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村外れの小さな家のなんでもない日々  作者: 翠蓮


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2/11

庭のベリーとベリーのようなビーズ

庭のブルーベリーが熟し始めた。


「バウ、あなたも一緒に来る?」

足元で丸くなっていた犬が飛び起きた。

少したれがちの丸い目が、期待でキラキラと輝いている。


ドアを開けると私の横から飛び出し、庭を駆け回りだした。

走って、たまに立ち止まって匂いを嗅いで、また走り出す。

長いフサフサの毛が、おひさまの光を受けてキラキラと金色に輝く。

個人的には、焼きたてのパンのような美味しそうな色、と思っているのだけど。


私は籠を手に、柵に沿って植えてあるベリーたちの方へ向かう。

ベリーのある庭は私の憧れだった。

ブルーベリーは、この家の前の持ち主である伯母夫婦が植えていたもので、毎年たくさんの実をつけてくれる。

私がブルーベリーを摘み始めるとバウも近寄ってきて、実へそっと鼻を近づけてクンクンと嗅いでいた。それから期待を込めた目で私を見上げる。

「少しだけよ?」

よく熟した実を一つ摘んで、バウの鼻先に差し出すとあっという間にばくりといった。


ほかのベリーもたくさん見をつけている。

実のなる植物は大好きだ。それが食べられるものならさらに最高だ。

でも園芸家というほど庭仕事に没頭したいわけではないので、植えてあるのは比較的手のかからないものを選んでいる。

好きなものは多いが、私は基本的に面倒くさがりなのだ。


ラズベリーの実も赤くなっている。

今年はジャムがどれくらい作れるかしら。

籠に入れながら、合間に自分の口にほうりこみ、みずみずしい甘酸っぱさを味わう。


今日採れた分は、まだ使い切れないほどの量ではないから、生食用にしよう。



収穫したベリーを魔導冷蔵庫にしまい、庭を見るとバウはまだ家の中に戻る気はないようだ。


資材棚からビーズを入れてある籠を取り出す。

少し大きめの、かわいい色合いのビーズたち。

丸く並べたらベリーのタルトのように見えたのよね。

そういうデザインで作ってみようか。


こうやって素材を眺めながら、とりとめもなく考えてる時間がとても好きだ。

このビーズにはこのパーツが合うかしら。

そうやって次々出すものだから、作業机の周りがすぐに散らかるのは仕方ないと思う。


青と水色の間のような少し落ち着いた色味のビーズを並べて刺繍していくと、ブルーベリーのようにも見える。

周りをつや消しの金のスパンコールで囲むように刺していく。

「ブルーベリーのタルトに見えなくもないかな?」

握った手のなかに、すっぽり収まるサイズの小さなタルト風モチーフ。

何に仕立てようか。


モチーフを掲げて色々な角度から眺めてから、窓の向こうを見る。

バウは今度は、蝶を追いかけながら跳びはねていた。


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