呪いの宝石を求めて
!この小説を読むにあたっての諸注意!
・この小説は幻獣や精霊等が出て来ます。
・基本的にR18シーンはありませんが、ハグやキスだけはあります。
・精霊や幻獣の見た目などに関しては資料などを参考に、私の解釈で設定しています。
・私の妄想大全開の内容になっていますので、苦手な方は回れ右でお願いします。
以上の事が大丈夫であれば、どうぞお楽しみ下さい。
『何かあったか?』
『いいえ。こっちは何も…』
ユニコーンとペガサスは空から探索している。
『おーい!ちょっと来てくれ!』
『…ん?ガルダか』
ユニコーンは地上に降りる。
『こっちだ』
ガルダは両手を大きく振っていた。
『何かあったの?』
『これだ』
ホビットの視線の先には薪の燃えカスがあった。
『古くはないな…』
ユニコーンはにおいを嗅ぎながら言う。
『この一晩のものだろう。つまり、ユニコーンとペガサス、キマイラが来たから急いで何処かに隠れたと言った所か』
ホビットは薪を弄って言う。
『つまり、この周辺に本部があったという事か』
『そう言う事だな。あとこれだ』
ガルダが出したのは一本の骨だ。
『何の骨?』
ペガサスは首を傾げる。
『人間のものだ。旅の途中で森の中を彷徨ったか、自ら命を絶つために入ったかは分からないが、この森の中で亡くなった人間の骨だ』
ホビットは答える。
『それがどうした』
『この骨はな…どうも怪しい。普通はこの辺りにあれば森で暮らす動物たちやヘルハウンドが食い荒らして骨にもある程度の傷が付いているものだ。
しかし、この骨は綺麗そのものでその木陰に寝そべっていた』
ホビットはユニコーンたちを案内する。そこには独りの人間の白骨が寝そべっていた。
『確かにもう少しバラバラになっていても良い。無くなった骨もあって当然だ』
『全部残ってるわね。指の骨までしっかり…』
『唯一あるのは、胸の辺りの骨が折れているだけだ。これだけが異様なんだ。
そこで君たちが魔物たちと戦った事を思い出してな』
ガルダはユニコーンとペガサスを見る。
『…キマイラに深手を負わせた、宝石を持っていた魔物…』
ユニコーンは呟く。
『ご明察。私も同じ事を思っていた。魔物は単体での力はたかが知れている。
しかし心の弱った人間に取り憑いて闇の心を増やせば、並大抵の力ではないだろうな。しかも、その力は無限大だ。闇が深ければ深い程、その力は強まる。その証拠と言っても良いだろう。この者、魂が行方不明だ』
ホビットは言う。
『人間に取り憑き、宝石を持たせる。骨の持ち主の魂は魔物たちの餌になってしまった…』
ペガサスはため息まじりで言った。
『神の元にも行けなかったか…可哀想にな…』
ホビットは骨を元の位置に戻した。
『死んでまで痛みや苦しみを味わったんだ。せめて埋めてやろう。これ以上、苦しめてやりたくはないからな』
ユニコーンはそう言って地面をヒズメで小突く。
『…小さいもので良いだろう。あまり目立つものでは荒らされそうだからな』
ホビットはそう言って凄い勢いで掘り進める。
『入れるわよ』
ペガサスは穴に骨を埋める。
『…せめて骨だけでも神に祝福されると良いけどな…』
ガルダは言う。
『そうね…』
『…村に行こうか。人間に取り憑く事を考えると、森に入るのは危険だ』
ホビットはヒョイとペガサスの背中に乗る。
『子供たちによく言っておく必要があるな』
ユニコーンも頷いて、ペガサスとガルダと共に舞い上がった。
「…つまり、人間たちが教われる可能性があるのじゃの?前村長の様に」
村長であるヴィッスンはホビットを見て言う。
『そうだ。さっき、魔物に取り憑かれたらしい人間の骨を見つけた。今の森は以前にも増して危険だ。ブリーザが人質にとられている様なものだからな』
ホビットは言う。
「我々に出来る事は何でもしよう。心を強く保たねばならん。集会を開き、皆に伝えておこう」
『頼みました、ヴィッスン殿』
「問題は、人間に取り憑いた場合、君たちだけでは戦いづらいであろうという事じゃ」
『それは考えていた。いくら亡くなっている人間とは言え、極力穏便に済ませたい。それ以上に、魔物がキマイラに深手を負わせる程の力を持っていたという事は、魔王になると我々が束になって掛かって行っても敵わないかもしれないという事だ』
ユニコーンはため息を吐く。
「…君たちは魔物の様に力を強める何かはないのかの?」
ヴィッスンは言う。
