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ソラミミ  作者: k_i
第7章
36/46

7-6.厳しい戦い(3)

 ぱぽー。

 

 ……という声が響いて、空間が元に戻っている。

 

 わたしが見回したときには、元の場所、五本の木々の周りに、戦闘班の人たちがしゃがみ込んでいた。ひざを抱えたり、半ば寝そべっている人もいる。草里は……いる。よかった。やっぱりさっき、草里があの空間のなかで呼びかけてくれていたんだよね。

 

「そ、草里。やった、わたし……う!」

 ぼごん。という何かひしゃげたかと思うような音が、わたしの頭から。……わたしの頭が、どうなった? 倒れこむ。

 

「五人も……五人も、死んだぞ!」

 さっき、均一なので誰のどういう声とかわからなかったけど、聞こえていた声の一つだ。くらくらする。見上げると、戦闘班の男の人の一人が、歪な形相でわたしを睨み見下げている。握られた拳。殴ったんだ……わたしを。

 

 この人は、何を言っているの。だって、死ぬのは当然なのが、戦いなのでしょう?

「……負け戦だ……完全に……」

 別のとこでひざを抱え頭を埋めている男が言う。

 

 そんなこと、言われたって。……わたし、精一杯やったのに。

 

「こんな小規模の戦闘で、確かに五人も失ったのは痛手だ。んなことはそうそうなかったぜ」

 別の大きな男が来る。そいつは、ピエロ斬りをしっかりと握っている。わたしを、どうするの。それで、斬る……の。

 

 わたしはいつの間にか泣きそうな顔。草里を探す。草里は、遠くに立っているまま。

 

「ちょ、ちょっと……あなたたちだって、わたしの友達四人を、ほとんど見殺しにしたんでしょう! まだ戦場に出るのが初めてだった、四人を……」

「うるさい……こっちは五人だ。ベテラン五人だぞ」

「そ、そんな。あの子たちは、大事じゃなかったわけぇ!」

「……負け戦だ……おまえのせいだ……」

 

 わたしを殴ったやつがまたわたしに迫り来る。ピエロ斬りを抜いているもう一人の大男がよろよろとにじり寄り、わたしを挟む。

 スキンヘッドもやって来る。ピエロ斬りを抜く。

 

「こいつはもう、駄目だ」

「そん、なあ」

 わたし、殺される……!

 

 びゅん、っと一閃が走り、倒れる。

 倒れたのは、目の前にいた、わたしを殴った男。


「え……」

 わたしはぺたんとへたり込む。死んだ、この男。スキンヘッドに斬られて。

 

「おまえもか?」

「ち、違う。わた、しは」

 

 びゅん。わたしに向けてピエロ斬りが振られた。

 

 びゅっと血飛沫が飛ぶ。

 わたしの後ろで、ピエロ斬りを抜いていた大男がどだん、と倒れた。死んだ……。

 

 スキンヘッドは、ピエロ斬りをもう一度びゅんと振って、血のりを拭うと、それを仕舞った。

 

「え……」

 何人かが、わたしとスキンヘッドの方へ来る。何を、しているの。まだ、殺し合う、の。

 

「おう新人。ソラマタだっけ」

 リーダーの男……蛭賀が来る。

 

「ソラミミ……です」

「よくやったな」

「はい……?」

 

 草里が、ふらふらとした足取りでやってくる。

 周りでは、ぶつぶつと何か呟いたまま、しゃがみ込んだままの者もまだいた。

 

「寒かった。冷えすぎた。遅すぎだ」

「え……草里、まだ変なカタコト」

 

 スキンヘッドが、すっと遮る。

 蛭賀はわたしに向かい、

「まあ、反省会は後だ。おい、一分以内に立ち上がれない者はここに置いていく」

 

 しゃがみ込んだままの者は、三人。リーダーの声が聞こえないように、そのまま、しゃがみ込んだままだった。そしてそのまま彼らは、放置された。

 

「これが……戦闘班の、戦い」

 

「そうだ」

 スキンヘッドが言う。

「それから、おれはスキンヘッドじゃねえ。茄場だ。わかったか、ソラミミ」

 あれ? さっきの異空間のとき、かな。思念と思って口に出しちゃった? それともわたしの心でも読めるのか、このスキンヘッド……茄場さん、は。

 

「寒。帰る」

 カタコトの草里が歩き出し、皆も歩き出す。

 

 わたしは辺りをもう一度見渡した。小象の姿は、なかった。

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