ひまわり畑の小さないたずら
「ひまわりが満開でした」
リラさんが顔をほころばせて言った。
「あら素敵ね。私も見に行こうかしら」
「ぜひぜひ!」
それから少し立ち話をして、リラさんは帰っていった。
庭の野菜の世話をしてから、私もひまわり畑に行くことにした。
リードを棚から出すと、その音を聞きつけてバウが顔を上げる。
「お散歩がてら、ひまわりを見に行きましょう、バウ」
興奮して飛び跳ねるバウを落ち着かせて、リードを付けた。
村の外には畑が広がり、間にポツポツと農家の家が建っている。
その一角でひまわりを育てている畑があり、遠目からでも鮮やかな黃色が広がっているのが見えた。
バウと一緒にそばまで来ると、視界がひまわりで埋め尽くされて圧巻だった。
午後を少し過ぎた日差しは、日傘をさしていてもジリジリと照らしてくる。
生命力の塊のような大輪のひまわりを眺めていると、キラリと花の間に光るものがあった。
目を凝らしてみると、今度は違う場所でキラリ。
なにかしら、と畑の周りの道を少しばかり行ったり来たりしてみる。
光を反射するようなものは何もない。
光自体もそんなに強い輝きでもないから、鏡とかではなさそうだけど。
これはもしかして妖精のいたずらかしら、と思い当たった。
花畑で不思議な光を見たら、それはきっと妖精だよ、と村で聞いたことがある。
なるほどそれに違いない。
お花の好きな妖精が、ご機嫌で飛び回っているんだよ、と。
私が足を止めると、誘うようにキラキラと小さな光が瞬いた。
バウが何かを見つけたように、「バウワウ!」と吠えて伏せた。
その鼻先を、小さな光がクルンとまわった。
バウはまた飛び跳ねて、「ワフ!」と声を出した。
バウには見えているのかしら。一緒にじゃれて遊んでいるみたい。
私はリードは離さず、しばらく飛び跳ねるバウと光を眺めていた。
日差しは夏らしいが、風が吹けば涼しい。
時折吹く風に揺れるひまわりもたっぷり眺めてから、バウにもう帰るわよと声をかける。
キラキラと、まだ遊びたいのに、と言われた気がした。
「今日は帰るわね。またお花のあるところで会いましょう」
ひまわりの間で、キラリと光が飛びまわった。
私の言葉が届いたのかどうかはわからない。
妖精はそういうものだから。
帰りの道で出会った、村の人や子供たちにたっぷりなでてもらい、ご満悦のバウとともに我が家に向かった。




