人生楽しんだ者勝ち?
!この小説を読むにあたっての諸注意!
・この小説は幻獣や精霊等が出て来ます。
・基本的にR18シーンはありませんが、ハグやキスだけはあります。
・精霊や幻獣の見た目などに関しては資料などを参考に、私の解釈で設定しています。
・私の妄想大全開の内容になっていますので、苦手な方は回れ右でお願いします。
以上の事が大丈夫であれば、どうぞお楽しみ下さい。
ユニコーンの街はまさに血の海と化していた。民同士が争い、角と角をぶつけ合い、傷付け合っていた。
『酷い…』
一緒に来ていたフィルママンは言葉を失っている。
「悪魔たちの仕業だ。何とかしてリーダーになってる悪魔を倒さないと追い払わないと!」
ヴェントは辺りを見回す。
『街の中に城で王の側近をしているユニコーンがいるんだ!そいつに取り憑いてる悪魔が妖しい!』
ユニコーンは言う。怪我をしているためペガサスの城で手当をしてもらう様に言ったのだが、結局付いて来てしまった。
「でもこんなに人数がいたら…!」
『ヴェント!あそこにいるのは違うか!』
ノームの指し示した先には小高い丘に一人佇む男がいた。黒い影を背負い、苦しそうだ。
『間違いない!あれだ!』
ユニコーンはスピードを上げる。
「おい、ユニコーン!無茶をするな!」
『俺の仲間たちが傷付けられたんだ!このまま黙っていられるか!』
ユニコーンはそう叫んで一直線に飛んで行く。
「おい!その怪我じゃあ…!」
ヴェントは言ったが聞いていない様だ。悪魔に憑かれたユニコーンは突っ込んで来るユニコーンに目をやりニヤッと笑う。
『…!危ない!』
ペガサスは言ったが遅かった。ユニコーンはあっという間に吹き飛ばされる。
『ぐぁ!』
「ユニコーン!」
地面に叩き付けられたユニコーンは動けない様だ。
「太陽神フレイ…我に力を…」
ヴェントが祈ると、手の中に黄金に輝く槍が現れた。
「ペガサス!あのユニコーンに突っ込んでくれ!フィルママン様!ユニコーンをお願いします!ノームも頼む!」
ヴェントは言った。
『分かったわ!』
フィルママンはユニコーンの元に走る。
『ユニコーン!大丈夫!?』
フィルママンはユニコーンに駆け寄る。ユニコーンの怪我は想像以上だった。
『くっそぉ…!』
ユニコーンは起き上がろうとしたが、身体に力が入らない様で立ち上がれない。
『動くな!傷が深いんだ!死んでしまうぞ!』
ノームはユニコーンを叱りつける。
『仲間が…皆が…傷付いてるんだ…!俺だけ…逃げる…なんて…出来るか…!』
『…大丈夫よ。貴方の所のヴェント王が何とかしてくれる。それにエスパスも…』
フィルママンは城の方を見る。城からは大量のユニコーンたちが飛び出して来る。ひときは輝きの強いユニコーンも…
『突っ込むわよ!』
ペガサスは鋭い視線で敵を見据えて言う。悪魔に憑かれたユニコーンはペガサスを見て、その立派な角で迎え撃って来る。
『おっと!』
ペガサスはとっさに避ける。
「くっ!無理か!」
すると立派なユニコーンが突然突っ込んで来た。悪魔に憑かれたユニコーンはバランスを崩す。
「今だ!」
ヴェントは槍を思い切り投げた。槍は一直線に飛んで行き、悪魔に憑かれたユニコーンに刺さった。断末魔をあげてユニコーンから出て来た悪魔は、そのまま滅びた。憑かれていたユニコーンは命を食い荒らされ、死んでいた。
『…無事であったか?』
神々しいまでの輝きを放つユニコーンはヴェントを見て言う。
「助かりました。ありがとうございます」
ヴェントはペガサスの背中から降りて言う。
『いや、こちらこそ礼を言わないといけない。そちらのユニコーンのおかげで助かったのだからな』
そう言ってノームの手当を受けているユニコーンを見る。
