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太陽神とシルフィード1  作者: huwahuwanyanko
第三章
20/25

エルフの国と贖罪

!この小説を読むにあたっての諸注意!

・この小説は幻獣や精霊等が出て来ます。

・基本的にR18シーンはありませんが、ハグやキスだけはあります。

・精霊や幻獣の見た目などに関しては資料などを参考に、私の解釈で設定しています。

・私の妄想大全開の内容になっていますので、苦手な方は回れ右でお願いします。


以上の事が大丈夫であれば、どうぞお楽しみ下さい。

『いやぁ!新たな命の誕生とはめでたいな!』

イディルは満面の笑みで言う。

「ありがとうございます。こんなに沢さんのお菓子まで持って来て下さって…」

ブリーザは笑顔でイディルと話す。夜になり、エスパスとフィルママンも招き夕食会を行っていた。もちろんフラム、テール、ゲリンゼル、プーヨ、シャグランも一緒だ。ブリーザが荷重だという事もあり、料理は全て持ちよりだ。エスパスはブドウの葉のハーブライス包み、フィルママンは海で捕れた大量の魚介類を煮込んだスープ、フラムがスコッチエッグ、プーヨはパスティ、シャグランはランカシャー・ホットポットを持って来てくれた。どれもとても美味しい。

『後はエルフの街だな』

イディルは酒を飲みながら言う。

「問題はエルフの街が何処にあるのかが分からないという所だ」

ヴェントはため息を吐く。

「そんなに難しい場所にあるの?」

ブリーザはヴェントを見る。

「あの日食を境に入口を変えたらしい。森の中にある樹の何処かに入口がある、という事しか分からないんだ。相当警戒しているみたいでな」

『私も探してるんだけどね…』

エルフは困った顔をしている。

「そう言えば宝石を介してのコンタクトも取れてないのよね…」

ブリーザは眉根を寄せる。

『木の中にある巨大な街、か。森の中ですからな。森の中の来を全て探すとなったら骨ですぞ』

エスパスはスコッチエッグを食べて言う。

『確かにね。気配も隠してるし…』

フィルママンは酒を飲みながら言う。

『ブリーザ。一つ気になる事がある』

ノームはブリーザの側に座って言う。

「なぁに?」

ブリーザはハーブライスを食べて聞く。

『本を読んでいて気になったんだがな。どの本の挿絵にも、王国時代には巨大な要塞が王国と麓の村を囲っていたんだ』

ノームは本を開いて言う。そのページに描かれている挿絵には確かに巨大な要塞が描かれ、その周囲が森に囲まれている。

『…私の国の伝承でも、王国が滅びた時の事は伝わっている』

エスパスは言う。

『遥か昔、王国が滅びた後村は跡形もなく消えてしまった。恐らく太陽神フレイの加護を受けていながら信仰心が薄れ、魔王一族に唆された人間たちを太陽神フレイは決して許す事は無かった。そこで、村人達が暮らす村を一夜にして消し去ってしまった』

「一晩で!?」

プーヨは目を丸くした。

『それが恐らく、挿絵に描かれている要塞だったんでしょうね。その頃の村はとても繁栄していて、私たちの国とは比にならない程沢さんの村人たちが暮らしていたそうですから。要塞の中はまるでこの世の天国だった。森の中に聳える神に守られし国。建物はその当時何処の国にもなかった石の家。石畳はまるで鏡の様に白く光り輝き、家の屋根には沢さんの宝石が散りばめられ、森の木々から恵みを頂き、流れて来た川の水で乾きを潤す事が出来た』

