8-2.決死隊
「ソラミミがいなくなってしまい、どこを探してもいない? ……何故だ」
組長ですら、いぶかしむ。
「おそらく、ソラミミはすでに、天使に夢を支配されてしまっていたのでは」
ソラミミは、自身の夢のなかへ、消えた……。わたしと草里が通路に出たときすでに、姿はなかった。
「では、さきのはソラミミの形をした、操り人形だというのか」
「おそらく……」
いや、確実だろう。シントーハに行く。天使に、シントーハ襲撃のことを知られれば、計画は台無しになる。
「少し遅いかもしれませんが、ソラミミを追います。そのまま……シントーハへ行きましょう」
「想馬……やれるのか」
「わたしは以前、ソラミミの夢に入ったことがあります。少しだけその感触を覚えている。それを手がかりに……」
「ソラミミはすでに夢に食われ、消失している。いや、夢の深く深くへ――すなわちシントーハまで辿り着ければ、あるいは……しかしそんなところまでソラミミを追えば、戻って来れなくなるかもしれんぞ。仮に上手くシントーハに行けても……無論、最後まで事が上手く運んでも、天使たちの攻撃を受けることになるだろう。下手をすると全滅も免れんかもしれん。編成するのは少人数の決死隊になるが、いいか」
わたしは、頷いた。もともと、覚悟はできている。
決死隊は、草里が代表して率いる。
「草里。おまえに、おれたちを率い、御しきることができるのかな」
蛭賀、茄場、総之上が参加する。それに三人に次ぐ実力者、馬場、久保田。以上、戦闘班からは六名。
探索班からは、奇乃。
「まあ、おれのいない間にそんなことになってたとは知らなかったが、愚かな後輩のけつは拭いてやらねばならんからな」
そして、わたし想馬。
「念のためだけど」わたしは草里に問う。「学園から連れていった方がいい、っていう子はいない? 戦力としてはともかく、ソラミミと仲の良かった子、とか。ソラミミを呼び戻す助けになるかもしれない」
「……前は少しいたけど、今はな」
「そう」
これで、決死隊のメンバーは決定か。八名。
「急ぎましょう。事は急を要する」
***
何かが、この空に足りないと思った。
だけど今は、そんなことは関係ない。
行かなければならない。この胸の子を帰しに。
夢のなかの空に、巨大な遊園地の影が浮かんでいる。それは遥か遥か遠く、虚空に浮かぶ大陸のよう。
あなたをきっとあの場所まで、連れてってあげるね。
泣かないでいいよ。きっと、行ける。
そんなに悲しいならば、わたしのなかへお入り。わたしにあなたの悲しみを分けてくれればいいから。
胸が、痛む。
天使が、わたしの胸を食い破り、わたしのなかへ入っていく。
……そう、それで、いいの。
わたしが天使を包み、この空がわたしを包んでくれている。わたしの悲しみなんていつだって、この空に拡散していく。
もしかしたらそれが、どこかで宝石に変わるのかもしれない。
ならばこの子は、わたしのなかで宝石に変わる。
この子こそが、わたしの宝石だ。