「ユニコーン、大丈夫か?」
『ああ、問題ない』
ユニコーンはそう言って立ち上がろうとする。
『無理よ、まだ』
フィルママンは止める。
『…馬車を用意する。それに乗って地上に行こう』
エスパスはそう言って城に戻った。
『…こんな所かな』
エルフは水桶で手を洗って言う。
『悪いな、エルフ』
ユニコーンは言う。エルフはユニコーンたちが寝起きしている部屋で怪我の手当をしていた。
『数日は動かない方が良いわね。傷も浅くないし、これ以上悪くしたら治すの大変だから』
「無事に帰って来てくれて良かった」
ブリーザは胸を撫で下ろす。
『すまない』
ユニコーンは申し訳なさそうに言う。
「良いのよ。しばらく休んでなさい」
ブリーザはユニコーンの首元を優しく撫でる。ユニコーンは嬉しそうだ。
怪我の手当を終えて『王の間』に向う。そこにはエスパスとフィルママンがいた。
「ユニコーン、大丈夫か?」
ヴェントはブリーザを見て言う。
「うん。しばらく動かない様にした方が良いけど、本人は元気だからね」
ブリーザはそう言って玉座に座る。
「お待たせ致しました。エスパス王、そしてフィルママン女王」
ブリーザは頭を下げる。
『いいえ。こちらも王国の一大事にお役に立てなくて申し訳ありませんでした』
人型になっているフィルママンは片膝をついて最敬礼をして頭を下げる。
『しかもご懐妊とも知らず、お祝いが遅くなってしまいました。申し訳ありません』
エスパスも人型になって頭を下げる。
「良いんですよ。こうやってまたお越し頂けて嬉しいです」
『しかし、カイヤナイトが共鳴していないとなると中々難しいな。やはり最初の共鳴者の自殺が関係しているのか…』
ガルダは言う。
「そうね。宝石について、もう少し調べる必要があるわね」
ブリーザはノームを見る。
『…我らが女王の望みとあらば』
ノームはそう言って書庫に向かった。
『フィルママンが共鳴していない事を理由にペガサスの方を悪く言う奴らも中にはいます。今回悪魔に憑かれていた奴もそう言う考えを持った者の一人だった。その蔑む心が、悪魔を呼び寄せてしまったのだろうな』
エスパスはフィルママンに向き直る。
『フィルママン。すまなかった』
そう言って頭を下げて謝る。
『そんな!うちの方も敏感に反応した子たちがいて事を荒立ててしまったわ。ごめんなさい』
フィルママンも頭を下げる。
「話しがまとまった所で、エスパスは一度戻って街の人たちを落ち着かせないと…」
『そうですな。そうさせて頂く』
エスパスはそう言って頭を下げると、部屋を出て行った。
ノームは書庫で本を読んでいた。王国時代、城の祭壇には5つの宝石、ルビー、アラゴナイト、サファイア、タンザナイト、パールが奉納された。そして他の4つは村の方の祭壇に奉納されていたそうだ。毎年太陽神フレイに祈りを捧げ、城の祭壇と村の祭壇を虹の架け橋によって王国と村は守られて来た。
『虹の架け橋…』
ノームは本の挿絵を指でなぞって言う。タンザナイトとパールを除くと、他7色が集えばまさに虹の色だ。この虹の架け橋によって、村と王国は太陽神フレイの加護を一心に受けていたのだ。本を捲って行くと、宝石の共鳴について書かれている。宝石との共鳴は特定の精霊の血を継ぐ者のみがなし得る。継承は共鳴者とそれを継承する者によって行われ、共鳴者が太陽神フレイに継承を宣誓しない限り新たな共鳴者は生まれない。つまり現在のフィルママンは太陽神フレイに継承を宣誓してくれる共鳴者がいない事によって共鳴出来ないのだろう。
しかし、何とかして共鳴してもらわないと困るのだ。他に方法はないだろうか…ノームは他の本を探す。梯子を上り、天井近くの棚に本を戻す。そしてふと目に入った本を手に取る。作られた当時は真っ赤な表紙だったのだろう。年月が経ち、その赤は色あせくすみ、擦り切れている。
