解くのは、かなり難しいぞ。根気よく行かないと。」

「いろいろってなんです?」

「俺からは言えん。直接聞け。」

「はあ、了解です。まあでも、エルスさん一人より、国民とか、貴族とか、そういう人たちを納得させるほうが難しくないですか?」


エルスさんは、個人的に話す機会が作れるが、この国の人全員と関わって、信頼を得ることなど、出来はしない。


「それについては、簡単だ。二週間後に、建国を祝った祭りがあってな。今年は、5年に一度の大祭なんだ。祭りの期間は一週間。祭り中には、武道大会がある。そこで優勝したものには毎回、王城で役職が与えられる。・・・で、だ。お前、それで優勝して来い。そしたら、側近なんてあっという間だ。皆、お前の腕を認めるさ。」


つまりこの人は、この国にいる、武術をたしなむ人間全員が参加するであろう大会に参加し、その全員を打ち負かして来い、と言っているのだ。

私は、ニヤリ、と笑う。

なにそれヤバイ。興奮してきた。

思ってもない機会だ。私はずっと、自分の力がどれくらいのものか、試してみたいと思っていた。

それがなんと、この国の一番を競う大会で叶うことになったのだ。


「確認1。その大会って、怪我させたらダメ、なんて、ぬるいもんじゃないですよね?」

「もちろんだ。たいていは魔法で治せるからな。殺さなければ、瀕死にしたって構わない。」


「確認2。女だから、とかって言って、ハンデがあったりしないですよね?」

「ないない。聖なる武道大会だからな。性別なんて関係ないぞ」


「確認3。魔法の使用は?」

「有りだ。あくまで武道大会だから、魔法による攻撃や防御は一切禁止だが、体力増幅、筋力強化、治癒、回復なんかの、自分自身にかける魔法なら、いくらでも使っていいことになってる。」

「傀儡は、あり?」


陛下は驚いた顔をしたが、心底楽しそうな顔をする。


「ありだ。自分にかける分にはな。」


よし、上等だ。

やってやらぁ!!!!!

どんな大男でも、剣使いでもガンガン出てこい!!!

私の力試しのために全力でかかってこいや!!

全力で叩きのめしてやろうじゃねえか!!!悔しがる敗者の顔を、全力で見下ろしてやんよ!!!!


「やる気だな。」

「はい!すんごい燃えてきました!他にも、暴れられる大会はないんですか!?」

「ん?魔術大会があるぞ。こっちで競うのは魔術だが、剣に魔法を乗せて、氷剣や、炎剣にする、なんてもんもあるからな。武道大会の、魔法制限なしってかんじだ。こっちのほうが、激しいぞ。」

「そっちにも出ます!!優勝してきます!!」

「おま、それかなりキツイ一週間になるぞ。休んでる暇がない。体力が持たなくて倒れるのがオチだ。」

「どんだけハードなスケジュールになっても構いません!私、マジで暴れたいんです!!より、私の優秀さアピールできるし、いいじゃないですか!

それに、疲れたら陛下が回復してくれるんでしょう?」


その一言で、陛下は折れた。

ため息をつき、了承する。


「はぁ。わかった。両方エントリーしといてやる。好きなだけ暴れてこい。」

「よっっっしゃあぁぁぁっ!!!!!!!!陛下、期待してていいですよ。武道大会、魔術大会、このふたつで優勝すんのは、私です!」

「ああ。頑張ってこい。だが、手練も多い。お前の腕を疑っているわけじゃないが、今から少しでも、剣術を学んだほうがいいぞ。」

「・・・それもそうですね。考えときます。」


「さて、じゃあお前も、部屋にいけ。生活に必要なものとかあったらメイドに言えばくれるから。今日はゆっくり休んどけ。これからお前のことを、騎士寮の厨房に伝えるから、夕飯は、食堂にいけばもらえる。今日だけは手伝い免除だ。」

「わかりました。」


陛下はかなり面倒見がいい。年の離れたお兄ちゃんって感じだ。


「ああ、そうだ。言い忘れてた。お前、俺に敬語使うのやめろ。俺が望んでるのは、お前と対等になることだ。なのに、片方がタメ口で、片方が敬語っていうのは、いただけない。呼び方も、名前にしろ。」


そういわれれば、確かにそうだ。対等な関係の人間に、敬語はいらないだろう。


「わかったよ、リル。」


私は陛下を、リルミスではなく、リル、とよんだ。

対等な関係なら、あだ名くらいあってもいいだろう。

(本当のところ、リルミスって言いにくかっただけなんだけど。


「・・・人に愛称で呼ばれるのは初めてだな。では俺も、お前のことはリュリ、と呼ぼう。

それから、こうやって話すのは、俺たち二人きりの時だけな。お前が正式に側近になったらいいが、今、こんなふうに話してるのを聞かれたら、怪しまれる。」

「わかった。それじゃ。」


私は、リルの部屋を出て、後宮に案内される。


後宮には、ものすごい部屋が、結構な数ある。この部屋が全部后妃で埋まったら、一夫多妻どころの話ではない。

んー、上か下かって言ったら、上の階がいいかな。

私は三階に登り、一番奥まった部屋のドアを開ける。

まずは、リビングのような大きな部屋がある。

その部屋には、4つの扉があり、一つはろうかに、一つはお風呂に、一つは寝室に、もう一つは、小さめの何もない部屋につながっていた。

(すごい充実した部屋だな。めっちゃ広い。)

風呂はとても大きく、ユニットバスだ。メイドに聞いたら浸かりたい時は、隣室の風呂を使って構わない、と言われた。

どうやら、部屋によって、風呂の形式は違うようだ。

風呂を見るついでに、隣室をひととおり見たが、それ以外に違うことはなかった。

寝室には、キングサイズのベッドと巨大なクローゼットが置いてある。このベッドなら、精霊やリーレンと雑魚寝しても余裕だ。

もうひとつの部屋は、小さめとは言っても、十分な広さだ。とりあえず今はほうっておく。使い道が思いつくまでは放置だ。


私は特に、部屋ですることがない。すぐに暇になり、後宮のすべての部屋を見て回り、内装を知り尽くした。一階には、ダイニングホールのようなところがあり、座り心地の良さそうなソファーが並べてあった。ここは、共有スペースなのだろう。

中庭にも行った。誰も住んでいないのにも関わらず、丁寧に整備されている。綺麗な花も咲いていた。

随分な時間をかけて見て回ったが、収穫はこのくらいだ。


もう日が傾いてきている。夕食時だろう。私は騎士寮の、食堂に向かった。


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