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ソラミミ  作者: k_i
終章 天使
39/46

8-2.決死隊

「ソラミミがいなくなってしまい、どこを探してもいない? ……何故だ」

 組長ですら、いぶかしむ。

 

「おそらく、ソラミミはすでに、天使に夢を支配されてしまっていたのでは」

 ソラミミは、自身の夢のなかへ、消えた……。わたしと草里が通路に出たときすでに、姿はなかった。

 

「では、さきのはソラミミの形をした、操り人形だというのか」

「おそらく……」

 いや、確実だろう。シントーハに行く。天使に、シントーハ襲撃のことを知られれば、計画は台無しになる。

 

「少し遅いかもしれませんが、ソラミミを追います。そのまま……シントーハへ行きましょう」

「想馬……やれるのか」

「わたしは以前、ソラミミの夢に入ったことがあります。少しだけその感触を覚えている。それを手がかりに……」

 

「ソラミミはすでに夢に食われ、消失している。いや、夢の深く深くへ――すなわちシントーハまで辿り着ければ、あるいは……しかしそんなところまでソラミミを追えば、戻って来れなくなるかもしれんぞ。仮に上手くシントーハに行けても……無論、最後まで事が上手く運んでも、天使たちの攻撃を受けることになるだろう。下手をすると全滅も免れんかもしれん。編成するのは少人数の決死隊になるが、いいか」

 わたしは、頷いた。もともと、覚悟はできている。

 

 

 決死隊は、草里が代表して率いる。

「草里。おまえに、おれたちを率い、御しきることができるのかな」

 蛭賀、茄場、総之上が参加する。それに三人に次ぐ実力者、馬場、久保田。以上、戦闘班からは六名。

 

 探索班からは、奇乃。

「まあ、おれのいない間にそんなことになってたとは知らなかったが、愚かな後輩のけつは拭いてやらねばならんからな」

 

 そして、わたし想馬。

 

「念のためだけど」わたしは草里に問う。「学園から連れていった方がいい、っていう子はいない? 戦力としてはともかく、ソラミミと仲の良かった子、とか。ソラミミを呼び戻す助けになるかもしれない」

「……前は少しいたけど、今はな」

「そう」

 これで、決死隊のメンバーは決定か。八名。

「急ぎましょう。事は急を要する」

 

 

 ***

 

 

 

 何かが、この空に足りないと思った。

 だけど今は、そんなことは関係ない。

 行かなければならない。この胸の子を帰しに。

 夢のなかの空に、巨大な遊園地の影が浮かんでいる。それは遥か遥か遠く、虚空に浮かぶ大陸のよう。

 あなたをきっとあの場所まで、連れてってあげるね。

 泣かないでいいよ。きっと、行ける。

 そんなに悲しいならば、わたしのなかへお入り。わたしにあなたの悲しみを分けてくれればいいから。

 胸が、痛む。

 天使が、わたしの胸を食い破り、わたしのなかへ入っていく。

 ……そう、それで、いいの。

 わたしが天使を包み、この空がわたしを包んでくれている。わたしの悲しみなんていつだって、この空に拡散していく。

 もしかしたらそれが、どこかで宝石に変わるのかもしれない。

 ならばこの子は、わたしのなかで宝石に変わる。

 この子こそが、わたしの宝石だ。

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