『…スーラジ王妃の伝記か…』
ノームは梯子に座り、読み始める。王に拾われ妃となってから城を去る直前までの話しが書かれている。
『…ん?』
ノームはあるページで手を止める。そこには王が祭壇に祈りを捧げている挿絵が描かれている。王の前には膝を突き、太陽神フレイに祈りを捧げる者の姿もあった。文章を読んで行くと、その者は共鳴者候補だったと記されている。この時、共鳴者は病で倒れ意識もない様な状態。宣誓も出来ない状態だった為、王が代役を務め太陽神フレイに宣誓したとある。
『つまり、ブリーザが宣誓したら…』
詳しい宣誓の方法が書かれていないだろうか…確か王の伝記もあったはずだ。ノームは本棚を探す。いつもは梯子を動かすのだが、それさえもまどろっこしい。ノームは本棚を身体一つで飛び回る。
「…おい、危ないぞ」
下から声を掛けて来たのはヴェントだった。
『ヴェントか…慣れているから大丈夫だ』
ノームは答えてまた探し始める。何かに没頭すると周りが見えなくなるノームをヴェントはいつも心配して声を掛けて来る。
「その慣れが恐いんだけどな」
ヴェントは苦笑している。
すると一冊の本が見つかる。濃い碧の表紙の本だ。
『…これか』
ノームは本を引っ張り出す。あまりに慌てていたせいか、勢いあまり本の重さで棚からずり落ちた。
「危ない!」
『おっと!』
下でヴェントがノームをキャッチした。
『おお、すまんな』
「だから気をつけろって言ったろ?フィルママン女王の所に行って、エスパス王の所にも行って、ユニコーンの傷の手当までして身体も疲れてるんだからな」
ヴェントは近くのテーブルにノームを降ろして言う。
『うむ』
ノームは苦笑いをして本を開く。
『…やはり書いてあるな』
「何がだよ?」
『宝石との共鳴には元々、共鳴者の宣誓が必要だそうだ。それがなければ共鳴はしない、昔、共鳴者が病に倒れた時、王がその代役を務めたとスーラジ王妃の伝記に書いてあった』
「じゃあ、ブリーザが宣誓したら!」
『フィルママンは共鳴出来る。そしてその宣誓の方法が、王の伝記に書いてあった』
ノームは本を指し示す。
「なるほどな。本棚から落ちた甲斐があったってもんだな」
ヴェントはニヤッとする。
『そうだな。さあ、ブリーザの所に戻ろう』
ノームはそう言ってテーブルを降りた。
城の近くの祭壇では共鳴者たちが集まっていた。祭壇の上にはブリーザとフィルママンがいる。フィルママンは膝を突き、太陽神フレイに祈りを捧げる。その後ろでブリーザが両手を広げ、太陽神フレイの力をその身に受ける。
『天空の戦士ペガサスの嫡流フィルママンに太陽神フレイのご加護を与えたまえ…我、シルフィードの嫡流ブリーザの名において、ここにフィルママンの共鳴を宣言するものとする』
ブリーザがそう言うと、カイヤナイトは内に秘めた光を破裂させたかの様な輝きを放った。フィルママンはその光を受け、ペガサスの姿となる。その姿はあまりにも神々しい。城にいるペガサスとは明らかに違う。身体も一回り大きく、眩いばかりの白い毛並みは艶やかだ。
『ブリーザ女王。天空の戦士フィルママンの名において御挨拶申し上げます』
フィルママンは前足を曲げて挨拶をする。
「フィルママン女王。カイヤナイトとの共鳴、おめでとうございます。これからも王国と村を守るため、力を貸して下さい」
ブリーザはそう言って微笑んだ。城に戻った一行はホッと一息吐く。
「ブリーザ、辛くないか?」
ヴェントは玉座に座ったブリーザに声を掛ける。
「うん。少しは動かないとね」
ブリーザは笑う。
