7-1.新たな任務(貸し出し)
今日もわたしは、バイトをしに組織を訪れる。
「ちわー。あ、樽辺先輩!」
仕事場の方向から、長身の樽辺さんが来る。ん。ピエロ斬りを付けていない。トイレにでも?
「おう、バイト」
まだバイトと呼ばれているわたし。まあ実際バイトはバイトだけど、そろそろ名前で……
「次からしばらく、戦闘班に入ってくれ」
「えっ」
唐突な話に、言葉を詰まらせてしまう。
「欠員ができたから、貸してほしいんだと」
「そんな、人を簡単に貸さないでくださいよう。わたし、探索班にとってけっこう貴重な戦力でしょう?」
とちょっとだけ、強調してみる。こんくらい、そろそろ言ってみたっていいんじゃない?
「まぁ、そうだけど。でもまぁ、いいんじゃない」
「……ええと」一応否定もされなかったけど。でも必ずいなくてもいい、ような?「……わかりました、けど、何をすれば。わたし、戦いの方はできないと……」
「ああ。それは皆知ってる。やってもらうのは、索敵だ」
「はあ。でも、そんなのやったことがない……」
「なぁに今のやり方とそう変わらんよ。敵を見つけるだけだから、むしろ簡単さ。それに、俺たちんとこの仕事のメインは、探索ではなく戦闘だ。これからそっちがメインになっていく、と考えておいた方がいい」
わたしはふぅむぅと、あごに手をそえ考え込む様子を見せてみる。この流れからすると、どのみちしないわけにはいかないだろうことが窺える。けど、心配ではある。
「その……でも、死にませんか」
「まあ確率で言えば探索より戦闘のがばんばん死ぬけど」
やあ。確率で言ってないですし……ばんばんって。
「おまえは後衛だから、どうせ関係ないが」
「うーん」
何か、いやだな。いやな予感する。そりゃ、直接戦闘には出ないけど。一人帰ってきた子のことを思い出す。残り三人は、初の戦闘で……。
「あっあの、奇乃先輩は? そういう任務はしないのですか」
「ああ……奇乃も、もちろん出るよ」
「じゃあ、今回は奇乃先輩にお譲りしまっ」
「や、奇乃は今、別の任務で出払ってるんだよ。組長に付いて。当面いつ戻ってくるかわからん」
そうなんだ。そう言えば、ここ最近何か静かだと思っていたら。それに組長も行っているのか。
もしかしたら、一緒に草里も……?
「草里楓も——」
「えっ」
思ったところで草里の名前を出されて少し驚いてしまう。やっぱり、草里もそっちへ行ってるのか。
「ああ、あのおまえの友達のやつ、ね。草里楓。あいつも、戦闘班にいるぜ」
「えっ、あっ。そういうことですか……!」
「今や、戦闘班には欠かせない戦力らしいからな」
草里、あれから日々、戦いながら……どう過ごしているのだろう。
草里に、どれだけ会っていなかったろう。
こっちで友達、できたのかな。
久々に、草里に会ってみたいな。いや、わたしの心は決まっていた。忘れていた、草里と一緒に戦いたいとわたしは思ったんだ。草里と対等な、友達でいたいって。




