結婚する話
!この小説を読むにあたっての諸注意!
・この小説は幻獣や精霊等が出て来ます。
・基本的にR18シーンはありませんが、ハグやキスだけはあります。
・精霊や幻獣の見た目などに関しては資料などを参考に、私の解釈で設定しています。
・私の妄想大全開の内容になっていますので、苦手な方は回れ右でお願いします。
以上の事が大丈夫であれば、どうぞお楽しみ下さい。
森は焼けてしまい、倒れた木々もあった。そのままにしておくと危険なので、村人たちと城の者たちで今にも倒れそうな木々を撤去している。
『…これくらいかな』
ドワーフは石切り場で石を掘り、ブロックを作る。
『じゃあ、持って行くぞ』
オーガはその石を大量に担ぎ上げ、村の方に向かう。村ではドワーフが切り出したブロックを積み上げて行く。オーガは地面にブロックを置く。接着剤代わりの粘土をブロックに塗りブロックを重ねて行けば、あっという間に家の外壁は出来上がる。後は、ノームたちが土で火を熾す場所を作り、村一番の家具職人に家具を作ってもらえば、あっという間に家が完成する。
もちろん、人間たちの力だけでは完成しない。沢山の精霊たちの力があったからこそ出来た事だった。
そして精霊たちだけでは人間たちに協力などしなかったであろう。ブリーザとヴェントがいたからこそ協力出来たのだ。
いかんともし難かった焼け野原は、エルフとヴェント、ノームが最善を尽くして整備した。そのおかげで、焦げていた野原には草花が萌え、城に向かって1本の道が出来た。その先は城に繋がっている。これで森を彷徨う事なく城に辿り着く事が出来る。定期的に城の者たちは村に行き、子供たちの遊び相手になったり、その力で村を守る様になった。何しろ一度は悪魔が現われたのだ。いつ何時、同じ事になるかも分からない。村人たちもそんな彼らを受け入れ、友好的な関係を築こうという事になった。その証として、村人たちは一連の騒動や城の者たちが行った事などを集会場の壁に描き、未来永劫この友好が続く事を誓った。
これを見た城の者たちも動き出した。よく物書きをするノームが、村との交遊を全て書物にして書庫に保管する事にしたのだ。村の代表だが、『わしゃ、まだまだやれるぞ!』と一連の騒動で自信がついたらしく、ヴィッスンが村長になる事となった。一次はヴェントがしたら良いのではないかという意見もあったが、『俺みたいなはなたれ小僧じゃあ、村が滅んじまう』と言って断ったのだ。
そしてもう1つ。城と村の将来に大きな影響を及ぼす変化が1つ。何かというと…
『…我らが王ブリーザと、我らが友である村の英雄ヴェント。本日よりこの2人を夫婦として認める。』
そう言ったのはケット・シー。『王の間』には沢山の者たちが集まっていた。
珍しく地下からでて来たオークも、人間たちに悪戯をしまくっていたジャック・オ・ランタンも、そしてデュラハンやバンシーも集まっている。
村からはヴェントの母と弟のウィン、村長のヴィッスン、テール、ゲリンゼルなど多くの村人たちが集まっている。部屋の奥にある玉座は2つになり、向かって右にはヴェント、左にはブリーザが座っていた。きらびやかな衣装を身にまとい、2人とも幸せそうな笑顔を浮かべている。以前の村長であれば決して認めない事だっただろう。
しかし今の村長は違う。『この世界にまた1つ愛が生まれ、幸福が生まれた!』と、2人の婚姻を心から祝福してくれた。
「…ブリーザ」
式も終わり、部屋に戻って着替えを済ませたヴェントは、髪の毛の手入れをしているブリーザを後ろから抱き締めた。
「…ちょっと待って。今終わるから」
キスをしようとしたヴェントを宥めて、ブリーザは櫛を棚に置く。
「…もう良いか?」
ヴェントはそう言って軽く唇を重ねる。
「ん…言葉と行動が一緒に出てる」
ブリーザは呆れた様に言う。
「可愛すぎるブリーザが悪い」
ギュッと抱き締めて言うと、腕の中でクスクスと笑う声が聞こえる。
「…なんか、変な気分」
「そうか?」
「だって、少し前まではこんな事になるなんて想像もつかなかった」
「まあ、な。状況が状況だったしな」
少し間を置くと、ヴェントはブリーザをヒョイと抱き上げてベッドに向かう。
「…ヴェント?」
ブリーザは不思議そうにヴェントを見つめる。
「…怨んでるか?あの時の俺たちを」
ベッドにブリーザを降ろし、覆い被さる様にブリーザにキスをしながらそっと聞く。今更聞いても仕方のない事だと分かってはいるが、どうしても心の中で燻ってる過去に自分が犯した過ち。気が付いていたのに、分かっていたのに何もしてやれなかったと、今でも後悔し続けている。
「ヴェント…」
ブリーザは微笑んでヴェントの頬を自分の両手で包む。白く細い手に重ねる様にヴェントは手を握る。
「怨んでなかったと言ったら嘘になる…やっぱり心の何処かで怨んでたし、憎んでた」
ヴェントは苦しくなった。覚悟していた答えとは言え、やはり辛かった。
「辛かったし、苦しかった…でも、ヴェントは沢山私の事庇ってくれてた」
ヴェントはブリーザをジッと見つめる。
「一番辛い時に、側にいてくれた。虐められてた私の事、庇ってくれた。沢山、愛してくれた」
「ブリーザ…」
「ありがと…」
そう言って微笑んだブリーザが愛おしくて、思わず噛み付く様なキスをする。苦しそうにうめく声が聞こえるが、それに答えてやれる余裕がない。角度を変えて何度もキスを繰り返す。激しいキスに付いて行こうとしているその必死さも、苦しそうなうめき声も、ヴェントに懸命にしがみつく腕も…
全てが愛おしかった。
「ブリーザ…ブリーザ…」
その名前を呼び、離れて行かない様に強く抱き締める。嵐の様なキスからようやく解放され、荒い息をしながら涙目で出ない声の代わりに背中に回される腕が可愛らしかった。
「…愛してる。」
ヴェントはそっと耳元で囁いた。それだけでブリーザの体温が上がるのを感じた。
「…わ、私、も…」
恥ずかしそうに蚊の鳴く様な声でブリーザは言う。
これから訪れる甘い時間に胸を高鳴らせながら、2人はどちらからともなく唇を重ねた。
第一章終了です。
では!