「そう言えば、エスパス王の手伝いに行かないとね。ヴェントとペガサス、キマイラ、オーガ、あとエルフも必要ね。ユニコーンの見張りは、キマイラとヘルハウンドに任せるわ。ホビットは、宝石の事で話したいからここにいて」
『了解〜』
ペガサスはヴェントたちと共に部屋を出て行った。
『ブリーザ。話しと言うのはなんだ?』
ホビットは首を傾げる。
「この後に行くとしたら、ホビットの集落かエルフの集落なの。エルフは今エスパス王の援助に行ったから、先にホビットの方に行って欲しいの」
『なるほど…』
「なんだかよく分からないけど、イヤな予感もするのよ」
『イヤな予感?』
「ヴェントたちも言ってたけど、悪魔たちが我を失ってる。魔王をもう一度復活させたいがために、集落を襲ってるみたいだから、少しでも早く宝石を集めて祭壇に置かないと。祭壇に置いて太陽神フレイに祈りを捧げれば、王国と村だけではなく、彼らの集落も太陽神フレイのご加護で守られる事になる。そうすれば悪魔たちは手出し出来なくなるわ」
『そうだな…一刻も早く言った方が良さそうだ。しかし…』
ホビットはノームを見る。
『…私なら大丈夫だ。我らが女王のために、そして我らの友のために、時を無駄にするわけにはいかない』
ノームは言う。
「ごめんね、ノーム。疲れてると思うけど、少しでも早く集めないとエスパス王の所みたいに犠牲に遭うのは沢山の人たちだから…」
『分かってる。ホビット、直ぐに行くぞ』
ノームは腰に手を当てて部屋のドアに向う。
『分かった』
ホビットは答えて、ノームと共に部屋を出て行った。
ホビットとノームは地下に穴を掘ってホビットの集落に向う。ノームは疲れているという事もあり、掘るのはホビットの仕事。
『しかし、お前たちの集落も地中に作るのか』
ノームはホビットの後ろを歩きながら言う。
『ああ、本当は草の中とかに作るんだけどな。最初の王が村での恐怖から、地中に作ったと聞いたが…』
ホビットは穴を掘りながら言う。すると突然、巨大な言わにぶつかった。
『うん?何だ?』
ホビットは首を傾げる。
『着いたみたいだな』
『ああ。これは何の岩だ…?』
『何処かの入口か、壁か…』
『ゴツゴツしてるからな。入口かも知れない』
ホビットは岩に手を置き、力を送り込む。すると岩は独りでに動き始め、地面に潜って行った。中から何とも牧歌的な音楽が聞こえて来た。地中とは思えない様な景色が目の前に広がる。地面には草花が萌え、藁葺き屋根の家が沢さん並ぶ。地中にも関わらずとても明るいのは、光る苔やキノコがそこら中にあるからだろう。
『…ん?おお!こりゃあ、ノームじゃないかい!』
近くにいたホビットがニコニコと声をかけて来る。頬を赤くしている所を見ると、強かに酔っている様だ。
『ほお!同志もいるのか!楽しんでいるか!』
ホビットの肩を叩いて陽気に言う。
『ああ、もちろんだ。人生楽しんだ者勝ちだからな』
ホビットは笑顔で答える。
『そうかそうか!まあ飲め!』
ホビットたちは一斉に集まり、ノームとホビットに酒を振る舞う。
『おお、悪いな!』
ホビットはそう言って酒を煽る。
『おい、今はあまり飲み過ぎるなよ?王にお会いしないといけないんだからな』
ノームは渋い顔になる。
『分かってるさ』
ホビットは答える。
『お前たち、王に会いに来たのか?』
2人を招いたホビットは言う。
『ああ、今私はシルフィードの治めている城にいてな。その城と麓の村を守るために、王の力が必要になったんだ』
ホビットは簡単に説明する。
『戦うのか?』
『戦わないために、王の力が必要なのだ。王国時代、王を守る戦士だったホビットの血を引く者の嫡流の力がな』
『ふむ…』
『何かあったのか?』