『そうね。例えばエルフの様に、ヴェントがいる事で今まで出来なかった様な事が出来る様になるとか。そう言った事はあるけど…』
ペガサスは言う。
『そんな気楽に出来る事ではないからな。難しいだろうな』
ユニコーンは言う。
「なるほど…」
ヴィッスンは考え込んだ。
「魔王に対抗する為には、それ相応の力が必要じゃ。何か良い策はないものか…」
ヴィッスンが言うと、何やら外が騒がしくなった。
「なんじゃ?」
ヴィッスンはドアを開けた。
「何の騒ぎじゃ?」
「村長!プーヨの様子が可笑しくて…!」
「我々では止められません!」
村人たちが逃げ惑う中、1人の女性が木の棒を振り回して奇声を上げている。
「おい!止めろ!止めるんだ!」
テールが叫び、女性の腕を掴んでいる。プーヨと呼ばれた女性は目が据わっていて、目の前にいるテールの姿が見えていない様だ。
『テール!彼女は今寝ている様な状態だ!どんな方法でも構わない!彼女の目を覚まさせろ!』
ホビットは言った。テールはプーヨの肩を掴み、思い切り頬を叩いた。プーヨは呆然としている。
『今だ!』
ガルダは風の様に走り、プーヨの横を通り過ぎた。プーヨは足下から崩れた。
「プーヨ…」
テールはプーヨを抱き止めて覗き込む。どうやら気を失っている様だ。
『…どうやら命を食い荒らされずに済んだみたいだな』
ユニコーンはテールの側に来て言った。
「プーヨは…こんな事する奴じゃ…」
『そうだろうな…魔物に憑かれたからだろう。奴らに憑かれると気性が荒くなる』
ホビットはため息を吐く。
『力がそこそこある。多分、キマイラと戦った魔物と同じくらいだ』
ガルダは言う。
『…ホビット』
ペガサスが銜えていたものを地面に落とした。小さな猫だ。
『近くで子猫が死んでたわ。命を食い荒らされた跡がある』
『子猫に取り憑き、媚を売って人間に取り憑いたのか…油断も隙もあったもんじゃないな』
ユニコーンはため息を吐く。
『…かなり疲れているだろう。テール。彼女の側にいてやりなさい。目を覚ましたら、これを飲ませて休ませる事だ』
ホビットは懐から小さな瓶を出してテールに渡す。
『エルフが作った薬だ。よく効く』
「…分かった」
テールは頷いてプーヨを抱き上げて家の中に入って行った。
「そうか…プーヨが無事で良かった」
ヴェントはブリーザの手を握って言う。
『子猫に取り憑いて人間に襲いかかるとは…魔物たちもやるのぉ』
ケット・シーは言う。
『恐らく、森に捨てられていた人間の穴埋めにしようとしたんだろうけど…』
ウンディーネはため息まじりで言う。
「ヴィッスンの言う通りだ。何かこちらにも奴らに勝る力が必要だ」
ヴェントは言う。
『魔物たちに勝る力、か…』
エルフは腕を組んで考える。
『…シルフィードの時は、協力する心こそ最大の力だと学んだわ。今度はどんな力が必要かしら』
『…人間…』
ヴェントの足下で寝そべっていたキマイラはボソッと言った。
『人間?』
ペガサスは首を傾げる。
『あの時と今の違いは人間たちとの連携が取れるという事だ』
『人間たちに協力してもらうという事か…』
オーガは眉根を寄せる。
『…一つ気になる事がある』
ノームはベッドの上に座って言う。
『ブリーザに掛けられた呪いの事だ。この呪いは死を呼ぶ呪いと言われていて、呪いが掛けられた者は死に至ると言われている』
『死んでないけどな』
ゴブリンは低い声で言う。
『そこだ。死に至るはずの呪いで死んでいない。つまりこの呪いは不完全である可能性がある』
「不完全…エルフがウィンに呪いを掛けた時みたいに完全なものではないと言うことか?」
ヴェントは言う。
『そう言う事だ。呪い自体は難しくない。
しかし、宝石が集まらないと完全なものにはならない。つまり…』
『宝石がまだ集まっていない…?』
エルフは目を丸くして言う。
『恐らくそうだろう。
宝石について調べた。あれははるか昔にあった王国が持っていた物らしい。代々王が継承して行く物だった様だな』
『そんなのあったか?』
トロールは聞く。
『恐らく、最後の王であるアッシャムスが亡くなった時に魔王と魔物たちが持ち去ったのだろう。王国には1つしかなかった様だからな。そしてここに1つある』
『…あと3つが何処かにある。それを見つければ呪いが解けるという事?!』
バンシーは飛び上がる。
『慌てるなバンシー。ブリーザの状況を考えると、悪魔たちを刺激するのは得策とは言えない』
