太陽神への祈り
!この小説を読むにあたっての諸注意!
・この小説は幻獣や精霊等が出て来ます。
・基本的にR18シーンはありませんが、ハグやキスだけはあります。
・精霊や幻獣の見た目などに関しては資料などを参考に、私の解釈で設定しています。
・私の妄想大全開の内容になっていますので、苦手な方は回れ右でお願いします。
以上の事が大丈夫であれば、どうぞお楽しみ下さい。
森の祭壇には多くの精霊たちと、その血を引く村人たちが集まっていた。祭壇の天辺には正装をしたブリーザが立っている。太陽に向って両手を広げ、その光を全身に受ける。祭壇には5つの宝玉が備えられている。
村でも祭壇に刈り入れたばかりの稲と今年生まれた子羊、そして作ったばかりの酒を捧げて祈っているだろう。
宝石は輝きながら宙に浮き上がっている。ブリーザは身体中に力が漲って行くのを感じた。これが太陽の力、太陽神フレイのご加護なのだろう。
王国が滅びて以降、初めての祭事。人々の信仰心によって本来の力を取り戻した太陽が、城と村の両方を照らしてくれている。これから先、何があっても太陽神フレイの加護がある事を象徴するかの様だった。
城の大広間では、皆で宴会を行っていた。村人たちも集まって飲めや歌えの大宴会だ。
料理は全てブリーザの手作り。大鍋で煮込んだバルチやチキンティッカマサラにクランペットを添え、ベイクドビーンズ、ベイクドポテト、マカロニ・アンド・チーズなど。デザートは大量のトライフルにパーキン、プディングが用意された。
村長のヴィッスンはケット・シーと酒を酌み交わしながら話し込んでいる。ゴブリンとウンディーネは子供たちの遊び相手になり、走り回っている。エルフとコロポックル、バンシーは村の女性たちと料理の話しなどで花が咲き、ノームとホビットはテール、ブリンゼルと共にひたすら酒を飲み語り合っている。イフリートとサラマンダーは大きな豚と子羊の丸焼きを人々に振る舞い、ジャック・オ・ランタンとオーガは沢さん用意された料理に舌鼓を打つ。オークもこの時ばかりは地下から出て来て皆と話し、デュラハンはガルダとワインを飲み、キマイラやユニコーン、ペガサス、ヘルハウンドも子供たちと戯れている。
こうやって村人と城の精霊たちが仲良く酒を酌み交わす事なんて、誰が想像しただろうか。こんなに城の中が賑やかになるのは、王国が滅びて以来初めてだ。
「…そう言えば、ブリーザとヴェントがおらんな」
ヴィッスンは顔を赤くしながら辺りを見回して言う。
『ブリーザならさっき広間から出て行ってたわよ?』
ペガサスは小さな子を背中に乗せて言う。
『ヴェントも今ブリーザを探しに行ったわ』
『何処かで2人きりで過ごしているのであろう。ずっと話す事さえままならない状態だったからのお』
ケット・シーは言う。
『今お邪魔するのは野暮よ。そっとしておこう!』
コロポックルはテーブルに登って、お気に入りのパンにかぶりついて言った。
ブリーザは寝室のベランダから外を眺めていた。日が沈み、少し涼しくなった夜風が心地よい。ずっと城の中でベッドに寝ていたブリーザにとってはなおの事だ。遠くに見える祭壇と沈んだ太陽の代わりに夜空を照らす月を、村で作られた酒を飲みながら見つめる。
すると後ろから暖かい腕に抱き寄せられた。振り返るとそこにはヴェントがいた。2人は互いに微笑み、空に視線を戻す。
「…綺麗ね…」
「ああ。ここ最近はゆっくり空を眺める余裕はなかったもんな。…今日は満月だったんだな」
ヴェントは静かに言う。
「…ねえ、ヴェント」
「うん?」
「約束、覚えてる?」
「…ああ。いっぱい抱き締めて、飽きる程キスする。約束したもんな」
ヴェントはそう言ってブリーザの顎を軽く持ち上げてキスをする。融ける様な心地よさに2人はひたすら互いを求める様に抱き合う。苦しくなるくらいの愛と、熱いキスを受けると涙が溢れて来る。
幸せだった。こうやって互いの体温を感じながら過ごす時間がこんなにも幸せだったとは思わなかった。呪にかかり倒れた後、耳元でずっとヴェントの声が聞こえていた。宝石を介して会話が出来る様になってからも、ヴェントの言葉がブリーザを支えていた。時々叫びたくなる程苦しくなる事もあった。真っ暗な中で孤独にならなかったのはヴェントの声とブリーザのてや頭を撫でる暖かな手のおかげだ。
「ヴェント…愛してる」
いつもなら照れて言えない言葉。今なら素直に言える。
「俺もだ」
ヴェントはそう言ってブリーザを抱き上げた。
「もう戻るの?」
ブリーザは剥れて言う。
「もう寒いからな。まだ病み上がりだし、身体冷やすと今度は風邪引くぞ」
そう言って部屋に入ると、天蓋付きのベッドにブリーザを寝かせて自分もベッドに潜る。薄いカーテンを引き、ブリーザを抱き寄せる。
「ねえ、せめて着替えさせてよ」
「必要ないだろ。どうせ俺が脱がすんだ」
ブリーザの着ているワンピースの肩ひもに手をかける。
「駄目!」
ヴェントの手を叩いて止める。
「何でだよ」
「病み上がりだって言ってたの誰よ。身体冷えたら風邪引くって、ヴェントが言ったのよ?」
「だから暖めてやるって言ってるんだよ」
唇が重なり、肩ひもを下ろされる。
「ちょっと!」
「…嫌か?」
耳元で言われると嫌とは言えない。
「…嫌じゃない…」
顔が熱くなる。ヴェントはクスッと笑い、優しく唇を重ねた。ブリーザは素直に受け入れる。久しぶりの甘い時間いドキドキしながら、ブリーザは目を閉じた。
第二章完結です。
何となくテレビで心臓を太陽神に捧げる儀式を行っていた文明があった(マヤ文明?)ので、それを参考にして作ってみました。
第三章は年を越してからにします。
では、少し早いですがメリークリスマス!&良いお年を!




