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村外れの小さな家のなんでもない日々  作者: 翠蓮


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3/11

ブルーベリータルトとお客さま

色づき始めたと思ったら、あっという間に食べ頃の実が鈴なりになる。

昨日の晩から、今日はブルーベリータルトを焼こうと思っていた。


伯母さんは料理好きで、調理器具もいろいろ持っていた。街に住む従兄弟夫婦と同居するためにこの家を離れる時、ほとんどのものはここに置いていった。

おかげで私は、大抵のものは作れる。

上手にできるかどうかは別として。


伯母さんから教えてもらったレシピを書き留めたノートを開く。

お菓子作りは分量をきちんと守らないとうまくできない。

まずはタルト生地。

粉をふるって、バターは溶け出さないように手早く混ぜる。

まとまったら一旦冷蔵庫で休ませて。


その間に卵液とブルーベリーを準備しておく。

頃合いを見て生地を取り出して、麺棒で伸ばしてタルト型にはめていく。

伯母さんから教わったのは、アーモンドパウダーと砂糖を混ぜたものを底に入れて、その上にブルーベリーを敷きつめて一度焼く作り方。

こうすると、ブルーベリーから出る水分で、生地がぐちゃぐちゃにならないのよ、と伯母さんの言葉が毎回頭の中を流れていく。

それから卵液を流し込んでもう一度焼く。


甘くて香ばしい香りが家中に広がって、焼き上がりを待つ間もソワソワしてしまう。


バウもずっと鼻をヒクヒクさせながら、部屋の中をウロウロしている。


焼き上がったタルトをオーブンから取り出して、冷めるのを待つ。

うん、今日も美味しそうにできたわ。


成功に気を良くして外を見ると、家の前の道を上がってくる人影が見えた。

「こんにちは、リラさん。お散歩?」

庭に出て、柵越しに声をかけると、その子は少し控えめに微笑んだ。

「こんにちはイリスさん。ええ、今日は湖の道を」

「今ちょうど、ブルーベリータルトが焼き上がったところなの。よかったらお茶していかない?」

「いいんですか?」

「もちろん。さあどうぞ」


リラさんを招き入れ、ウッドデッキのテーブルに案内する。

お茶を淹れ、まだ温かいタルトを取り分けて、私も席に着いた。

「今年もたくさん実ったの。さあどうぞ、召し上がれ」

「わぁ…美味しそう」


目尻を下げて、美味しそうに食べてくれると、作ったこちらも嬉しい。

私もタルトを口に入れる。

火が通ってやわらかくなったブルーベリーが、じゅわっとつぶれる。


リラさんは3カ月ほど前にこの村にやってきた。

農家のメリンダさんの姪っ子で、ここには療養に来たらしい。

都会の喧騒から離れて、心身を休めるにはここはとてもいいところだと思う。

リラさんの散歩コースの一つがうちのそばを通るので、あいさつを交わしているうちに、時々こうやってお茶をするようになった。


「メリンダさんにもタルト持っていって。夏野菜の収穫で今忙しいでしょう」

「そうなんです。畑が忙しくて。わたしも家のことはちょっとだけお手伝いしてるんですけど」

リラさんは少し申し訳なさそうに話して、それからまた微笑んだ。

「おばさんも甘いもの好きだから、きっと大喜びしますね」

「ふふふ、だったらうれしいわね」


いい子で待っていたバウも、タルトを食べ終わったリラさんに遊んでもらって満足げだ。

そんな2人を見ながら(正確には1人と1匹だが)、私はお茶のおかわりをカップについだ。



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