Epilogue-1.帰還
「戻ったか。想馬。他の者は……」
組長が、わたしたちを迎えてくれた。
わたし、奇乃、茄場、総之上、久保田は、組織へ生還した。
蛭賀、馬場、そして草里は、組織へ戻ることはなかった。
「うむ。各々の名誉の戦死を称えよう。蛭賀は、我々組織における最も優秀なリーダーであった。馬場は、最も勇敢な戦士であった。草里は、最も将来を期待された新人であった。それから、空丘……」
組長も、当然わかっている。
ソラミミ……空丘耳穂も、戻ることはない。
「空丘耳穂……うむ。ソラミミは、最も優秀なバイトであった。彼ら、彼女らの冥福を祈ろう」
組長は静かに、眼を閉じた。
その場にいる皆も、眼を閉じる。ま、こんなの。形式的なものだけれど。わたしたちの組織で人が死ぬことなんて、日常茶飯事なんだ。わたしも、目を閉じる。
「それで、今回の任務は」
すぐに組長が口を開いたので、わたしもほんの短い黙祷を終えた。
「成功のようだな。天使の群れは、きれいさっぱり、消えたよ。これで、多くの声なきものたちが救われたことだろう。ひいては、地上の人々の精神も今しばらくは気高くいられるはずだ。天使が、頭のなかに戻っていっただろうからな」
「もし、天使の群れがあのまま放置されていたなら……」
ふと、久保田がそう口にした。
「さあな。そんなことは誰にもわからん」
組長は、どさっと椅子に腰かける。
「シントーハのメリーゴーランドなぞ、誰の頭のなかにもあるのだ。夢の領域の果ての果てに……。
天使の群れがまた、大挙して押し寄せたなら、そうだな、そのときのために、バイトをもっと増やしておこうか。ソラミミのような優秀なやつがいるかもしれん。
今回、蛭賀を失ってしまったのは痛いが……茄場や総之上もいる。奇乃も想馬も、それに久保田も残ってくれたしな。あまり、ベテランを死なすわけにはいかない。よし、想馬。引き続き学園に行って、密かにバイトをスカウトしてきてくれ」
「……しばらく、休んでからにさせてくださいね。今回は少し、疲れました」
同感だ、と奇乃がぼやいた。
二日三日は寝て過ごすぜ、と言い、残った戦闘班の皆は、それぞれの寝床へ戻っていくのだった。
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