その声に振り返ると、そこには他のホビットたちよりも少し身体の大きいホビットがいた。案の定、顔は赤い。
『イディル王よ。其方の力が必要だそうですぞ。王国の王が呼んでいるらしいですぞ?』
ホビットは言う。
『おお!其方たちが王国から来た使者たちか!いやはや、よく来たな!』
イディル王はそう言ってホビットとノームと握手をする。
『其方たちの女王から連絡が来たぞ!まさか宝石で連絡が取れるとは思っていなかった!』
『ブリーザが話してくれていたのか…それは助かった』
ノームはホッと息を吐く。
『どうやら王国も大変だったそうだな。私たちはここにいたから分からなかったが、日食の日に魔王が襲って来たそうじゃないか。しかも先ほどユニコーンの城も悪魔たちの襲撃を受けて、沢さんの死者が出たとか…』
イディル王は眉根を寄せる。
『大変痛ましいが…その通りだ。ブリーザ女王は魔王を復活させんとしている悪魔たちが、ここやエルフの城を襲う事を懸念している。宝石を集めて祭壇に奉納する事で王国と麓の村だけではなく、ここやユニコーン、ペガサス、エルフの集落や城を守る事が出来る。その為に今一度、王国時代の戦士たちを招集したい次第なのだ』
ノームは言う。
『なるほどな。…分かった。宝石を持ち、女王の元に集おうではないか!
おい、お前たち!ブリーザ女王はご懐妊中だ!お祝いを用意し、持って行くために城の者を集めなさい!』
『はい!』
ホビットたちは一斉に準備を始めた。
『準備が整うまで時間がかかる。少しゆっくりして行くといいだろう。ホビット、お前も仲間に会うのは久しいのではないか?』
『そうですな。こんなに仲間と会ったのは本当に何百年ぶりだろうか…』
ホビットは目を細めて言う。
『少し休んで行くといいだろう。そちらのノームも疲れている様だからな』
イディルは微笑んで言う。
『すまないな。誰かホットトディを作ってくれないか?疲れた身体にはあれが一番だ』
『あら、じゃあ私が作るわ』
女性のホビットがそう言って家の中に入って行く。
『そこのキノコの下に席を用意した。休んで行きなさい。確かに村や王国も大切だが、それを守る君たちも大切だ』
何とも暢気なホビットたちに眉根を寄せるノームにホビットは諭す様に言う。
『…そうだな』
ノームは溜め息を吐いて椅子に座った。
『ほら!食べる物も沢さんあるからね!』
恰幅の良い女性が運んで来たのは大皿に山盛りにしたスコーンとジンジャークッキー。大きなアップルパイに、大きな器にスポンジたっぷりのパフェの様な物。
『これは何だ?』
ノームは乾燥させた木の実の沢さん入ったケーキの様な物を指して聞く。
『これはバラブリスと言うんだ。昔からあるケーキで、油を使ってないから沢さん食べても平気なんだ。
これはトライフルだな。スポンジの上に木の実とか卵や牛の乳で作ったクリームとかを乗せた家で簡単に作れるお菓子だ』
ホビットはノームの隣りに座ってスコーンを食べながら言う。
『これはクイーン・オブ・プディングって言って、昔王国の城のお抱えの料理人だったホビットが作ったケーキなの。スーラジ女王が大変気に入って食べてらっしゃったそうよ』
女性は笑顔で言う。
『甘い物が多いな』
『どちらかと言うと、食事よりお菓子と酒が多いからな』
ホビットは笑う。城の方から沢さんのホビットがお菓子の乗った馬車が列を成して飛んで行く。
『おお、待たせたな!』
イディルはホビットたちの元にやって来た。
『馬車を用意した。それに乗って城に向おう』
イディルの側には大きな馬がティーカップに車輪が付いた様な乗り物を引いて軽やかに降りた。
『乗りなさい!直ぐに行くぞ!』
イディルはホビットとノームを乗せて馬車を走らせた。




