↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村外れの小さな家のなんでもない日々  作者: 翠蓮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/11

街まで糸を買いに行こう

私の趣味の一つであるかぎ針編み。

夏向けの何かを編みたくなって考えていると、ふとスイカが浮かんだ。

そうだ、スイカ模様のバッグを編もう。

緑と黒の夏糸で縞々のを。


すぐに家の毛糸箱を漁ってみたが、いまひとつイメージに合う糸がない。

久しぶりに街まで出て、手芸屋さんに行こうと決めた。



街へは馬車で2時間ほどかかる。

週に4日、朝夕定期便が出ている。

明日はちょうど、定期便のある火曜日だわ。

手芸屋さんに置いてもらう作品もいくつか持っていこう。

前に置いたのが売れてるといいんだけど。

そんな事を考えながら明日の準備をして、その夜は少し早めに寝た。



朝の便が出発するのは8時半なので、それまでに村の中央にある広場へ向かう。

馬車はこの村へ来るときに、郵便や荷物を積んでいる。

それを雑貨屋で降ろし終わったところらしかった。

「おはようイリスさん。今日はお出かけかい?」

「おはようイーガルさん。ええ、お買い物に」

雑貨屋の店主のイーガルさんとあいさつを交わし、私宛の手紙はないことを確認してから、馬車に向かう。

水を飲んでいた2頭が、こちらを見た。

「ピーターさん、この子たちにニンジンあげてもいいですか?」

「どうぞ!こいつらもわかってて待ってらぁ」

定期便の御者のピーターさんと馬も顔なじみだ。

私がニンジンを差し出すと、待ちかねたように鼻先を突きだしてきてくわえ、もぐもぐと食べ始めた。

「ふふふ、今日はよろしくね」

馬のほおのあたりを軽く撫でてから、私は馬車に乗り込んだ。


ガタゴトと馬車に揺られ、のんびり景色を眺めながら2時間。

そろそろお尻が痛くなった頃、街に到着した。


まずは私の作品を置いてもらっている手芸店へ。

この店は様々な素材と、それを使ったアクセサリーや小物が店先に並べられている。ハンドメイドをしない人でも楽しめるお店だ。

「こんにちはアーリアさん。作品持ってきました」

店主のアーリアさんが振り向くと、耳元の耳飾りが小さく揺れた。アーリアさん自身もアクセサリーなどを作っていて、よく身につけている。

「イリスさんいらっしゃい。前に置いていってくれた髪飾りと耳飾り、いくつか売れたからちょうど良かったわ!」

売上をもらって、新しい作品を渡していく。

自由に好きなものを作っているが、それが誰かの目にとまって買ってもらえるのはとても嬉しい。

品物を渡したあとは店内を見て回って、綺麗な絵付けがされたビーズを買ってから、私は次の店へ向かった。


ここが本命の毛糸店。

壁の棚には、下から天井近くまで、様々な毛糸が並べられている。

これを見ただけでもテンションが上がるのは、編み物をする人ならきっと同じだと思う。

春夏向けの、綿の糸が並べてある棚へ。

スイカのような深い緑の糸はすぐに見つかった。

ただ、同じ太さで黒の糸はない。

緑と同じ太さの濃い紺色と、少し違う黒の糸を見比べながら悩んだ結果、紺色のほうを選んだ。

買う糸を籠に入れて、他の糸も見て回る。

私は色々な色が混ざり合った段染めの糸が特に好きなので、そんな糸を見つけると必ず足が止まってしまう。

街にはそんなに頻繁には来ないし、せっかくだから他にも糸を買っておこうかしら。

誘惑にあっさりと降伏し、青から水色のグラデーションが綺麗な糸も何玉か購入することにした。


毛糸店で会計を済ませる頃には、すっかりお昼になっていた。

噴水がある広場には、いくつかの屋台がいつも出ている。

お昼はだいたいこの屋台を利用することが多い。

野菜と肉とチーズを薄い皮で巻いたものを買って、隣の屋台から果実水も購入して近くのベンチに座った。

街で働く人たちがお昼ご飯に利用するので、屋台はどこも混んでいて広場全体に人が多かった。

たまにはこういう賑やかな空気も悪くはない。

本当にたまには、だけど。


さて、食べ終えたら手芸店巡りの後半戦だ。

帰りの馬車の出発時間は15時。

ボタンの専門店ができたとアーリアさんに聞いたから、ぜひ行ってみなくちゃ。

手芸店を見ていたら、時間なんてあっという間に過ぎてしまうんだから、と早足で商店街へまた向かって行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。