『悪魔たちが何処に隠したかだな…』
ユニコーンは唸る。
『…王国時代は人間たちとの交流もあった。もしかしたら人間たちが持ってる可能性もある』
『それを盗む為に村の人間に取り憑こうとしたって事か?』
ジャック・オ・ランタンは言う。
『そう言う事だな。村の者たちに聞く必要があるな』
『俺が行こう』
キマイラは立ち上がろうとしたが、身体が想い通りに動かない様で足下から崩れた。
「…ノーム。行ってくれるか?俺たちの知識の源はノームだ。あと、村によく行っているペガサスとユニコーンも。
ガルダとケット・シー、キマイラはブリーザの側にいてくれ。ドワーフは魔物や魔王との闘いに備えて武器の手入れを頼む。残りは城の警護だ。この状況で乗り込まれると危険だからな」
『…分かった』
ガルダは頷いた。キマイラもため息を吐いて床に寝直す。
『じゃあ、行ってくるわ。ノーム、乗って』
ペガサスはベッドの上に座っているノームに歩み寄って言う。
『…すまないな』
ノームはペガサスの背中に乗った。
『行くぞ』
ユニコーンの一声で、3人は部屋を出て行った。
『…さて。見送った所で、見張りをして来ようかな?』
ホビットはそう言ってドアの方に向かった。
『城の屋根でしょ?送るわよ』
バンシーはヒョイとホビットを担ぎ、さっさと部屋を出て行った。
『ジャック・オ・ランタン。城の周りを見回って来よう』
『へーい』
デュラハンはジャック・オ・ランタンに声を掛けて出て行く。
『…どれ。じゃあ、武器の手入れをして来るかな…』
ドワーフは曲がった腰に手を当てて行った。
『少しずつだけど…着実に解決の糸口が見つかってる。ブリーザ…もう少しだけ我慢してね』
ウンディーネはブリーザの頭を撫でて言う。
『この宝石だけが頼みの綱だからな…』
ガルダも心配そうにブリーザを見つめる。コロポックルもブリーザの顔を覗き込んで乱れた髪を整える。
ヴェントは何も言わず、ブリーザの少し冷えた手を握っていた。
『…とりあえず異常はない』
ジャック・オ・ランタンはデュラハンに言う。
『こっちもだ』
突然木枯しが吹いた。一瞬だったがゾクッとする様な、妙な気配もした。
『…なあ、デュラハン。今の木枯し…』
『…行ってみよう』
デュラハンとジャック・オ・ランタンは急いで木枯しの吹いて行った方に向かった。少しすると、女の子の悲鳴の様な声が聞こえた。
『こっちだ!』
行くと女の子が魔物に囲まれていた。
『おい!』
デュラハンは馬を走らせ魔物を襲った。その隙にジャック・オ・ランタンが女の子を助けに行く。
『怪我はないか?』
女の子は涙目で頷く。手には青色の宝石が握られていた。
『…サファイア…』
ジャック・オ・ランタンはボソッと言う。
『…ダメ!これはダメ!』
女の子は悲鳴を上げる様に言う。
『わ、分かったから!泣くなって!』
女の子の涙目にジャック・オ・ランタンは慌てて言う。
『相変わらず子守りが下手だな』
デュラハンは苦笑する。
『悪かったな』
ジャック・オ・ランタンはムスッとして言う。
『…君はシルフィードだな?この宝石は、何処かで拾ったのかな?』
デュラハンは女の子の目線まで屈んで穏やかに言う。とは言ってもデュラハンの顔はないのだが…
『…もりのあれたこやで…』
シルフィードは小さい声で言う。明らかに警戒している。子供の手には大きすぎる宝石を両手で胸に抱いている。
『なるほどな…』
『…あげない…あげちゃダメなの…』
『どうしてだい?』
『…おねえちゃんがダメだって…』
『おねえちゃん?君のお姉ちゃんかな?』
『このほうせきのおねえちゃんが、あげちゃダメだって…』
宝石に精霊でも入っているのだろうか。確かに神聖な気配はするのだが…
すると宝石は輝き、小さな人影が映る。
『ブリーザ!』
ジャック・オ・ランタンは目を丸くする。
『シルフィード。この人たちは大丈夫。この人たちは私を守ってくれているナイトだから』
ブリーザの影は穏やかに言う。
『…ほんと?』
『ええ。この人たちにこれを渡して?この人たちが私の所に届けてくれるから…守ってくれてありがとう』
女の子は納得した様にデュラハンに宝石を渡した。
『ありがとう。君は強い子だな』
そう言って頭を撫でてやると、シルフィードは嬉しそうに微笑んだ。
『ブリーザ…どうしてここに…』
ジャック・オ・ランタンは宝石に映るブリーザを見て言う。