フィルママンはうっとりしている。

『誰もが羨む世界、誰もが望む穏やかな生活が王国では営まれていた。我らの祖先もその暮らしをしていたのだと思うと、何ともうらやましい限りだ』

イディルは酒を飲み言う。

「一瞬にして消えた要塞か…それが村や城を守っていたんだな」

ヴェントはため息を吐いて言う。

「裏を返せば、その要塞が消えてしまった理由である信仰心は戻ってるわ。後はエルフの力が戻って来たら…」

ブリーザはそう言うと、少し顔を歪めて膨らんだお腹を見る。

「どうした?」

「お腹が…!」

「陣痛!?」

フラムは立ち上がった。

「ウンディーネとエルフを呼んでくれ!ブリーザを寝室に運ぶぞ!」

ヴェントはブリーザを抱き上げて王の間を出た。


『ウンディーネとサラマンダーに任せて来たわ。私はエルフの街が見つかった時に備えてないと…』

エルフは言う。

『ヴェント王よ』

イフリートはヴェントに歩み寄る。

「どうした?」

『森の悪魔たちが騒ぎ始めた。恐らくエルフの街を探し始めているのだろう』

「バレたらまずいな…」

ヴェントは唸った。

『ヴェント!エルフの街が見つかったわ!』

ペガサスが走って来る。

「よし、直ぐに行こう。エルフとノーム、ペガサス、そして俺が行こう」

『分かったわ』

エルフは部屋に向った。

数分後、ヴェントはペガサスの背中に乗ってエルフの街へ急ぐ。道中悪魔たちに見つかることを考えて、エルフの力で姿と気配を消している。

『エルフの街がある樹は、他の樹と比べて一際美しく立派らしいわ』

エルフはペガサスの横を飛びながら言う。

「…あれか?」

目の前の森の中に、一つだけ光輝く樹があった。

『エルフの力が弱まってるわね…これじゃあ見つかっちゃうわ!』

エルフは眉根を寄せる。

『急ぐわよ!』

ペガサスはスピードを上げた。すると樹の周りに悪魔たちが集まっていた。

『まずい!』

エルフは魔法を使い悪魔たちを追い払う。しかし数が多すぎる。

「これじゃあキリがない!ペガサス!突っ込むぞ!」

ヴェントは手に槍を持ち言った。

『了解!』

ペガサスは光を放ち、悪魔たちの真ん中に突っ込む。悪魔たちは一瞬にして弾かれる。樹にはポッカリと穴が空く様に黒い空間があった。

『入るわよ!』

ペガサスは穴を潜った。


中は既に悪魔たちが入り込み、エルフたちが応戦していた。

「おい!城が襲われてるぞ!」

奥にそびえる大きな樹が悪魔たちに囲まれているのが見える。

『大変!』

エルフたちは一目散に城に向かう。城の窓からは多くのエルフたちが魔法や弓矢で悪魔たちを追い払っているが、やはり数の多さに苦戦を強いられていた。

「エルフ!ヴァルト王を頼む!」

ヴェントはそう言ってペガサスの背中から降り、猛スピードで悪魔たちの真ん中に飛んで行った。

『ヴェント!』

ヴェントの身体は光を放ち、持っていた槍を渾身の力を込めて振り回した。悪魔たちは抵抗する間もなく消し飛んだ。ペガサスがさっとヴェントの下に飛んで来て、ヴェントはその背中に落ちた。

『ヴェント…いつの間にその術を…』

エルフはエルフたちの怪我の手当をしながら唖然としている。

「書庫の本で読んだんだ」

ヴェントは微笑んでいる。

『読んだだけで出来るなんて…そんな簡単に出来るものじゃないのよ?』

「そうなのか?確かに足下までは保てなかったけどな」

ヴェントは苦笑している。

『…彼は貴方と共鳴しているんですか』

若い眼鏡をかけた美しい男性がエルフに言う。

『紹介させて頂きます。我らがブリーザ女王の夫、ヴェント王です。ヴェント王、ヴァルト王です』

エルフは言う。

『ヴェント殿。エルフの街を束ねるヴァルトと言います』

ヴァルトは頭を下げる。

「ヴァルト王、突然尋ねた無礼をお許しください」

ヴェントも頭を下げる。

『いや、貴方たちのおかげで助かりました。感謝申し上げます』

フッと微笑みながらお礼を言う。

『とりあえず中にお入りください』


城の中は、樹の中とは思えない程広く、落ち着いた空間だ。全てのものが木で出来ていて、ヴァルトによると家具は全て檜という木で出来ているそうだ。

テーブルの上には様々なケーキが並んでいる。どうやらプティフールと言うそうだ。ブリーザもケーキを作るのが上手だが、このプティフールも美味しい。

『…なるほど。私がブリーザ女王の元に集えば、全盛期の王国が蘇るという訳ですか…』

ヴァルトは紅茶を飲み言う。

「はい。来て頂けませんか?」

『…ふむ…』

ヴァルトは黙って紅茶を飲む。

「…ヴァルト王?」

ヴェントは不安そうにヴァルトの顔を見る。

『我々の伝承にも王国が滅びた時の事、村が侵略された時の事は伝わっています。我らの開祖であるエルフの血を継ぐ者が村を捨てて逃げた事も…』

ヴァルトの声は穏やかで、しかし目は辛そうだ。

「ヴァルト王…」

『私が裏切り者の血を継ぐ者だと、幼い時から我々は裏切り者として身の程を弁えていなければならないと教えられて来たのです。今更、王国に仕え女王の元に集う資格がはたして私にあるのかどうか…』

