表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

水色の下げ飾り

ふと、針を持った手を止めて顔を上げる。

日差しは昼を過ぎた頃。


「そろそろお茶にしようかしら」

とつぶやいて、刺繍枠をテーブルの上に置いた。


立ち上がって、窓から外を見る。

窓の向こうでは、湖面が午後の光を受けて、小さくキラキラしていた。


お茶を淹れてからテーブルに戻り、カップに口をつけてまた外を見る。

「飽きないのよねぇ。本当に、ここに越してきてよかったわ」

誰に聞かせるでもないひとりごとは、この家に越して来てから何度言ったかわからないが、本心だから仕方ない。


それから、今まで刺していた刺繍に目を戻す。

小さな四角の中に、クロスステッチで刺した左右対称の模様。

これはビスコーニュにする予定だ。

正方形の布を2枚。角と辺を合わせるように縫い合わせると、複雑な多面体にも見える不思議な形になる。この形がお気に入りだ。

青と水色の2色で刺してるから、青系の房をつけようかしら、などと頭のなかで仕上げをあれこれ考える。


注文を受けていた品物は仕上げたから、しばらくは趣味の作品をいくつか作ろう。

同じ模様で色違いもいいな。

次は紫の濃淡で刺してみようかしら。


少しぬるくなったお茶を飲んで、添えたクッキーを口に入れた。

明日はクッキーも焼こうかな。

それともドライフルーツをたっぷり入れたパウンドケーキにしようか。

材料のストックはまだあったかしらと貯蔵庫を脳裏に浮かべつつ、午後の日差しがゆっくりと通り過ぎていく庭をまた眺めた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