『どうも、私の側にある宝石から他の宝石に移れるみたいなの。呪いの掛かっていない宝石だけみたいだけど。これはこの子が手にした途端に呪いが弾けちゃってね。子供にしては並大抵の力じゃあないからね、この子』
『なるほどな。…大手柄だ』
ジャック・オ・ランタンは笑顔でシルフィードに言う。
『さて、じゃあ城に戻るか。その前にこの子も送らないとな』
デュラハンは馬の上にシルフィードを乗せた。
「…ふむ。宝石、か…」
ヴィッスンは唸る。
『何か心当たりはないか?』
ノームは聞く。
「そうじゃな…王国時代からある家系は少ない。何しろこの村は一度侵略されているからな。高価なものは金に換えられ、若い男たちは奴隷にされた。子孫を生すために、女子を無理矢理妻として子を産む道具の様に扱う者もおった。そうして生まれた子も決して強くはなくてな…幼いうちに亡くなった子どもが多い」
『恐らく、太陽神フレイの祝福を受けられなかった子どもだったのだろう。そう言う経緯で産まれた子どもは祝福を受けられず降り掛かる厄災から守ってもらいないからな』
ノームは言う。
「そうかも知れないのぉ。
しかし侵略者たちは容赦しなかった。死んだのならば産めば良いと…代わりなんかいくらでも作れると…
そうしている内に女子たちも病にかかり亡くなる者や、自ら死を選ぶ者もいた。流行病もあり、侵略者たちも病に倒れ亡くなる者が多くなった。
侵略者たちはそんな状況を目の当たりにして、『悪魔の棲む村』と呼ぶ様になった。その内に、侵略者たちは仲間割れを始めた。奴らの中にも、村人たちと接しているうちに情を移す者もおった。そう言った者たちが奴隷となった村人と共に反乱を起こしたのじゃ。
こうして侵略者たちは村を去り、村は救われた」
ヴィッスンはため息を吐く。
「…しかし、代償は大きかった。村人の半分以上は亡くなってしまった。生き残った者も病気で寝たきりになっていたり、生まれつき病弱で周囲の介助無しには生きて行けない幼子が多かった。
しかし、そんな中でも無事に生き残った者たちは懸命に村を支えたのじゃ。テールもゲリンゼルもその家系じゃ。奴隷として働き生き残った男たちと、侵略者たちに虐げられ続けた女子たちの生き残りの子孫じゃ。聞いてみると良いかもしれんな。もしかしたら、まだ残っておるかも知れん。村人たち全員にも念のために調べさせよう」
「失礼します」
集会場にテールとゲリンゼルが入って来た。
「おお!ちょうど良い所じゃった!聞きたい事があるんじゃ」
「聞きたい事、ですか…」
ゲリンゼルが首を傾げる。
『テールとゲリンゼルの家に代々伝わる宝石とかはないか?』
ノームは聞く。
「宝石か…大事な者は家の地下室にあると思うけどな…」
ゲリンゼルは言う。
「俺も地下に置いてある。探してみよう」
テールは腕を組んで言う。
『頼む。何しろ王国時代からある家系は少ないそうだからな』
ノームは頷く。
「何だったら来るか?ノームはすぐに分かるだろ?」
テールは提案した。
『…そうだな。行ってみるか』
ノームは立ち上がった。テールの家は集会場からほど近い場所にあった。
「ここが地下室だ」
重い扉を開けて階段を下りる。
すると少しだけ広い部屋があった。
『ふむ…』
ノームは部屋を見回す。
「さて、宝石なんてそんな高価な物があるかどうかな」
テールは苦笑する。
『…おい。あまり奥に行くな。魔物の気配がする』
ユニコーンがテールを止める。
「え?」
テールは振り返った。
『あの箱だな』
ノームは部屋の奥に置かれた古いキャビネットを見て言った。
「あれはひいばあちゃんが結婚祝いに両親から貰った物らしい」
『…箱に宝石がはめ込まれているな』
ノームはキャビネットを引っ張り出して言う。蓋には黄色い大きな宝石がはまっている。
『…どうやらこれみたいね。宝石からブリーザに掛けられた呪いの気配がする』
ペガサスは言った。
『外せるか?』
ユニコーンは言う。
『外せないと困る。何しろブリーザの命がかかっている』
すると宝石から黒い影が現われた。
『…!おい!離れろ!』
ユニコーンはテールを庇いながらノームに言った。
『うおっ!』
ノームは咄嗟にその場を避けた。丁度ノームがいた場所の床に穴が空いた。
『…そんな簡単には行かない様ね』
ペガサスは静かに言う。
『ああ…凄い力だ。キマイラの時の比じゃないぞ』
ユニコーンは影を睨みつけて言った。
この辺で切らないと長くなりすぎるのでここまで。