ヴァルトは側の台に置かれているクロムダイオプサイドを撫でて言う。突然ヴェントの頭の中に微かだが赤ちゃんの泣き声が聞こえた。宝石をじっと見つめ、そしてフッと息を吐いた。

『…ヴェント王。お子様がお生まれになりました。心よりお喜び申し上げます』

ヴァルト王の一言で、周囲にいた精霊たちが歓声を上げた。

「…ええ、私も感じました。ヴァルト王。貴方が集えば王国が蘇る。しかし、それだけではありません」

ヴァルトはヴェントを見る。

「生まれた息子がこれから先、幸せに暮らして行ける様にする必要がある。未来を担う子供たちのために、ヴァルト王の力が必要なんです」

『…分かりました。我らが女王、ブリーザ様の元に集いましょう』

ヴァルトは微笑んで立ち上がった。


城に向うと、城の周囲が村人たちや精霊たちで溢れかえっていた。

『ヴェント王!元気な男の子ですよ!』

『おめでとうございます!』

『シルフの力を継承していらっしゃいます!』

精霊たちはヴェントの周囲に集まり、口々にお祝いを言っている。城の玄関前には沢さんの村人たちがお祝いの品を盛って来ている。

「おお!ヴェント、聞いたぞ!ついに生まれたらしいな!」

ヴィッスンは大きな花束を持って来ていた。

「村長。ありがとうございます。どうぞお上がりください」

ヴェントはペガサスから降りて城の扉を開けた。城の中はお祭り騒ぎだった。

寝室に向うと、ベッドの上にブリーザが座っていた。腕の中には小さな赤ちゃんが抱かれていた。赤ちゃんは眩いばかりの光を放ち、とても神々しい。

「ヴェント…」

ブリーザはヴェントを見て微笑んでいる。

「…良く頑張ったな」

ヴェントはブリーザの頭を撫でる。

「ん。ありがと」

ブリーザは微笑む。ヴェントは赤ちゃんの小さな小さな手を指で優しく撫でる。まだ目が開いていない赤ちゃんは、その小さな手でヴェントの手をしっかりと握っている。

「可愛いな…」

「うん」

『名前をつけんといけんのぉ』

ケット・シーは言う。

「もう考えてはいたんだ。フウァールって言うのはどうだ?」

「良いんじゃない?とても良い名前だわ」

ブリーザは言って腕の中を見る。

「フウァール」

フウァールは大きな欠伸をしている。

「ふふふっ。可愛い!」

ブリーザは笑っている。こんな穏やかな表情は久しぶりかも知れない。

『ブリーザ女王。エルフの国の王、ヴァルト王がいらっしゃったぞ。あと村長のヴィッスンも来たぞ』

ガルダはそう言って部屋に入って来る。その後ろからヴァルト王とヴィッスンが入って来た。

『ブリーザ女王。おめでとうございます』

ヴァルトは頭を下げる。

「ヴァルト王。来て頂いてありがとうございます。感謝申し上げます。村長もありがとうございます」

ブリーザは微笑む。

「おお…なんと神々しい…何と美しい王子なのじゃ…」

ヴィッスンは感極まっている様だ。

『王国の未来を担う世継ぎが生まれたのです。盛大に祝わなければなりません』

ヴァルトはそう言って片膝を突くと、ブリーザに最敬礼をする。

『ブリーザ女王。私共の祖先が王国を裏切り見捨てた罪、許されるべき事ではありません。

しかし、もう二度と過去と同じ過ちを犯さないために、今一度ブリーザ女王の元に遣わせて下さい』

ブリーザは黙ってヴァルトを見つめる。

「…貴方たちは裏切った訳ではない。よく宝石を守ってくれました。その宝石が無事である事こそが、初代の王が望んだ事…。太陽神フレイのご加護を今一度受けるために必要な物なのだから」

ヴァルトは顔を上げる。

「貴方も、エスパス王も、フィルママン女王も、イディル王も、皆さん宝石を守って下さいました。そのおかげで、もう一度王国を復活させる事が出来ます」

ブリーザはベッドから降り、エルフを見る。

「至急、集まった宝石を村の方の祭壇に捧げましょう。全員を村の祭壇に招集し、すぐに儀式を行います。この子が太陽神フレイのご加護を賜る儀式も行わないと」

『分かりました』

エルフは頭を下げる。

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